あなたはスイーツにどんな飲物を合わせますか?
紅茶やコーヒー、爽やかにハーブティもいいけれど、最近注目を集めているのが甘いワインとスイーツの組合せです。ショコラの人気と共に、日本でもお酒とのマリアージュがだんだん浸透してきましたが、ヨーロッパでは昔からポピュラーな楽しみ方。特に甘いアイスワインやデザートワインは特別な日の贈り物にされるほど貴重な飲物なのだそうです。
ワインの生産地は数多くありますが、アイスワイン発祥の地として素晴らしい味わいを生み出しているのがドイツ。その奥深い魅力を探るべく、アイスワイン、デザートワインの試飲会に行ってきました!


場所は、広尾は有栖川公園にほど近い、ドイツ連邦共和国・大使公邸。 さっそく、入り口でドイツのスパークリンクワイン“ゼクト”のグラスを受けとり中へ。広々とした庭園を望む広間は、すでに大勢の人で賑わっていました。

「ドイツには良質なワインの生産地が数多くあります。大切な人と過ごすときにかかせないデザートワインとアイスワインを、皆様にご紹介する会を開くことができたのは長年の外交生活の極みです。どうぞ、その味わいをお楽しみください」 という挨拶で会がスタート。

駐日ドイツ連邦共和国公使のシュテファン・ガロン氏


ワインというとフランスやイタリアが有名ですが、ドイツのぶどう栽培はローマ時代にまで遡ることができるほど歴史のあるもの。その魅力をもっと広めていきたいという気持ちから、こうして試飲会が開かれているのだそうです。ちなみに、その母体となるドイツワイン基金では、今後5年間でドイツにある13の生産地の個性を提案紹介していく予定だそうです。

昨年会長に就任した、ドイツワイン基金会長 モニカ・ロイレ氏


そして、乾杯の挨拶。特別ゲストとして登場したのは、大のスイーツ好きとして知られる第62代横綱の大乃国親方です。
「デザートワインはスイーツとの相性が良いそうなので、この機会に試してみたいと思います」
若い弟子力士を従え貫禄タップリの親方ですが、同じスイーツ好きと聞くと親しみを覚えてしまいます。

「第62代横綱 大乃国の全国スイーツ巡業」(芝田山 康 著)で新たな一面を見せてくれた大乃国親方

甘美なるワインとスイーツに乾杯!


さっそく隣の会場へ移ると、ぶどうの女王と名高いリースリングから作られた合計21本のワインがずらり!同じリースリング種のブドウを使っていても、ワインの造り方などにより様々な味わいが生まれるのだそう。
うーん、どれから飲むか悩むところ・・・。ではここで、簡単にワインの違いを説明しておきましょう。

まず戸惑うのが慣れないドイツ語の長〜い名前。そんなときには趣向を凝らしたラベルで選んでみるのも一興です




● アイスワイン

“アイス”という名の通り、おいしさの秘密は凍結にあります。樹についたまま冬を迎えたぶどうは、凍結と解凍を繰り返すことで水分が少なくなり、甘みと香りが凝縮。そのぶどうをマイナス7℃の氷点下の中、丁寧に手で摘み取り、凍った状態のまま絞ると、氷点下でも凍らない糖度の高い果汁が絞られるというわけなのです。採れる量は、ぶどう1房からなんとスプーン1杯程度!これは通常のワインの1/8程度の量だそう。さらに、ワインの8倍もの時間をかけて、じっくりじっくり熟成されるという、手間も時間もかかったワインなのです。ドイツでは、大切な日の贅沢品や贈り物として親しまれている最高級の甘口ワインです。

1998 ヘッペンハイマー シュテムラー リースリング アイスワイン, ヘシッシュ ベルグシュトラーセ 生産者組合ヘシッシェ ベルグシュトラーセ
干しぶどうのような独特の風味があります。軽さのあるすっきりとした味わい。



● デザートワイン

ベーレンアウスレーゼ

収穫時期を遅らせた超過完熟のぶどうを使用。一粒一粒、手作業で収穫したその実は非常に甘みと香りが強く、ぶどうに付着した貴腐菌の作用によってハチミツのような芳香が味わえるのが特徴。まさにエレガントと呼ぶに相応しい甘口ワインです。

2005 ウルツィガー ヴュルツガルテン リースリング ベーレンアウスレーゼ, モーゼル ワイングート Dr.ローゼン
ワインスペクテーターで96点、ロバートパーカーより94点を取得したワイン。花のような繊細な香りに、ぶどうのフルーティさと酸味が心地よく広がります。


1994 リースリング ベーレンアウスレーゼ, ワイングート ライヒスラート フォン ブール
ブランデーのような茶に近い色合い。サラッとした軽い甘みに酸味が主張した個性的な味わい。




