東京製菓学校の毎秋の催し、"東京パン・フェスティバル" が今年もやってきました。9月30日土曜日に開催されたこのイベント、今年で7回目を迎えましたが、毎年たくさんの人達で賑わっています。もちろん今年だって、来場客の 「見る」「作る」「味わう」の3つの欲求を満足させるバラエティー豊かなイベントになりました。

 会場に入ると、 「1Fでパンが焼きあがりました!!」、「3Fでパン作りの開始でーす!!」などの掛け声が聞こえ、活気あふれた雰囲気の中、まずは4Fの "パン・ミュージアム"へ。ここは有名パン屋さんの自慢の商品や、ホテルのベーカリーシェフが作る作品が展示されています。パンでできた教会に動物、それから船に花!! それら展示品は立派な芸術品。
パンで作ったとは思えないほど見事な作品は、細かい部分までよーく見ると、こんなパンを使っていたんだ、などと改めて感動です。会場は歓声とカメラのフラッシュで大いに盛り上がっていました。

 その隣の部屋は、高校生とアマチュアの方達のオリジナル作品の展示場です。ここでは、個性あふれた作品の中から、来場者の投票によってアイデア賞などが選ばれたり、業界関係者によって製菓学校賞などが選ばれていました。賞に選ばれたのはかぼちゃのバスケットに入ったかぼちゃパンや、栗の形をしたマロンのパンなどなど、どの作品も夢のある楽しくて美味しそうなプロも顔負けのパンばかりでした。

 さて、次は一Fです。1Fでのイベントは "ブランジェになろう"。 ここでは自分の手で実際にパンを作って、作ったパンをお土産に持ち帰ることができます。コルネかデコレーションパンのどちらかを選び、製菓学校の生徒さんにマンツーマンで生地を伸ばすところから、形を作るところまで一緒になって教えてもらうのですが、これがなんとも楽しい!!
なかなか思うようにいかないのですが、何よりも自分で作ったパンがこんがり良い香りになって焼き上がるという経験はとても嬉しくて楽しい。そしてもちろんとても美味しい!!。私が作った私だけのチョコレートコルネ。もったいなくて、食べるに食べられませんでしたが・・・。

 学校内にある2つの工房では、生徒さん達が実際にハムチーズロールやプチパンクッペ、あんぱん、くるみレーズンを製作しているところを目の前で見る事ができます。工房に入るとパンを焼く良い香りがあたり一体を包んでいます。そこでは、白い作業着を着た生徒さん達が仕込みから発酵、分割、ベンチタイム、成形、ホイロ、焼成と、製造スケジュールを組んで私達の目の前でパンを作っていくのです。力強い音でバンッと生地をこねる音や、発酵する度ににどんどん膨れ上がっていくパン、そしてオーブンからはパンを焼く良い香りが…。自分の目の前で製造工程ごとに姿を変えながら、作り上げられていくパンに感激していた人はたくさんいたはず。もちろん私もそのひとりではありますが。
 その他にも石窯の工房があり、そこではプチカンパーニュが焼かれていました。立派なレンガでできた大きな石窯で焼かれた香ばしいパンを求めて、長蛇の列ができたのは言うまでもありません。もちろん私も試食しましたが、香ばしくて本当に美味しいパンでした。

 その他、プロも愛用する調理器具や書籍を特別価格で販売するコーナーや、パンを主食にした料理を実演と試食で紹介するコーナーなどもあり、とにかく盛りだくさんの企画で、来場者を決して退屈させる事なく、気が付いたらあっという間に3、4時間が過ぎてしまいました。見て美味しい、食べて美味しい、作って納得。 この3拍子揃った東京パン・フェスティバル。心もお腹も大満足になって帰る事ができました。来年もまた楽しみ!!
絶対また来よう!! でもその前に、明日の朝、パンを食べることの方が楽しみになってしまい、結局、家に帰る途中で大好きなパン屋さんに寄ってお気に入りのパンを大量に買い込んでしまった1日となりました。

(取材・文 古賀瑞穂)