色鮮やかなケーキが並ぶアンリ・シャルパンティエのショーケースの中でも、ひと際目をひく「パリ・コレクション」。パリ6区に構えるラボラトワール(お菓子の研究所)のクリストフ・フェルデール氏の手から生まれるアーティスティックな作品が、年に3回、パリから届けられています。フェルデール氏といえば、24歳という若さで、オテル・ド・クリヨンのシェフパティシエに抜擢されたり、フランス文化省より「芸術文化勲章」を授与されたりと、華やかな世界で活躍しているイメージ。でも、素顔はとっても気さくで優しい方。そんな氏の作品は、斬新なスタイルで驚かせつつも、どこか親しみが感じられるのが魅力です。さて、19回目となる今回は、どんなケーキが飛び出すのでしょうか?

銀座本店の店内。高級感のあるモダンな空間は、いつ見ても素敵です!



Parfums Rive Gaucheとは、“セーヌ左岸の香り”の意味。パリの中でも、左岸といえばトレンドの発信地。そこからイメージされる香りが、今回の主役のようですが・・・?
「例えばパリジェンヌの足跡をたどるだけでも、新しい香りのトレンドは発見できるもの。今回のコレクションでは、ローズ、ジャスミン、コクリコ、バニラ、サフランといったさまざまな香りを見つけていただけることでしょう。パリの片隅にあるかわいい小さな楽園、そんなイメージのケーキです」
とフェルデール氏。
まずはピンク、赤、オレンジなどを主体としたキュートな色合いに、誰もがうっとりしてしまいそう!そしていざ食べてみると、意外な素材や香りの組合せに驚かされたりワクワクしたり。さすがはフェルデール氏、デザインといい味わいといい、スイーツ好きの心をくすぐるアイデアが満載です。

Nuance Fraise ニュアンス・フレーズ

真っ白い生クリームのジュレで覆われたケーキ。中にはピスタチオのビスキュイ、イチゴのコンポート、ピスタチオのババロアが隠されています。更にアクセントとして使われているのが、コクリコの香り。コクリコは「ひなげし」「ポピー」として知られるケシ科の一種で、フランスではお菓子に使われることもある素材。ポピーと言われると日本ではフローラルなものを想像してしまいますが、コクリコの香りはココナッツを思わせるもの。この香りの効果でイチゴがより繊細に感じられることから、「イチゴのニュアンス」というネーミングがつけられました。イチゴとピスタチオの組合せにカスタードクリームと生クリームのまろやかさがプラスされ、優しい味わいに仕上がっています。


Fuchsia フュシャ

薄いピンク色のビスキュイの間に、卵の味わいが優しいサバイヨンクリームと、甘酸っぱいフリュイ・ルージュのコンポートをサンド。ほんのり効かせたキルシュの香りがポイントです。デコレーションはフューシャピンクのチョコレートで華やかに。ちなみにケーキのネーミングは、フュシャの花の色から名づけられました。日本ではホクシャとも呼ばれるアカバナ科の低木で、鮮やかな花の色合いが特徴。その色合いは、フランスで広く愛されているそうです。


Chiboust+ シブースト・プリュス

伝統菓子であるシブーストに、フェルデール氏ならではのアレンジをプラス・・・という意味を込めたケーキ。見た目はミルフィーユのようですが、実は全くの別もので、上から、ビスキュイ、蜂蜜レモン風味のシブースト、フィユタージュ・アンベルセ、リンゴのコンポート、フィユタージュ・アンベルセという構成。バニラとバターが香るパイ生地も、レモンやリンゴの酸味で爽やかに。すっきりと食べやすく仕上がっています。瑞々しく、シャキシャキとしたリンゴの食感も魅力的。


Baba-rose ババ・ローズ

ピンク色のババロアはバラとジャスミンの香り。クリーミーな味わいの中からエレガントな香りが立ち上り、とても華やかです。センターにはパン・ド・ジェーヌの生地といちごのコンフィチュールを入れてコクをプラス。更に少量忍ばせたカシスのジュレの酸味が程よいアクセントになっています。ころんとしたフォルムと生クリームをたっぷり絞ったスタイルは、フランスの伝統菓子、ババを意識したもの。というわけで、名前は「Baba」「bavarois」「rose」から考えられた造語なのだそう。そんな言葉遊びも楽しい一品。


Ivresse イヴレス 

メロンとサフラン。そう聞いただけでも贅沢なイメージ。たっぷりのメロンのスライスの下には、サフランで香り付けしたクリームとジューシーなメロンのジュレが。そしてグロゼイユがアクセント的に使われています。これらのクリームやフルーツを受け止める土台は、カリッと焼けたパート・シュクレ。メロン、サフランにバター・・・魅惑的な香りの組合せで、イヴレス(陶酔)の世界へと誘います。






とにかく可愛らしい今回の5作品。“今日はどの色、どの香りにしようかな?”なんて、洋服を見る感覚で選んでみても楽しそう。春はもうすぐそこ。明るい服に着替えたら、早速出かけてみてはいかがですか?(2009.03)



販売期間2009年3月1日〜4月15日
販売店舗全国のアンリ・シャルパンティエ直営店にて販売







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