カシャッと崩れる儚い食感・・・。
そして訪れる、キャラメルやバラ、フルーツの魅惑的な味覚。
色も風味もバリエーション豊かなマカロンですが、元々はバニラやコーヒー、チョコレートといった限られたフレーバーだけのクラシックなお菓子でした。
その常識をくつがえし、今のようなマカロンを作り上げたのが、ピエール・エルメ氏です。



ピエール・エルメ氏


「私はマカロンの味覚のポイントは何だろうと自問しました。そして、マカロンコックが大事なのは当然だけれども、やはりマカロンは挟む中身で良し悪しが決まるのではないかと思い至りました(本書より)」


こうして、エルメ氏は、ピスタチオ、レモン、バラなどを使ってレパートリーを次々に広げていき、今のようなカラフルなイメージが定着したのです。


オリーブオイルとバニラのマカロン

そんな、ピエール・エルメ氏の30年以上に及ぶマカロン観とも言えるものを、余すところなく紹介する待望の1冊が本書。マカロンの作り方はもちろん、50種類以上のテイストがエルメ氏のコメントとともに紹介されています。


例えば、有塩バターカラメルのマカロンだったら、

「私は粉糖を徹底的にカラメリゼすることで、深い琥珀色のカラメルの力強い味覚を実現させました。その際、バタークリームを使って、カラメリゼした粉糖の味覚を一層生かすようにしたのです(本書より)」

有塩バターカラメルのマカロン

という具合。

常に、自身のレシピを公開してきたエルメ氏。今回も、マカロン作りのコツや、材料の取扱い先などまでかなり丁寧に紹介されているので、プロの方も必見です。


チュアオ・チョコレートとカシスのガナッシュ・・・
ヤグルマギクを散りばめたマカロン・チュアオ

マカロンは、クラシック、フェティッシュ、シニャチュール(署名)、オーダーメイド、特別作品というカテゴリーに分けられ、中には、"ケチャップ マカロン(オーダーメイドより)"や"オシェトラキャビアとオードノワのマカロン(特別作品より)"など、いったいどんな味なのか想像できないようなものも・・・。エルメ氏のそんな奇抜な発想も、コメントとともにページをめくっていけば、そのヒントがチラリと垣間見えるような気がしてきます。


オシェトラキャビアとオードノワ
のマカロン

そして、もうひとつ。言葉以上にマカロンの美味しさを伝えてくれるのが、ドイツ人写真家ベルンハルト・ヴィンケルマン氏による写真の数々。マカロンの質感が、繊細に、ときに大胆に表現されていて、香りや音まで聞こえそうなほど。
プレゼントやインテリアとしても素敵な一冊です。





PIERRE HERMÉ MACARON
ピエール・エルメ マカロン

著者: PIERRE HERMÉ ピエール・エルメ
発行所:旭屋出版
定価:4,000円(税別)

※ 2008年10月にフランスで発売された
ものの日本語訳版となります



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