「モバックショー」のメインとなるのが、企業ブース。今回出展する約280社それぞれが、自慢のアイテムを並べているので、歩いているだけで今のトレンドがつかめそう!


「わ、いい香り!おいしそう!」
チーズの芳しい香りと共に窯から現れたのは、焼きたて熱々のピッツア。モチッとやわらかそうな生地に、チーズがトロリと溶けて、なんともおいしそう!




「どうぞ、おいしいよ」 と笑顔ですすめてくれたのは、あの「パンステージ プロローグ」の山本シェフ。実は、パナデリアの石窯パン教室でもお馴染みの〈櫛澤電機製作所〉のブースに、助っ人として参加しているのです。



よく見ると、ブース内には、「レ・サンク・サンス」のエマニュエルシェフや、初代パナデリア石窯パン教室の講師、加藤先生の姿といった、強力な助っ人の面々が。ピッツア専用窯ではピッツア、石窯ではバゲットやクロワッサンなどが次々に焼き上がり、会場の皆さんに振舞われていました。
約30秒という短時間で焼き上げたピッツアは、中がモチッとやわらかく、何枚でもペロリと食べられそうなおいしさ!これなら、〈櫛澤電機製作所〉が誇る石窯の魅力を存分にアピールできそうです。

さて、腹ごしらえもすんだところで、ブースめぐりに出発!




見たことのない珍しい窯を発見!なんと、〈Wachtel Asia〉という台湾の会社の製品でした。飾りのついた取っ手や、金縁のメモリなど、見た目に力を入れているようです


ミキサーや窯など、パンやケーキの製造に欠かせないアイテムを幅広く扱う〈愛工舎〉のブース。

某テレビ番組ですっかりお馴染みになった、トンネルオーブンを発見! コンベアでゆっくりと流れながら焼くこのオーブンは、お菓子の工場にはかかせない存在です。ちょうど焼きドーナッツの実演中でした



なんてスタイリッシュな窯! と思ったら、フランスの有名ブランド、ボンガード社のものでした(〈日仏商事〉)。ガラス部分を大きく取り、ピカピカのステンレスで仕上げた窯は、ヨーロッパの風を感じる美しさ。機能面も充実していて、蓄熱性の高い石床の焼成室に特殊網を、フロントガラスに熱反射ガラスを採用することで熱効率もアップしているのだそう。最近増えている、ディスプレイとしての窯にも最適です(BONGARD ソレオ エルゴコム)





先に進むと、バウムクーヘン専用の窯を発見。バウムクーヘンの窯からトータルプロデュースまでを行なう〈不二商会〉のブースです。下の部分に加熱前の生地が入っていて、それを巻きつける棒がゆっくりと回転しています。バウム好きにとっては夢のような仕事かも・・・?!


安食シェフ始め有名パティシエからの支持も厚い〈ツジ・キカイ〉からは、画期的なアイテムが登場していました!名前はパティ(Patty)。実はこれ、〈ツジ・キカイ〉が得意とする窯ではなく、冷やす機械なのだそうです。



そこで、社長の山根さんに伺ってみました。
「これは、急速冷凍庫ならぬ、急速冷蔵庫なんですよ」
え?急速冷蔵庫とは、初耳ですが・・・。
「パティシエの方たちから話を伺っているうちに気がついたのが、焼いた生地が冷める間の環境。焼き立てはすごくおいしいものでも、冷めるとパサパサになってしまうことがあるんです」
確かに!お菓子作りが好きな方なら、経験があるのではないでしょうか?実は、しっとりと焼き上げた生地も、自然放置して冷ます間に、水分が気化してパサついた食感になってしまうのだそう。
「そこで、できたのがパティ。これは、蒸気とともに逃げてしまう水分や、そこに含まれる味・香りを閉じ込めたまま冷却することができるんです」
さっそく、パティで急速冷蔵した生地を試食させていただくと・・・。確かに、全体にしっとりとしていて、香りや味もハッとするほど豊か。これは確かに優れものです。


右がパティスリー用オーブンの“エレガンス”。左はスチームの出るコンベクションオーブンとパティがセットになった“ベイキー&パティ”



さて、大きな設備を見学したあとは、小物や材料を物色します。



ずらりと型が並んでいるのは、〈石川ホーロー〉のブース。プロ向けの大きなサイズの天板やシリコン型、食パン型など、かなりバリエーションが豊富です。


最近人気の角食型を発見! 小ぶりなキューブの形がおしゃれです。4連結になっているので、窯から取り出す作業も簡単




こんなキュートなアイスクリームの型もありました。〈Stecco flex〉というメーカーのもので、シリコン製の型にアイスクリームを入れて固め、最後にチョコレートコーティングをするというもの。こんなアイスキャンディなら、パティスリーのショーケースに並んでいても素敵ですね!




