4月15日(土)16日(日)、横浜の国際フード製菓専門学校で行われた「2000年パン祭り」。パナデリアスタッフが訪れたのは15日(土)、雨の中でした。しかし、朝からの雨にもかかわらず、エレベーターに乗りきれないほど、6階まである会場は人でいっぱい。白いコックコートを着たパン職人や、製菓学校の生徒、訪れる人々の熱気も伝わるイベントです。

港町である横浜は、日本の中でも神戸と並んで「パン」に対する思い入れの強い地域です。1543年、ポルトガル人が種子島に発酵パンを運んだのが、日本人とパンとの最初の出会いですが、横浜には1859年の横浜港開港の2年後、1861年に最初のパン屋がW.グッドマンという人によって開かれました。日本人としては、1888年、「横浜ベーカリー宇千喜商店」が最初です。日本人がオーナーとはいえ、当時は看板も英語で、一般の日本人とはまだ遠い存在だった様子が伺えます。そんなパンも、昭和に入ると国産イーストの使用、機械化により、一気に庶民のたべものになりました。戦後は学校給食にもパンが登場することになります。
このような、横浜とパン、日本人とパンの関わりを分かりやすく示した展示コーナーでは、熱心にメモを取る人の姿も多く見られました。学校給食の歩みを、実際のメニューを展示しながらたどっていくコーナーは特に人気。現在、学校給食で出されている黒コッペやロールパンの試食があり、時代が変わってもどこか通じる懐かしい味に、食べるみんなの顔もほころびます。

横浜ならではの展示といえば、神奈川県下のパン屋さんの写真入紹介記事が壁中に貼られているコーナーがありました。老舗や、町の小さいパン屋さんから、大型有名店まで、その数200店以上。貼ってある写真の中に、お気に入りのパン屋さんを見つけるのも楽しいですが、まだ知らないパン屋さんの数にも驚かされる迫力です。

プロの技が見られる実演コーナーでは、焼きあがったパンの購入に行列ができていました。デニッシュなどに加え、あんぱんやクリームパンといったオーソドックスなパンも人気です。プロの指導のもと、「ドラえもん」「たれぱんだ」をかたどったパンを作る体験コーナーも、整理券が必要なほどの盛況ぶりです。

家庭で作ったパンのコンテストや、パン職人の作った飾りパンの展示、パン作りの材料の販売や紹介ももちろんありました。会場であるビルの、1室たりとも使わない部屋はないという熱の入れようと充実に、パンそのものの根強い人気、情報発信地横浜でパンを作る人たちの、パンに対する思い入れを強く感じるイベントでした。