小麦粉、酵母、塩と水。シンプルな材料が、どうしてこんなに深い味わいを生み出すのだろう・・・。食べるたびにそんなことを考えさせられるのが、シニフィアン・シニフィエ 志賀勝栄さんの作るパン。いったいどんな発想から生まれ、どうなふうに形になっていくのか?この「酵母から考えるパンづくり」では、そんな志賀さんのパンに対する考え方や技術が、美しい写真とともに紹介されています。





タイトルの通り、基本になっているのは“酵母”。ルヴァン液種やホップ種など、様々な酵母の種類や起こし方に始まり、その種類別にパンが紹介されているのが特徴で、例えば“微量イースト・長時間発酵でつくるパン”では、あの“バゲットムニエ”の製法が、その誕生のエピソードとともに丁寧に解説されています。


パンはそのほとんどが「ユーハイム・ディー・マイスター 丸ビル店」を始め、今まで志賀さんが実際に販売にあたり考案してきたもの。あの“MARUブロート”や“大納言”などの秘蔵アイテムを始め44種類のパンが紹介された、まさに集大成といえる内容です。

「1年間かけて、ようやく形になりました。どんな思いでこのパンを考えて作ったか、それを読んでもらえると嬉しいですね」

と、志賀さん。


写真に添えられたエピソードだけでもかなり読み応えがあるので、プロにはもちろん、食べるだけの人にもおすすめしたい作品。憧れのパンにトライするのもよし、じっくり読むのもよし。本を片手に志賀さんのパンを味わえば、今まで気付かなかった美味しさや食感を発見できるかもしれません。






〜 本書より 〜
ひとつひとつの素材やパンにつくり手として向き合い、そのもっとも美味なる在りようを模索したうえの必然がそこにあることを、実際に手を動かしたり味わったりしながら感じとっていただければ幸いである。





『酵母から考えるパンづくり』

著者:シニフィアン・シニフィエ 志賀勝栄
発行:柴田書店
定価 \3,500(税別)