“この夏”まで待てなかったパナデリアが再びサロン・ド・テを訪れたのは、プレオープンから10日ほど経った頃。カウンター席に座り、「アシェット・アントワネット」をお願いした。メニューには、3品の“アシェット・デセール”と、それとは別に2品の“デセール”が用意されている。



デセールの他、店内ではマカロン、
マカロングラッセやプティ・ガトーも楽しめる



「ちょっとわかりにくいネーミングかもしれませんね。実は、“デセール”は「クレーム・ブリュレ」「ブランマンジェ」「イルフロッタン」などといったクラシックでよく知られているものを、対して“アシェット・デセール”は創作系のものを、という想いを込めて分けているんです。ここでいうアシェット・デセールは、いわば僕の集大成。プティガトー、セック、ドゥミセックなどで培ってきた全てのテクニックや感性を表現したいと思っています」。カウンターの向こう側でデセールを仕上げながら、言葉を返してくれる興野シェフ。こんな贅沢なひとときを楽しめるのも、カウンター席の特権なのだ。



どんな作品ができあがるのか・・・シェフを
見ながら想像をふくらませるのも楽しい



「お待たせしました。さあ、どうぞ!」

シェフ直々にサーブしてくれたアシェットが、ついに目の前に。差し出された真っ白なお皿の上には、ピンク色のスープの上にふわふわとしたクリーム色のムース状のものとアイスクリームとクランブル。そして赤いバラの花びらが少し。その美しさに、女性なら誰しも、溜め息を漏らしてしまいそう。

「バラのスープにバラのコンフィチュールでマリネした3種のベリーを浮かべ、バラのアイスクリームとマール・ド・シャンパーニュのサバイヨン、そしてクランブルを乗せました。バラとベリーとマール・ド・シャンパーニュ。これらはすごく相性がいいんですよ。是非デセールならではの"香り"を楽しんで欲しいですね」。



香りを楽しむアシェット・デセール「アシェット・アントワネット」。
バラをこよなく愛したアントワネットもきっと喜んでいるはず?!



スープがさらっと喉を通り、アイスがスッと溶ける瞬間。そして泡状のサバイヨンがふわっと溶ける時。バラの香りとマール・ド・シャンパーニュの香りが鼻の奥で交差する。そしてやってくる、エレガントな余韻!

「バラの香りが上品でしょう?これは、サンティフォリア種とタンゴ種というバラを使った南仏産のコンフィチュールを使っているから。よくあるダマスクローズよりも繊細で尖っていない香りがいいんです。それから、マール・ド・シャンパーニュは・・・」。

サービス精神旺盛で熱心な興野シェフだから、スイーツ談義は終わらない。
さあ、続きを知りたい人は、早速、サロンへ。もちろん、カウンター席に座ることをお忘れなく!