秋の深まりと共に、栗やチョコレートなどを使った、秋を感じさせるケーキがパティスリーのショーケースを彩るようになりました。
そんな中、パティスリー「リュー ド パッシー」では、新作のケーキや菓子を中心にした試食会が開催されました。ご存知の通り「リュー ド パッシー」は、東急東横線学芸大学駅に本店を構える人気店。シェフ長島正樹さんが作るケーキは、やさしさのある見た目以上に力強さがあり、考え抜かれた深くそして繊細な味わいが印象に残ります。そんな長島さんの新作を一足先に味わえるというこのイベント。本来は一般のお客様が対象・・・ということで、パナデリアも一人の純粋なケーキ好きとして参加してきました。その様子をご紹介します。


これが食べられるなんて幸せ!試食用は約1/3サイズです



試食会当日は、通常の営業は一切なし。募集人数は100名くらいとのことでしたが、時間に余裕を持ってスケジュールしているのか、店内が混み合うこともなく、シェフやスタッフの方とお話ししながら、ゆっくりとケーキを楽しむことができました。
いただいたのは、生ケーキ5種類のほか、タルトやパウンド、そしてショコラまで、13種類のケーキやお菓子。これで無料なんて、申し訳ないような、嬉しいような・・・。
とはいえ、誰でも参加できるというわけではありません。希望者は、直接お店に行き、用紙に記入するというシステム。電話受付も不可。つまり、正真正銘の「リュー ド パッシー」のお得意様でないと、参加できないのです。

ショコラに使われている“グリーンカルダモン”やインド産黒胡椒など、ちょっと珍しいスパイスも試食できるようになっています



「今日は、とにかくケーキを楽しんでもらいたいと思っています。新作ケーキの手応えを知りたいという気持ちもありますが、普段なかなかコミュニケーションが取れないお客様に接する機会にしたいと思っているんですよ」 と、ケーキを食べるお客様を嬉しそうに見つめる長島シェフ。最近は、デパートへの出店などで忙しくしていることもあり、今回の背景には、地元により強い地盤を築きたいという気持ちがあるようです。

それでは、さっそく試食させていただいたケーキの一部をご紹介します。

全部で13種類!ケーキだけでなく、ショコラや焼菓子があるのも嬉しいところ



タルトショコラ アラビカ ¥450
コーヒーが大好きという長島シェフのこだわりは、いかにコーヒー豆の繊細な味わいを表現するかということ。温度を上げすぎないよう、丁寧にアラビカ種のコーヒー豆の香りを移したガナッシュとクリームは、すっきりとキレがあり深みのある味わい。コーヒーとチョコレート、それぞれの香りと酸味が華やかに広がります。コーヒーは好きだけど、コーヒーのケーキはあまり・・という方に是非試して欲しい一品です。


ノルタルジ ¥420
丁寧に重ねられているのは、モチッとした食感のクルミのビスキュイと、フワッと軽いバニラのバタークリーム。「バタークリームに使うシロップは、バニラビーンズで真っ黒になるほどなんですよ」という長島シェフの言葉通り、贅沢に使用したバニラの香りが口いっぱいに広がります。ベルギーのケーキ゛ミゼラブル゛を原型にしたそうですが、上に散りばめたヌガーモンテリマールのハチミツの香りや食感、そしてクルミの風味など、長島シェフのセンスが随所に盛り込まれた味わいです。


オペラ ピスターシュ ¥450
ちょっとしたバランスで受ける味わいの印象が変わってしまうため、何度か試作を重ねて、層の厚みを調整したという入魂の新作。層によって出方の異なるピスタチオのナッティなコクと香りが重なり合い、豊かな味わいに。ガナッシュ部分に合わせたミルクチョコレートが、全体をやさしい甘みとコクで包み込みます。


フレーズマスカルポーネ ¥420
ピスタチオの生地の間には、トロッとなめらかな口どけのマスカルポーネチーズのクリームとイチゴのムースが。重たくなりがちなマスカルポーネのコクを、甘酸っぱいイチゴがキュッと引き締め、見た目以上にキレと存在感のある味わいになっています。フレッシュ感とともに、力強さを感じます。


プラリネ ¥400
シュー生地の中に入っているのは、なめらかなプラリネクリームとたっぷりのアマンドキャラメリゼ。ほろ苦さを身にまとったアーモンドがなんとも香ばしく、味に深みを与えています。シューの下に敷きこまれたパイ生地は、サクサクと軽い食感。シンプルながら、力強さと軽さを併せもつ印象深い味わいです。




「今回が初めてですが、試食会は今後も続けていきたいですね」
と、長島シェフもしっかりとした手応えを感じている様子でした。

栗やキャラメルを使った秋らしい味わいのアイテムが並びます



パナデリアが伺ったのが平日の夕方ということもあってか、お客様のほとんどは、主婦やお年よりの方たち。
「おいしかったわ!いつも、ショートケーキとか決まったものしか買わないんだけど、今度は別のケーキにも挑戦してみるわね」
「想像していたより、軽くて食べやすいんですね!」
そんな地元ファンの本音が聞こえてくる中でケーキをいただいていると、自分の町にお気に入りのケーキ屋さんがあることの幸せを痛感。TVや雑誌に紹介される人気店だけにどこか派手なイメージもありますが、その味わいは地域にしっかりと根付いているようです。

長島正樹シェフとスタッフの皆さん。とっても仲が良さそうです!



パティスリーの本来あるべき姿・・・。
そのことを再確認させてくれた今回のイベントでした。





リュー ド パッシー
住所 東京都目黒区中央町2-40-8
TEL&FAX03-5723-6307
営業時間9:30〜19:30
定休日水曜
アクセス東急東横線 学芸大学駅 西口より徒歩5分