ここしばらく日に日に寒さが増してきて、もう街並みもクリスマスの飾り付けが賑やかになってきましたね。
この季節が近づくと思い出すのがアルザスのノエル(クリスマス)の光景。

アルザスの中心都市ストラスブールで開催されているマルシェ・ド・ノエル(クリスマスマーケット)は1570年から開催されているという世界最古の長い歴史を持っています。
また、もみの木のクリスマスツリーはここアルザスが発祥といわれ、ノエルが近づくとストラスブールのクレベール広場には大きな大きなもみの木が登場します。

11〜12月のアルザスは本当に肌をさすような寒さですが、このマルシェ・ド・ノエルを求めて世界各地から毎年200万人の観光客が訪れるそうです。このマルシェ・ド・ノエルがもたらす幻想的で心が踊るような楽しみを多くの人が心待ちにしているのでしょうね。



大聖堂の前はエンジェルの
イルミネーション
コルマールの街並みコルマールのイルミネーション

ミュールーズの
マルシェ・ド・ノエル


アルザスのマルシェ・ド・ノエルと一口に言っても、一箇所ではなく、何箇所にも点在しています。大体街の中心地に大きなマルシェ、そして周辺地区に小さなマルシェが立ち並んでいます。私はストラスブールで2ヶ所、そしてコルマール、ミュールーズ、そしてカイゼルスベルグという小さな村のマルシェを見てまわりました。売っているものは大体一緒なのですがいろいろと食べあるきながら街の雰囲気を味わうのもとっても楽しいです。

マルシェではアルザス定番のものからノエルならではの珍しい食べ物が並びます。
冬になると食べたくなるスパイスたっぷりのお菓子「パン・デピス」は、蜂蜜をたっぷり使っているためか、蜂蜜屋さんで売られていることも多いです。そこで一緒に売っている蜂蜜のキャンディーもなかなか美味しいです。

そして、クリスマスが近づくと小さな焼き菓子「ブレデル」をよく見かけます。ブレデルにはいろんな種類があってプレーンなクッキー、シナモン風味、ココア入り、リンツァータイプ、アニス入りなどがあります。形も様々で丸型、星型、ハート型、絞り出しタイプなど、見た目も味も楽しめる可愛いクリスマスクッキーです。

クリスマスと直接関係はないけど、フランスの市場でよく見かけるクレープやワッフル、ベニエ(揚げ菓子)を売っているお店もあり、どれもこれもちょっとつまんでみたくなるような素朴で美味しそうなお菓子ばかりです。


蜂蜜屋さんのパン・デピスたくさんの種類のブレデルはどれを
食べようか迷うほど
揚げドーナッツのようなベニエ


そして、こちらは11月末あたりからブーランジェリーやパティスリー、そしてマルシェ・ド・ノエルでもちょくちょく登場する人型のパン「Manalaマナラ」。この独特な形に思わず目を奪われてしまうとってもユニークなパンです。
マナラはサン・ニコラ(子供の守護聖人)の日12月6日に食べられるパンです。(その日だけではなくその前後でも売られています)
生地はブリオッシュ生地やミルクパンのようなほのかに甘いパン生地で、種類はプレーンの他にチョコチップ入り、カスタードクリーム入りなどがあります。
面白いのは、お店によって大きさや形や表情が違うこと。
日本人の感覚とは違い、可愛く作ろうという意識はあまりないようで、たまに宇宙人のようなちょっと不気味なものがあったりと、見ているだけでも楽しいです。

サン・ニコラの日に食べる人型のパン「マナラ」


ちょっとマニアックではありますが、マナラ食べ比べをしてみるのも楽しいです。私は去年アルザスで9種類のマナラを食べましたが一番好みだったのは生地がリッチなミュールーズのパティスリージャックのもの。
日本ではPAULで期間限定で販売されているのでよかったらチェックしてみてくださいね。