トロッケンベーレンアウスレーゼ

ベーレンアウスレーゼに使うものよりも、さらに過熟したぶどうを使います。貴腐菌がつき、自然に水分が蒸発したぶどうは、樹についたまま干しぶどうのような状態になり、甘みと香りがさらに凝縮。トロッとした琥珀色と、力強いコクが特徴の最高級ワインです。

2005 マキシン グリューンホイザー アブツベルグ リースリング トロッケンベーレンアウスレーゼ, モーゼル ワイングート マキシム グリューンハウス, グーツファーワルトング C.フォン シューベルト
ロバートパーカーより94点を獲得。輝くような琥珀色が特徴。コク、甘み、酸味それぞれが力強く、そのバランスも見事。大乃国親方もお気に入りの一品です。





さっそく、試飲スタート!口に運ぶと、最初に感じるのは舌に絡みつくようなトロッと濃厚な甘み。それを追いかけるように、フワッと香りが広がります。その香りは、花の蜜のような優雅さのあるもの、レーズンのような枯れた風味のもの、フルーティさとすっきり感を合わせもつものなど多種多様。今回は、アイスワイン9種、デザートワイン12種(ベーレンアウスレーゼ9種、トロッケンベーレンアウスレーゼ3種)のセレクションでしたが、それぞれに違いがはっきりと感じられました。

アイスワインのブースで、人気だったのがユリウス レンツ社のヴュルテンベルグ(輸:BCIL Japan)。なんと、ハーフサイズで24,000円という高級ワイン!トロッとした琥珀色の液体は、甘くそして芳しい香り。華やかかつ繊細な香りが広がり、そして喉越しはあくまですっきり。

歴史あるシュナイト城に眠るプレミアムワインは、特別の日にぜひ!


“これは、おいしい!”と感動していると、
「うん。これは、フォアグラに合わせてもおいしそうだな!」
と、ケーキを片手に試飲をしていた大乃国関も満面の笑みを浮かべていました。

ドイツを代表する味のひとつとして紹介された白ワインですが、ドイツ流の楽しみ方も一緒に提案しようというのも今回の目的のひとつ。クリスマスにかかせないシュトーレンのほか、サロン・デュ・ショコラにも出展していたドイツのショコラティエ、コッペニア氏が手がけるBIOのチョコレートも並びます。

ドイツの家庭ではシュトーレンと一緒にデザートワインを楽しむことも多いそう


「アイスワインにチョコレートの組合せは、やっぱり最高ですよ」
そんな声に誘われて、さっそくひと口。

BIO、産地指定に加え、スパイス使いが楽しいコッペニア。パッケージもかわいい!※キャレタイプの販売予定は今のところないそうです


「元々、ドイツのチョコレートにはスパイスを合わせたものが多いんです。この『OCUMARE(ベネズエラ)』は、カカオ分72%のチョコレートをベースにカカオニブとチリペッパーでアクセントを出したもの。ピリッと辛くて、面白い味わいですよ」
他にも、キャラメル風味の「UBA BUDO農園(サオトメ&プリンチペ)」、コーヒーとシナモンの「JAVA(インドネシア)」など、素材にこだわりつつも食べやすい味わいにアレンジされているのが特徴。最近何かと話題のオーガニックですが、このBIOチョコレートも近々日本に上陸する予定だそうです。

そのほか、テーブルにはSchokoladenkuchen(チョコレートケーキ)や、レモンの香りが爽やかなTorte(タルト)などのスイーツがずらり。


ワインの香りが、チョコレートのコクを軽やかに、そしてベリーの酸味を華やかに包みます


その中でも、特に甘いワインと相性の良いとされるブルーチーズのクリームをたっぷりと詰めたシューを片手に、ベーレンアウスレーゼを試飲してみることに。チーズの軽い塩気によって、ぶどうのフルーティで華やかな甘みが引き立てられ、濃厚な味わいがより深められていくよう。紅茶やコーヒーもいいですが、こんなふうに相乗効果を生み出してくれるのはワインならではといえるかもしれません。

濃厚なブルーチーズに、ハチミツのような甘みがぴったり


次は、どのケーキとワインの組合せにしようか・・・、そんなことを繰り返していたらすっかりほろ酔い気分に。気が付けば、会場はほんのり頬を染めた参加者たちの笑い声に溢れていました。 味のおいしさはもちろんですが、くつろいだ気持ちと、さりげない華やかさを演出してくれるのもワインの良いところ。 今年のヴァレンタインには、ワインを添えて楽しい時間を演出してみるのも良いかもしれませんね!





ドイツワイン基金駐日代表部
www.dwfjp.com