飛騨高山の名店「トラン・ブルー」の成瀬シェフ、渾身の1冊が発売されました。タイトルは「トラン・ブルーが切り拓く パンの可能性」。
成瀬シェフといえば、2005年のベーカリーワールドカップ「クープ・デュ・モンド」に日本代表選手として出場。そしてその大会で、日本代表チームは3位という見事な結果を収めました。
そんな実力派の成瀬シェフの28年間にも及ぶ、パン職人人生の集大成ともいえる1冊がこの本なのです。





内容は「パン」「ヴィエノワズリー」「香りと粉を工夫したパン」の3項目で構成されています。それぞれに配合と工程が紹介され、そして、細かい写真構成で丁寧に手順が解説されています。
配合と工程については、その考え方とポイントなども書かれているので、理論的にも技術的にも納得しながら学べる感じ。パン作りをしている人にとっては、待望の1冊、そしていつも手元に置いておきたい1冊になること間違いなしです。

過熟成の種(ポーリッシュ種)を使うので、ミキシング時間は短くなる。発酵、熟成を抑える方向で作業を進める。そうしないと過熟で、味の抜けたパンになってしまう。
〜工程の考え方とポイントより〜


もちろん、パンを食べることだけが好きな人にとっても、この本は見ているだけでもおいしそうな1冊。こうやって、あのおいしいパンができるんだ・・・ということをじっくり目で見て味わってみてください。

手順写真のページは、視覚的にわかりやすいようにと、見開きになっているのも嬉しい


それぞれの生地については、その生地を使ってアレンジしたパンなども紹介されています。その場合は、そのパンの名前に「○○の生地を使った〜」と表記されているので、わかりやすいし、ひとつひとつの生地の可能性も感じさせてくれます。

ルヴァン・ド・パートのリュスティック生地
を使ったショコラ・ジャンジャンブル


そして、さすが、成瀬シェフ!クロワッサンの生地も三つ折を3回する「3×3×3のクロワッサン」と、四つ折を2回する「4×4のクロワッサン」の2種類を紹介。そして、それぞれの生地を使ったデニッシュがたくさん紹介されていて、見ているだけでもおいしそうなページが続きます。また、嬉しいことにクロワッサンを作った時にあまってしまう生地を使ったヴィエノワズリーなども掲載されていて、本当に完璧な内容といえそう。

3×3×3のクロワッサン生地を使った
和栗のデニッシュ


クープ・デュ・モンドで作ったヴィエノワズリー5種のうちの3種類が本書で紹介されています。貴重なレシピをぜひご覧ください


カバー裏に書かれた「本書の発刊に寄せて」だけでも必見。でもこれを読んだら、この本を見たくなるに違いないけど


おいしさと美しさを追及した至極の47品
その配合と工程を大公開

と、表紙カバーに書かれているとおり、この本には成瀬シェフが長い間追及してきたパンのおいしさが詰まっています。そして惜しげもなく、そのレシピを公開してくれているのです。
トラン・ブルーが切り拓いてくれたパンの可能性は広く、大きく、奥深いもの。そしてその可能性をもっと広げていくのは、この本を手に取ったあなたなのかもしれません。




トラン・ブルーが切り拓く
パンの可能性


著者:成瀬 正
定価:¥2500+税
発行:株式会社 旭屋出版