ユーハイムから、新ブランド「マイスターユーハイム」が新たに誕生。伊勢丹新宿店と、三越日本橋店のオープンにあたり、新ブランドお披露目の発表会に行ってきました。
ユーハイムといえば、日本を代表する百貨店老舗ブランドですが、2002年の「ユーハイム・ディー・マイスター」のオープンを皮切りに、従来のユーハイムは「ユーハイムseit1921」とロゴを一新。更には、バウムクーヘン専門店の「カールユーハイム」、エキナカのニーズに即した「ボビーユーハイム」と、ここ数年でチャネル別に新ブランドを立ちあげ、あらゆる需要にあわせた商品展開で、新たな客層を開拓しています。
「マイスターユーハイム」は、ユーハイム5つめのブランド。ドイツ人のトップクリエイターが、クラシックなドイツの伝統菓子を、味覚・デザインとも現代的に再構築し、現在進行形のドイツ菓子を表現します。今回は、マイスターユーハイムを担う3人のクリエイターのトークショーという形でブランドのお披露目が行われました。

左からベルント・ジーフェルト氏、コルヤ・クレーベルク氏、ペーターシュミットグループのアーミン・アンゲラー氏


ベルリンの星付きレストラン「ファウ」のオーナーシェフであるコルヤ・クレーベルク氏は、ドイツのTV番組でも活躍中とあって、さすがに話術も巧み。スライドを交えて、ドイツの歴史から文化圏、四季折々の食べ物の話などを伺いました。ドイツ菓子を知るには、まずは“ドイツとはなんぞや?”を知ることが必要。ここはちょっと勉強モードで、試食に忙しいお口とフォークをしばし休め、クレーベルク氏の話に耳を傾けます。

「なぜ、ドイツには豊かなお菓子やケーキがあるのか?――それは17世紀初頭に起きた戦争で、ドイツは分裂国家になり、それぞれの国王は権威を示すため、宮廷菓子職人をつけていたから。当時、貴重品だった砂糖を自由に使えるなど材料にも恵まれていたため、このときドイツ菓子は多いに発展しました。その後バロック・ロココ時代にはドイツのクラシックなお菓子が確立され、19世紀に国内でてんさい糖が広く栽培されるようになると、市民階級にも広くお菓子が食べられるようになったのです」

なるほど、それを考えると“王様のお菓子”と呼ばれるバウムクーヘンが、コットブス風、ザルツヴェーデル風・・・と地方によって配合が異なるのも納得します。

焼き菓子のテーマは「ロカール・モデルネ」。ドイツの郷土菓子(ロカール)を現代風にリメイク(モデルネ)したユニークな菓子が揃う


さて、伝統あるドイツのクラシックレシピは、今回どのように生まれ変わったのか?30個以上のメダルを持つドイツの菓子チャンピオン、ベルント・ジーフェルト氏より、マイスターユーハイムの菓子についてのお話が続きます。

「内容は豊かに、でも構造はシンプルに、という考えで伝統的なドイツケーキを再構築しました。ドイツではクラシックなレシピである“ホーレンダーキルシュトルテ”も、日本のさくらんぼに合うようにアレンジして、パイ生地は抹茶を入れ、クリームには桜茶で風味付けをするなど、日本へのオマージュを表現しました」

新しく生まれ変わった「ホーレンダーキルシュトルテ」は、ドイツと日本の文化のコラボレーションケーキだ


生ケーキのテーマは「アインゲシュマック(ひとつの味、英語でワンテイスト)」。つまり、“1つのケーキには1つの素材”で構成されています。これは、ひとつの素材から複数のおいしさを引き出すため。また、全ての商品には人工着色料、合成香料は一切使っていません。このあたりは、従来のユーハイムの理念をしっかり受け継いでいるようです。

ケーキのポーションは大きめ。ボリューミー且つシンプルな素材と構造がドイツケーキのおいしさ


また、菓子のみならずパッケージのデザインも力が入っています。デザインは「ユーハイム・ディー・マイスター」立ち上げ時より、ユーハイムのデザイン全般を担当する、ペーターシュミットグループによるもの。今回の発表会でも、カラフルなパッケージを利用してディスプレーするなど、デザイン力をアピール。また、百貨店での売り上げの中核を担うギフト用には、箱を組み合わせ自由の形状にして、ロゴ入りのマネークリップでスリーブ留めするなど、デザイン性と実用性を兼ねています。


ドイツのトップクリエイターを迎えて、さらなる進化を遂げるユーハイム。新ブランド「マイスターユーハイム」は、日本人が抱いていた“ドイツ菓子=重い・古臭い”といった、マイナスイメージからの復興ともいえるのではないでしょうか。食べ物を知ることは、文化を知ること、というのを体感した今回のプレス発表会。お菓子を通して、ドイツの文化や歴史を知る良い機会にもなりました。みなさんも、マイスターユーハイムのお菓子で、過去・現在・そしてこれからのドイツを感じてみませんか?

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