「人の記憶に残るのは、香りとうま味。香りを意識することで料理がわかる!」
この冬、旭屋出版からハーブとスパイス使い、そして香りのテクニックについてのレシピ本が発売されました。
スパイス使いの料理本は、今までも数多くありましたが、香りについてもしっかりと掘り下げたものは、意外と少なかった気がします。
でも最近、香りについて知りたい人が多くなってきたことも事実。そんな中、発売されたこの本は、実にタイムリーな話題満載と言えるのではないでしょうか。




まず、香りの基礎として「香りのメカニズム」から始まるこの一冊。「香りは直接、脳に伝わる!」「食べ物の好みは風味で決まる!」という香りのメカニズムから、ぐいぐい内容にひきこまれていきます。
「そうだったんだ!」「うん、うん、確かに!」と、納得しながらページをめくっていくと、
始まるのは、6人のシェフたちによるハーブとスパイスの使い方、そして香りの活かし方が表現された料理やパンなどのレシピ集。

「ル・マンジュ・トゥー」 谷 昇シェフ
「ピアット スズキ」 鈴木 弥平シェフ
「ル・コック」 比留間 光弘シェフ
「シニフィアン シニフィエ」 志賀 勝栄シェフ
「パッソ ア パッソ」 有馬 邦明シェフ
「ネ・プラス・ウルトラ(会員制バー)」 伊藤 学氏

贅沢な顔ぶれの人気シェフの教えるハーブ&スパイス使いと香りのテクニックは、スパイスや香りの効果がわかりやすく、すっと体になじむように入ってきます。


谷シェフのレシピから「牛肉のステーキ 数種のステーキの赤ワインソース」。スパイス使いのポイントと共にレシピが紹介され、この次のページには、使われているスパイスについても詳しく説明がされています。




我らが「シニフィアン・シニフィエ」の志賀シェフのレシピも登場。しみじみ、この本の贅沢さを感じます。


この本を企画・編集したやぎぬまともこさんの「香りは人の記憶に残ります。香りは脳への神経信号。鼻や口から入った香りの信号は、情緒や自律神経の司令塔に直接働きかけ、脳へダイレクトに伝わります」という言葉を、見事に表現して見せたレシピの数々は、読者に、香りとスパイスの奥の深さとその可能性を、そして香りとスパイスを理解していくことで、限りなく広がっていく"おいしさ"の可能性を伝えてくれます。
レシピだけでなく、この本には香りのスペシャリストたちの話や、香りとスパイスの知識なども織り込まれ、目からうろこの話題もたくさん!


途中にはスパイスと香りの勉強ページも。活用術や相乗効果、抑制効果など、わかりやすく説明されています。


なんと、パナデリア主催の「香りの会」のことも載せていただきました。調香師の村井千尋さんとパナデリア主宰の三宅との対談も、ぜひ、読んでみてください。


レシピ集としても楽しめるこの一冊ですが、ぜひ、香りとスパイスについての知識と理解を高め、あなたの料理、パン、お菓子作りのレベルアップに役立ててみませんか?もちろん、食べるだけのあなたにとっても、香りとスパイスを意識するだけで、楽しさとおいしさが増すこと、間違いなしです。



ハーブとスパイス 使い方&香りのテクニック

企画・編集:やぎぬまともこ
定価:本体3000円+税
発行所:株式会社 旭屋出版