いろんなお店のマナラ達この季節にはたくさんのマナラが並んでいる
焼き栗屋さん


日本でも人気の食材「栗」。ヨーロッパでも料理やお菓子に栗が使われることが多いです。ヨーロッパの栗は日本に比べ小粒で実がしっかりしていてまた違った味わい。寒くなってくると、 marron chaud (マロン・ショー)と呼ばれる焼き栗を売る人がちらほら。たまに写真のような機関車の形をした焼き栗屋さんもあって、とても可愛らしくてついつい駆け寄ってしまいます。
ちいさな可愛い機関車の前には、かごたっぷりに盛られた栗の山があり、その量にびっくり!

注文すると焼きたての熱々の栗をコーン型のケースに入れて渡してくれます。値段は大体3ユーロ前後。
熱々の焼き栗の皮をむいて、パクパクと食べます。一粒が小さいのでいくらでも食べられちゃいます。


ヨーロッパ産の小粒の栗が山盛り!熱々の香ばしいマロン・ショー


そして、この寒い寒いアルザスのマルシェ・ド・ノエルで欠かせないのがvin chaud(ヴァン・ショー)。
ワインにフルーツやスパイスをあわせたほんのり甘くてスパイシーなホットワインです。
マルシェ・ド・ノエルの至る所で、ヴァン・ショーの甘い香りが漂っています。


マルシェ・ド・ノエルでは必須の「ヴァン・ショー」


ヴァン・ショーといえば普通赤ワインのものが定番ですが、白ワインが豊富なアルザスなので、赤同様白ワインのヴァン・ショーもあるので是非一度は飲むことをおすすめします!
アルコールが苦手な方や子供にはホットオレンジジュースもあります。

冬のアルザスは、本当に体が芯から冷えきる寒さ。楽しいノエルとはいえ、体がカチコチになってしまいます。そんな時にはヴァン・ショーを飲んで体の中からじんわりと温めて、また歩き出そう!の繰り返しです。

アルコールは少し残っている感じがしますが、酔っ払うというほどのものではないのでいろんなお店で飲み比べてみるのも面白いものです。


ヴァン・ショー屋さんの素敵な看板大きな寸胴鍋でたっぷりと作られる
白ワインのヴァン・ショー


パティスリーでは、マナラやパン・デピス、ブレデルはもちろん、それ以外にノエルならではのお菓子が登場します。
まずはシュトーレン。ドイツ発祥のクリスマス菓子で、最近日本でも浸透してきている発酵菓子です。
ドイツのものはバターやナッツがたっぷりで日持ちする濃厚なタイプが多いですが、アルザスのシュトーレンはブリオッシュ生地にドライフルーツを入れたものです。感覚としては、フルーツ入りブリオッシュといった感じ。そのためさっぱりしていて朝ごはんにちょうどよさそうな軽さです。

そして洋なしのパンという意味のお菓子「Berawecka(ベラヴェッカ)」はアルザス特有のクリスマス菓子です。
洋なし、プルーン、いちじく、チェリーなどのドライフルーツとアーモンド、くるみなどのナッツ類、それらに少量のつなぎとシナモンやアニスなどのスパイスを合わせたとても贅沢なお菓子です。とにかくフルーツとナッツがぎゅっと凝縮されたような濃厚なお菓子ですので、薄くスライスして温かい紅茶や赤ワインと一緒に食べるととても美味しいお菓子です。


メゾン・フェルベールのシュトーレンアルザスのクリスマス菓子
ベラヴェッカ


今年のアルザスのマルシェ・ド・ノエルはストラスブールが11/26〜12/31、コルマールでは11/24〜12/31に開催されます。
この時期はとっても寒いのですが、ノエルの街並みや幻想的なイルミネーション、マルシェ・ド・ノエル巡り、そしてパティスリーでノエルのお菓子を食べて、と楽しい時間を過ごせる本当に素敵な季節です!

※参照
アルザスノエルの公式HP http://noel.tourisme-alsace.com/




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