前回は、フェルベールさんのお菓子のデモンストレーション研修について紹介しましたが、今回はフェルベールさんのお店やお菓子を紹介したいと思います。

メゾン・フェルベール外観 フェルベールさんといえばコンフィチュール!


フェルベールさんといえばやはり「コンフィチュール」を真っ先に思い出す方も多いと思います。
お店に入ると左手の棚にはたくさんの種類のコンフィチュールがずらっと並びます。
アルザスやその近辺でとれたフルーツを中心に、フレッシュ感あふれる色とりどりのコンフィチュールが揃います。
日本でもおなじみの赤に白い水玉の生地に白いリボンできゅっと結んだその姿を見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれます。
どれも美味しそうなので、何を選ぼうかこのジャム棚の前で、う〜ん…と悩み込んでしまうくらいです。

クリスマス限定のコンフィチュール・ノエル 甘酸っぱい「エーグル・ドゥー」シリーズ


そんな中で私のおすすめは、ノエルの時期限定のコンフィチュール・ノエル。
様々なドライフルーツとナッツがたっぷりはいったとても贅沢なコンフィチュールです。
パンに付けて食べても美味しいのですが、お肉料理やフォアグラなどに添えてお料理として一緒に食べると更に美味しさがアップします。

それからこれはコンフィチュールではないのですが、フルーツの新しい味を発見できる「エーグル・ドゥー(甘酸っぱい)」のライン。
緑に白い水玉の生地が目印です。これは、ピクルスのようなものでフルーツをヴィネガーやいろんな素材に漬け込んだものです。お菓子というよりはお料理やサラダに添えていただくタイプのフルーツです。
私はアルザスらしいものを、とアルザスのフランボワーズ(山の蜂蜜風味)、アプリコット(アルザスの甘口ワインゲヴェルツトラミネールとバニラ)を購入。

帰国後食べましたが、どちらもしっかり酸っぱい!
そのまま食べるよりも、サラダやチーズなどと一緒に、そしてやっぱりアルザスワインとあわせて食べると更に美味しく感じました。

私は使いこなすにはまだまだお料理のレパートリーがないのですが、フランス人は、フルーツをお料理に取り込むのがきっとお上手なのでしょうね。次回購入する時はどんな食べ方がおすすめか伺ってみたいと思います。

プティガトーは定番のものを中心に


アルザスのモンブラン「トルシュ・オ・マロン」


店内にはレジを挟んで両側にショーケースがあり、左手が生菓子のショーケースです。
季節によってお菓子は変わると思いますが、写真はノエルの時期のものです。
エクレア、ルリジューズ、タルト・フリュイ、タルト・ポワール、ミルフィーユ、トルシュ・オ・マロンなどが並びます。基本的には定番のフランス菓子、特に親しみやすいタルトやシュー菓子が多い印象です。

アルザスでは、モンブランの事を「Torche aux marrons(トルシュ・オ・マロン)」と呼ぶことが多いです。
一節には見た目がtorche(たいまつ)に似ているから、と言われています。
素材としてはメレンゲ、生クリーム、マロンペーストと、モンブランと同じなのですが、構成がちょっと異なることがあります。

フェルベールさんのトルシュ・オ・マロンもそんなひとつで、生クリームの中にメレンゲを入れて、上にマロンペーストを絞っています。

以前、冬の氷点下のアルザスの空の下トルシュ・オ・マロンを食べましたが、たっぷりの軽い生クリームと濃厚なマロンペースト、軽いメレンゲの相性が最高でした。

アルザスの代表的な発酵菓子クグロフ クグロフを利用したラスク


発酵菓子も数種類あり、アルザスの代表的な発酵菓子「クグロフ」も人気です。
フェルベールさんのクグロフ型は少し平べったいのが特徴です。見た面も可愛らしいですね。
そして、これはいいアイデアだな!と思ったのがクグロフのラスク。
多分、乾燥したクグロフを利用したお菓子だと思いますが、薄くスライスしたクグロフをラスクにしていました。食べ物を無駄にしないこういう再生のアイデアは素晴らしいですね。

色とりどりのフルーツを模したマジパン菓子


大きく絞った迫力のあるメレンゲ


それからしっかり甘いフランスらしいお菓子も見逃せません。
フルーツやお野菜の形をしたマジパン菓子。フランスだと結構派手な色彩のマジパンが多いですが、フェルベールさんのものは自然な色合いで、作りもとっても精巧かつ可愛らしいのです。食べるのがもったいないくらいですが、お土産にもいいですね。

それからフランスに行くと必ずいろんな所で見かけるのがメレンゲ。
メレンゲを焼いただけの素朴なお菓子です。よくブーランジェリーにありますが地方のパティスリーでも売っていますね。日本人からすると「甘い!」という印象が強いメレンゲですが、やはり定番のおやつとしてフランスでは根強い人気なのでしょうね。

フェルベールさんのショコラもおすすめです お肉やパイを使ったトゥレトゥールも美味しそう!


そして、日本でも開催されるサロン・デュ・ショコラでもお馴染みですが、フェルベールさんはショコラも作っています。フルーツやスパイス、お花など、女性的な華やかなショコラが目をひきます。
そして、フランスのお惣菜トゥレトゥールも豊富です。
お肉をパイ生地で包んだものやフォアグラなど、ホームパーティーで食べてみたいものがたくさん!



簡単なお惣菜や雑誌類もある日常的なゾーン
フルーツや野菜もおいてあるのです


ニーデルモルシュヴィル村には、フェルベールさんのお店が唯一のお店ということで、パティスリーとしてだけではなく、雑誌やフルーツ、飲み物なんてものも売っています。日本で言う商店のような感覚でしょうか。村の人にとっては、お菓子だけではなく、生活を担う貴重なお店でもあるのでしょうね。

アルザスの陶器はほのぼのする可愛さ お菓子の道具や型の販売も


そして食べ物だけではなく、雑貨類もおいてあります。
アルザスの北にあるスフレンハイム村で作られるぽってりあたたかみのある陶器のピッチャーやお皿、カップなどがとてもかわいらしいです。フェルベールさんは水玉がお好きなのか? おいてある陶器類は水玉模様が多かったです。
そして、お菓子の道具も発見。銅鍋や復活祭のお菓子「アニョー・パスカル」の型がありました。アニョー・パスカルはとっても小さいサイズのものがあり、珍しかったので思わずここで購入しました。
その他にもオリジナルのトーションやフェルベールさんの書籍なども販売しています。

小さな村のお店ですが、そこにはフェルベールさんのあたたかい空気感がふわっと漂う空間が広がっています。お店に入るだけでほっとして笑顔になってしまうようなそんな不思議な魅力があります。

旅で訪れるには(車がないと)多少不便な所ではありますが、ぜひアルザスを、そしてフェルベールさんを感じるために行って欲しいそんな素敵なお店です。



Shop data
Maison Ferber
18 Rue des Trois Epis 68230 Niedermorschwihr, France




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