2000 California Raisins 講習会


3月28日(火)、高田馬場にある「東京製菓学校」において、カリフォルニア・レーズン協会の「カリフォルニア・レーズン 菓子・洋菓子・デザート新製品開発テクニカルセミナー」が開催されました。

講師は、パナデリアの幻の第一回講習会の講師でもあった、大阪「花とお菓子の工房 フランシーズ」の横川哲也さん。会場に着くと、受け付け開始時間にもかかわらず、もうすでに前の席はうまっているという人気ぶり。もちろん、始まる頃には会場はいっぱいの人。さすが、我らが横川さん!・・なんて、勝手に我らが・・なんて言ったら失礼ですね。ところが、会場に行ったら、今度は、本当に「我らが…」の人がいたのです。なんと、横川さんの助手が、我らが渋井洋先生だったのです。そうです、このお二人は、「テレビチャンピオン仲間」なんです。渋井先生曰く、「3,4日前に講習会に申し込んだら、もう席がないけど、助手ならいいよ。」と、言われたとか・・。これって、渋井先生お得意のジョーク??

でも、どちらにしても、こんな大物シェフ二人並べて講習会をしていただけるなんて!2倍お得な気分でした。

話がどんどん横道にそれてしまって、カリフォルニアレーズン協会の方、ごめんなさい。
当日の、講習会の目的は、もちろん「テクニカルセミナー」なので、どういうふうにカリフォルニアレーズンを使ってお菓子を作るかということ。そして、今回は最近スーパーやコンビニなどにおいて、従来の流通菓子に加え、生菓子や半生菓子、そしてファーストフード店では、焼き菓子を販売するなど、商品の品揃えに境目がなくなってきたことを考えて、多用な販売方法にあった商品の開発をする、ということでした。

そんな情報で今回の講習会に参加したので、なんとなく「大量生産できるお菓子」を教えていただく・・というイメージだったのですが、実際に教えていただいたのは、決して大量生産できるというイメージのお菓子ではなく、作り置きができて、さらにフレッシュさを残している半生菓子、焼き菓子9種類でした。

作り方を教えていただきながら、横川さんの素材に対する考え方、作る手順においても、素材を知り尽くし、自分が今やっていることの意味合いを考えていることのすごさに、ただただ感心するばかり。今回の重要ポイントでもある、「作り置きできる」ために必要な「冷凍保存」についても、横川さん曰く「冷凍保存は、あくまでも作りたての味を保存するという意味でやります。解凍した時に、作りたての味を残せないようだったら、冷凍保存の意味はまったくありません。」とのこと。もちろん、作りたての味を100%残すのは不可能なので、どこまでそこに近くするか・・という前提においてだそうですが。

ちなみに作りたてに近い状態に冷凍保存する方法として教えていただいたことは、「もともとラップなどにくるんで、余分な水分などを吸わないようタッパーなどに入れて保存。その後、外気にあたらないように緩慢解凍する。前日から一晩かけて解凍するとよい。できれば0℃での解凍がベスト。」とのこと。そんな技術面のことから、実際に店で売る場合はやはり「儲け」も考えなくてはいけない・・ということで、原価率についてのお話などもありました。(ここだけの話、横川さんが「儲け」を考えて商売してるとは、到底思えませんでしたが…笑)

販売価格についても、横川さんは職人としての目ではなく、消費者の目でみて決めているそうです。でも、カリフォルニアレーズンを使った美味しいお菓子を教えていただきながら、もっと深い菓子職人としての心構えを教えていただいたような気がして、妙に感動してしまったのは、私だけでしょうか。

もちろん、その後は、美味しいお菓子の試食つきです。こんなお菓子が作り置きできるとしたら、お菓子屋さんも助かるな…などと思ったり、でもこんな美味しいお菓子が、もしコンビニで売られたら、お菓子屋さんあがったりじゃない!などと、いろいろ考えてしまいました。

とてもためになる講習会を終えて、シェフ横川とシェフ渋井にご挨拶に伺うと、横川さんが「ちょっと待ってて。」と言って、小さいかわいいチョコレートケーキのようなものを手にして戻ってきました。「これは、5月から売り出す予定の「夏に向けてのチョコレート菓子」です。食べてみて!」もちろん、差し出されたお菓子は、横川さんのやさしい人柄ときびしい職人魂を感じる美味しいもの。ここにそのお菓子も紹介しますね。まだ名前も値段もわかりませんが、大阪に5月以降に行く予定のある方は、「フランシーズ」でこのお菓子を見つけてください。冷やして食べるとさらに美味しいですよ!



〜〜〜 今回の講習会で教えていただいたお菓子 〜〜〜
ガナッシュ・レザン

ラング・ド・シャのサクサク感とチョコレートの苦味が美味しさの秘訣。
ジェノワーズ・レザン

いよかんのほんのりした苦味がレーズンの甘みをひきたてている。しっとりした生地で口溶けがいい。
レーズンタルト

蜂蜜のコクとほんのり感じるレモンの味わいがいい感じ。パート・サブレがサクサクしている。シュトロイゼルのシナモン風味も生きている。
ショーソン・アナナス

パイナップルの軽い酸味と甘みが美味しい。パイ生地はサクサク軽く仕上がっている。りんごで作るよりインパクトが強くていいな。
パイ包み焼き

中に巻き込まれているフルーツケーキの食感がおもしろい。外側のパリッと焼かれたパイ生地も香ばしくて美味しい。
レーズンサンド 1

卵の味わいたっぷりのカステラのような生地に、ちょっと塩を感じるバタークリームが軽くて美味しい。この有塩バターの使い方はとても難しいと思う。さすが横川さん!という味作り。
レーズンサンド 2

これも美味しいレーズンサンド。レーズンがシロップに漬けてあるので、ラム酒だけよりコクがあって、このサブレ生地にはよくあっている。
シブースト・レザン

上のカラメルがパリッとしている。クリームチーズのコクとサワークリームの軽い酸味のアパレイユが美味しい。レモンのほろっとした酸味も感じます。
タルト・ノワゼット・レザン

しっかり焼き込んだサブレとクリームノワゼットのしっとり感、ムースはとろっとしていて、レーズンのふっくら感を生かしている。