これ、なんだかわかりますか?
〈よし与工房〉で見つけたのは、エコで便利な新グッズ!
実は、パン屋さんなどでは手袋の脱着回数が多く、外した手袋の置き場所や衛生管理に悩まされているのだそう。



この手袋用袋“ワンデイグローブ”は、外した手袋を入れておくための袋で、これさえあれば無駄な使い捨てが減るという優れもの。また、マグネットが付いているので、冷蔵庫などに取り付けられ、置き場所にも困らないのもポイント。〈よし与工房〉の方によると、こんなふうに現場の意見から商品化させることも少なくないのだそうです




カラフルな素材が出迎えてくれたのは、製菓材料の専門メーカー<マルヤ>。フルーツや栗などの加工品を得意としていて、パティシエにも愛用者が多いメーカーです。 さっそく、棚を見てみると・・・



柑橘系の定番、“オレンジ”や“みかん”だけでなく、“ぽんかん”“たんかん”、さらには“清見タンゴール”“小みかん”“タロッコ”・・・といった、レアな柑橘系の名前も! 同じ柑橘類とはいえ、味や香りは微妙に異なるもの。これだけ種類豊富なら、かなり使い勝手が良さそうですね。

続いては、製パン製菓材料や機器類を取り扱う〈パシフィック洋行〉のブースへ。
「あれ?もしや、あの写真は・・・!」


われらが「シニフィアン・シニフィエ」の志賀勝栄シェフを発見! 志賀シェフ監修のもと作られた十勝産小麦100%の小麦粉で、パンはもちろん、焼菓子にも使えるそう

オーガニックブランドとして支持されている、フランス・デコローニュ社の粉や、ドイツ・ボッカー社のサワー種など、こだわり感のあるものが目をひきます




そろそろ、お腹がすいてきたなぁ・・・。と思いながら歩いていると、おいしそうなバゲットを発見! 〈鳥越製粉〉のブースです。


実は、日本で初めて本格的なフランスパン専用粉を発売したのが、鳥越製粉。バゲットを始めとする欧風パン用の粉を得意としていて、日本第一号のフランスパン用粉の"フランス"は、発売開始から50余年のロングセラー商品なのだそうです。
「小麦の種類などによって味や食感にも違いが出てきます。よかったら、食べ比べてみませんか?」
これは、貴重な機会!さっそく試食させていただくことにしました。



試食したのは、鳥越製粉で出している、5種類のフランス粉によるバゲット。
まずは、"フランス"を試食。昔に開発された粉だから、きっと軽くてフワフワの食感なんだろう・・・と勝手な想像をしていたのですが、見事に裏切られました。なんと、"フランス"で作ったバゲットの食感が、一番モチッとしていたのです。香りも豊かで甘みも強く、かえって今らしい食感と味わいに感じました。その反対に、新作の"メルシーフランス"はサクッと軽い食感。これには何か理由があるのでしょうか?



「バゲットは買った翌日に食べることも多いので、“メルシーフランス”は劣化しにくいことがポイントになっているんです。最近は、食感が軽く、爽やかな風味が好まれる傾向にあるんですよ」
とのこと。一部の専門店はさておき、世の中の大きな流れとしては、食べやすいバゲットが求められているということなのでしょう。とても勉強になりました。


〈前田商店〉では、“カレボー”ブランドのチョコレートを紹介。サクサクのパフをチョコレートコーティングした“クリスパール”は、パティスリーなどでも人気上昇中だそうです




小麦粉続きで訪れたのは、〈日本製粉〉のブースです。
「新作の“メルベイユ”で作った、バゲットとサブレです。どうぞ、食べてみませんか?」


"メルベイユ"は、新作だけれど、あくまでも昔ながらの製法にこだわった粉。石臼を使うなど、フランス産小麦を昔ながらの製法で製粉したという、自信作なのだか。
試食させていただくと、ザクッホロッとした力強くも儚い食感のサブレは、粉の旨みが濃く、メリハリのあるおいしさ。どこか、フランスで食べたサブレを思わせます。バゲットも、クラストが香ばしく、もっちりとしたクラムからは粉の甘みがじんわり。技術力を極めた上での"伝統製法"には、大きな意味がありそうです。


大きな可能性を秘めた“メルベイユ”。これから、どんなパン屋さんで使われるようになるのか、楽しみです。


他にも、まだまだご紹介したい新製品や便利グッズなどがたくさんあるのですが、ざっと駆け足でご紹介させていただきました!今回は、エコに配慮したもの、あえて「伝統」に着眼したものなど、進化のなかにも意味があるものが多く登場していたのが印象的でした。




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