例年よりも早く本格的な寒さが到来したこの冬。世間がクリスマス一色に染まっている頃、一足早く、来年のバレンタイン新商品を発表したアンリ・シャルパンティエ。向かった場所はもちろん、アンリ・シャルパンティエ銀座本店。ビルは東京都選定歴史的建造物に指定されているというだけあって、堂々たる店構え。今年6月には、本拠地である兵庫県芦屋市に「メゾン アンリ・シャルパンティエ」をオープンしたばかり。そちらは真っ白な外観が人目を惹く、邸宅をイメージしたきらびやかなものですが、銀座本店はそれとはまた違った魅力。芦屋の老舗洋菓子店らしく、歴史を感じさせるどっしりとした重厚感が漂っています。しかし店内に足を踏み入れると、そこに広がっているのはシャープでモダンな空間。近代的ではあるけれど、クラシックさも併せ持ったとても落ち着く雰囲気です。そう、それはまるでパリのアパルトマンのよう。ここは、銀座の喧騒を忘れてしまうほどのひと時を与えてくれるアパルトマンなのです。

地下1階サロン・ド・テの一角に設けられた会場には、パリ・ルーヴル美術館に展示されている絵画「ガブリエル・デストレとその妹」の一部が照明に照らされ、幻想的な雰囲気。その下に設けられたテーブルには、店内のシックな装いを反映してか、落ち着いた趣で並んでいるバレンタイン商品。ブラウンやブラックを基調としたシックなパッケージも一緒にディスプレイされ、“大人のバレンタイン”といった印象です。

シルバーのハート型プレートがシャープな大人らしさを演出



今回新たに加わった商品は、フランス人パティシエ、クリストフ・フェルデール氏とコラボレーションしたものを含め2種類。まずは、フェルデール氏とのコラボレーションにより誕生したショコラ、「パルファン・ボヌゥール」。

大振りなショコラは一つ食べるだけでもかなりのボリューム

「優しい香り」という名を持つこの商品は、丸い形が「プラリネ」、四角いものが「ゴールデン・レーズン」。それぞれ端っこに金箔と銀箔がちょこんと施されているのがさりげなくてお洒落です。「プラリネ」はヘーゼルナッツとアーモンドの優しい風味に反し、粗めに砕かれたキャラメルの食感が新鮮。ブチブチした感じは驚くほど。そしてとてもミルキー。一方、ラムレーズン入りの「ゴールデン・レーズン」の方は、やわらかなラムの風味が広がり、ほのかにシナモンが香ります。両方とも名前通りの「優しい」味わいのショコラです。


そして、もう一つの新商品「マンディエンヌ」。

チョコレートが隠れるほどに乗ったナッツやドライフルーツの彩りも綺麗

今やパリのショコラトリーのみならず、日本でも定番となっているマンディアン。細長いミルクチョコレートとブラックチョコレートの上には、それぞれ異なったナッツやドライフルーツが賑やかに飾られています。ナッツのカリッとした食感、ドライフルーツのもちっとした食感、そしてそれらのコクとチョコレートがうまく調和し、一つ食べるだけでも何種類か食べたような満足感が得られます。



また、2005年のバレンタインに新商品として登場した3種も、引き続き発売されるとのこと。特に絶大な人気だった「エリクシール・ダムール」。

これぞバレンタイン!とも言える愛いっぱいのデザイン

「愛の媚薬」というだけに3色のハートがいっぱいの、見た目にも楽しいチョコレートケーキです。チョコレート色に染まるバレンタイン、一歩間違えれば地味になりがちですが、そんな中で華やかさを与えてくれる商品です。中にはフランボワーズのクリームがたっぷり挟まれていますが、酸味が強くないのでほどよいアクセントになっています。ふわっと軽く仕上げられているため、いくらでも食べられてしまいそう。
そして、これもショコラトリーでは定番のロッシェ、「クロキーヌ」。


ミルクチョコレートの方はアーモンドのカリカリ感とサクッと歯に当たるパフが心地よく、刻んだレモンの皮のコンフィが爽やかです。ブラックチョコレートのほうは、オレンジの皮のコンフィに加えジンジャーの風味が優しく広がります。「クロキーヌ」同様、カジュアルな感覚で食べられるのが「バールデュオ」。


シナモンサブレとオレンジサブレにはミルクチョコレート、紅茶サブレにはスイートチョコレート、ココアサブレとバニラサブレにはブラックチョコレートが組み合わせてあり、5種類の味のハーモニーを楽しむことができます。サクッと軽いサブレとチョコレートの相性の良さを改めて思わされる商品です。どこか懐かしいような素朴な味わいは、バレンタインのみならず普段のおやつにしてしまいたいほど。以上の商品以外にも、オペラにザッハトルテ、マカロンなど、たくさんの商品が店頭に並ぶようです。



バレンタインは、贈る相手のことを考えながら選ぶ楽しみがあるのはもちろんのこと、それ以外にもチョコレート好きにはたまらないイベントであることは間違いありません。事実、自分のためにチョコレートを購入する女性も増えているのだとか。まだまだ先の話のように思われるバレンタインですが、年末年始の慌しさも手伝い、あっというまに時は経ってしまいます。今からゆっくりとチョコレート選びを始めてみるのもいいかもしれませんね。自分のために、そして大切なあの人のために…。