“天高く、馬肥ゆる秋”・・・移りゆくのは雲の形や葉の色だけでなく、カラダが欲しがるスイーツも確実に秋モードになっています。あったかい飲み物と焼き菓子の組み合わせなんて、最高に幸せですよね。  
身もココロも秋真っ盛りの10月のある日、嬉しいお知らせが届きました。「リュードパッシー」にて新作試食会が行われるとのこと!昨年の秋もお邪魔し、新作ケーキを堪能させていただいたこの試食会、今年はどのような味わいに出会えるのでしょう?ワクワクしながら、お店に伺いました。



開店7年目を迎えたリュードパッシー。地元のお客様から愛される、学芸大学の人気店です

当日は通常販売せず、完全予約制で試食会が行われました。


今年で2回目の試食会は、常連客が中心。少人数で行われるので、シェフとお話をしながらゆったりと味わうことができます。普段は厨房にいるのでなかなか聞けないお客様の声も、試食会では直接コミュニケーションをとることができ、シェフにとっても貴重な機会となっているそうです。


長島正樹シェフ


「いつも来ていただいているお客様への感謝の気持ちも込めて、今年も開催しました。今回のテーマは“タルト”。開店当初に販売していたのですが、取り扱うお菓子のアイテムが広がっていく中でやめてしまっていました。お客様からの声もあり、この秋からまた販売することに。タルトはフランスでは古くから親しまれているベーシックなお菓子です。様々なタルトの世界を表現してみましたので、皆さんにタルトの新たなおいしさを見つけていただきたいですね」

と、長島シェフ。静かな語り口から、お客様を大切に思う真摯な気持ちが伝わります。シェフが伝えたい、新たなタルトの味わいとは?さっそくその内容を伺おうとすると・・・
「まずは、先入観無しに食べてみてください」と、ニコリ。
そうですね。まずはまっさらな気持ちで、タルトとの出会いを純粋に愉しむことにしましょう。





新作タルトは全8種類。一重に“タルト”といっても各々すべて表情が異なるもの。立ち込めるバターの薫りに、香ばしく踊るナッツ、ウルウルと輝くフルーツにアーモンドクリームの甘い香り・・・ひとつひとつのタルトから、素材の喜ぶ声が伝わるよう。丁寧な仕事にシェフの愛情が伝わります。





お皿に盛り付けられたのは、食べやすくカットされた全種類のタルト。全部食べられるなんて、ああ、幸せ〜。どれから食べようか・・・うーん、迷ってしまいます。試食した中から、一部をご紹介します。


フィユテ オ ポム ¥399
フランス式のシンプルなアップルパイ。パリパリ・・・と繊細に砕けるフィユテは、まさに落ち葉を踏むよう。自家製のリンゴのコンポートから爽やかな香りが口いっぱいに広がります。紅玉の酸味を、トップのわずかなバターとお砂糖が優しくまとめ上げます。シンプルだからこそ、素材の味わいを活かす技術とセンスが光る逸品。シェフ曰く、最大のコツは「紅玉が美味しい時期までじっと待つこと・・・」だそうです。


さつまいもとアナナスのタルト ¥263
スウィートポテトを思わせるようなネットリとした食感に、パイナップルの甘酸っぱい味わいが驚く程マッチ。一見バラバラになりそうな組み合わせを、一体化させているのは隠し味のグランマニエ。素材の味を繋げると共に、芋臭を全く感じさせないのも、洋酒の効果。土台のサブレには、シナモンやナツメグなどのスパイスが忍ばせてあり、東南アジアのデザートを思わせるようなエキゾチックな味わいです。


タルトレット オ ヴァンキュイ ¥336
フィリングは、赤ワインと数種のスパイスを煮詰めて作った“ヴァンキュイ”を使用し、フラン仕立てにしたもの。なんと1リットルの赤ワインを、200mlになるまで煮詰めてあるのだそう。濃縮したワインの深い味わいと薫りが、サブレのバター風味と絡み合い、奥行きのある味わいに。濃厚ながら、スパイスやワインの尖った部分は表面に出さず、あくまで上品で優しい味わいに仕上げてあるので、女性にも好まれそう。


タルトレット オ アマレナピスターシュ ¥336
イタリア・シシリー産のピスタチオを、生地にもフィリングにも使用。ふんわりと空気を抱き込んだクレーム・フランジパーヌにはピスタチオのペーストとパウダーがたっぷり入り、トップには皮付きのピスタチオが香ばしいアクセントに。 「同じ地域の食材同士は合うんです」と、長島シェフ。フィリングに忍ばせたアマレーナチェリーは、ファブリ社のシロップ漬けを使用。クリアな酸味と薫りが、ピスタチオのまろやかな味わいに好相性。



※ タルトの販売は土・日・祭日のみとなっております





ある時はフランスのクラシック、そしてある時はアジアンテイストに、イタリアンに・・・と、まるで世界を旅するような様々な味わい。素材の組み合わせ、洋酒やスパイスの効かせ方などで、味わいは果てしなく広がり、素朴なお菓子だと思っていたタルトが、こんなにも深くこんなにも愉しいものだとは!なんだか開眼してしまいそうです。
常連のお客様も、普段はあまり手が出なかったものや苦手と思っていた素材にも、新しい味わいを発見して、視野がぐっと広がった様子。シェフが今回のテーマを「タルト」にした真の意味が判ったような気がしました。深遠なるタルトの世界をそっと覗いてみたい方は、ぜひこの秋のリュードパッシーへ!!




リュードパッシー
住所 東京都目黒区中央町2-40-8
Tel&Fax03-5723-6307
営業時間9:30〜19:30
定休日水曜
アクセス 東急東横線 学芸大学駅 西口より徒歩5分



※このページの情報は掲載当時のものです。現時点の情報とは異なる可能性がございますのでご了承ください。