お菓子好きなら、誰もが憧れる名店・・・。 今年、30年という節目を迎えた成城「マルメゾン」は、そんな素敵なパティスリーのひとつです。



ビスキュイ・キュイエールでさわやかなヨーグルト・クリームとフルーツを巻き込んだ「プランタン」。「マルメゾン」ファンには思い出深いケーキのひとつ

定番の「オペラ」は、第2章「ずっとつくり続け、さらに進化し続けるお菓子」から。基本の配合はそのままに、プラリネを加えることもあるそう





シェフの大山栄蔵氏といえば、言うまでもなく洋菓子界を代表する重鎮のひとり。「ル・パティシエ・タカギ」高木康政氏や、「リュード・パッシー」長島正樹氏など、数々のパティシエが、腕を磨いた場所でもあります。食べ手にも、作り手にも色あせない魅力・・・。それは、ずっと流されることのない味とスタイルにあるのかもしれません。



丁寧に書きためたスケッチブック。ケーキへの愛着と年季の長さを感じます




大山栄蔵氏がフランスでの修業を終え、「マルメゾン」をオープンしたのは1977年のこと。 フランス菓子が珍しいと思われていた時代から、今に至るまで、その30年分の想いをまとめたのがこの1冊です。


1975年、「ホテル・プラザ・アテネ」時代の集合写真。修業時代の話しも紹介されています




内容は、“マルメゾンの30年を彩る代表的お菓子”、“ずっとつくり続け、さらに続けるお菓子”、“時代を映すお菓子”、“マルメゾンの今、そしてこれから”の4部構成で、様々なケーキや焼き菓が紹介されています。
ープン当時は、使いたい乳製品やフルーツが手に入らなかったり、本場そのままの味が日本人の舌には強すぎたり・・・。
レシピの合間に、そんなエピソードが織り込まれているのもこの本の特徴です。


「テ・シトロン」。当時は珍しかった紅茶味も、今や定番商品に

ショコラのリボンをヒントに作り上げた「ボアット・ブランシュ」。食べる人に喜んでもらいたいという想いが込められた一品




“自分のことは「洋菓子職人」と思っています。陰の演出家ですね”と本の中で語る大山氏。
今のようにパティシエがもてはやされる存在ではない時代から、お客様の笑顔を演出するために毎日毎日ケーキを作り続けてきたその重みが、この本にはあります。
マルメゾンが好きな人にも、まだ知らないという人にも、ぜひ読んで欲しい一冊です。



マルメゾンの洋菓子

著者:大山 栄蔵
発行所:日本放送出版協会
定価:¥3,500(税別)




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