今から遡ること5年前。あるショコラ通の方からいただいたタブレットが、パナデリアとボナとの出会い。その後、パリのサロン・ド・ショコラの会場でボナのブースを訪ねた時に、その印象は更に強烈なものになりました。
「こんなミルクチョコがあったなんて!」
「こ、このカカオ100%もすごすぎる!」
65%というカカオ分の高いミルクチョコレートに驚かされたと思えば、苦味、酸味、渋みが、がつーんとダイレクトにやってくる、糖分ゼロの100%ショコラに衝撃を受けたり。そしてステファン・ボナ氏のショコラにかける情熱にも感銘を受けたパナデリア。その後もボナ熱は冷めやらず、フランスを訪ねるたびに欠かさず手土産にしていたほど。そのボナが、ついに、東京に上陸するというニュースが!ワクワクしながら、レセプションに参加してきました。




グリーンとイエローの
ファサードはヴォアロン
の本店と同じデザイン



温厚なボナ氏ですが、大好きな
ショコラの話になると止まらない
ほど情熱的



お店は、広尾駅のほど近く、外苑西通りと交差する広尾商店街の一画にあります。この辺りは、広尾の中でもどことなく下町風情が残されているような、気さくな雰囲気が魅力。中でもとびきり賑やかで楽しそうな人の群れの中にステファン・ボナ氏を発見!この日は店の入り口を全て開放していて、外まで人が溢れていたのでした。
「パナデリアさん、ようこそ!」
と、穏やかで紳士的な笑みを浮かべるボナ氏。由緒あるボナ家の3代目の指には、ボナ家の紋章が刻まれた指輪が光ります。とはいえ、堅苦しい挨拶は抜きに、皆でシャンパンとショコラを楽しんでいるようす。お店はフランスのカフェそのものといった雰囲気で、ショーケースの中にタブレットやボンボン・オ・ショコラが並び、隣にカフェスペースも用意されています。


横長のショーケースには、
タブレットやボンボン・オ・ショコラ
がずらり



さて、ボナでのお薦めはといえば、1種類のカカオ豆だけを使って作られる"グランクリュ"シリーズ。ボナは、フランス・ヴォアロン地方で120年以上にわたって愛されている老舗店で、カカオ豆の買い付けから焙煎、コンチングに至るまでを自家製で行う数少ないショコラティエ。なんと、1904年には、既にシングルビーンズのチョコレートを手がけていたというから驚きです(グランクリュシリーズは1983年から)。ベネズエラ産の逸品、「チュアオ」や、デリケートで奥行きある味わいの「ハシエンダ エル ロザリオ」など、全部で8種類のシングルビーンズチョコレートのタブレットと、ひと粒サイズのドミノ、そしてコイン状のパレが用意されています。それから、ミルクチョコレート専用のカカオ豆から作られたグランクリュ・レも。
「グランクリュの中でも、8種類全てが楽しめるドミノはお薦めですよ。いろいろ食べ比べてみて、自分の好きな味を見つけてみてください」
とボナ氏。まずはドミノでお気に入りを見つけて、お次はタブレットを指名買い・・・なんて楽しみ方もできそうです。


アコーディオンの生演奏を聴きながら
思い思いにショコラを楽しんで・・・



グランクリュ以外でパナデリアがお薦めしたいのは、有機栽培によるカカオ豆を使用した、野性味溢れる味わいの「ビオロジック」や、希少なカカオ豆だけで作られた味わいも値段もプレミアムな「ポルセラーナ」。そして、冒頭で触れた「カカオ100%タブレット」。このショコラ、砂糖を加えていないため、強烈な苦みが口中を支配します。ところが、ひと口ひと口と進めていくうちに、苦みの後にくるナッティな甘みやキレの良さにはまっていくという不思議な魅力が。ただし、本当に刺激が強いので、初心者は気合を入れて臨むように。


ボナの自信作グランクリュ・ドミノ(右手前)と、
しっとりやわらかいオレンジピールをチョコレート
でコーティングしたクルジェット(奥)



他にも、高級シャンパン「クリュッグ」に合わせるために産まれた「クルジェット」や、ガナッシュを2層のプラリネに挟んだ「ヴォアロンの敷石」、数十種類揃うボンボン・オ・ショコラなど、多彩なショコラたちがショーケースの中で輝いています。こられのショコラは全て、冷蔵で空輸されているもの。ショコラは温度変化によって味わいが変化してしまうため、冷凍などはせず、ショコラに最適な15〜18℃のまま運びたいというのがボナ氏の願い。できたてのおいしさをそのまま届けたいという氏のこだわりが伝わってきます。
たくさんのショコラの楽しみ方を教えてくれそうなボナですが、さらに貴重なニュースも飛び込んできました。
「実は近々、すごいショコラが出る予定なんですよ」
なんでも、インカ帝国の頃からあったカカオの原種とも言われるカカオ豆を、ボナ氏が蘇らせたというのです。これはかなり希少なものになりそう。どんなショコラが登場するのか楽しみです。


本物の卵の殻に
チョコレートとプラリネ
を流し込んだ
ウフ・コキーユ



削りチョコレート、
ボワット・コポーは
ショコラ・ショーなどに


ボナファンの人はもちろん、まだ未体験という人も、そのピュアで個性的な味わいにきっと魅了されるはず。昔ながらの手作りのおいしさを味わいに、お店に足を運んでみてはいかがですか?


ショコラティエ ボナ 広尾
住所東京都渋谷区広尾5-5-1
Tel&Fax03-3280-9797
営業時間11:00〜20:00
定休日月曜・第1,3,5火曜
アクセス東京メトロ日比谷線広尾駅A2出口より徒歩1分

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