11月7日〜12日までの6日間、伊勢丹新宿店で開催された「フランス展」に行ってきました。今回のイベントは、フランスの中でも美食の街として知られる「リヨン」の特集。5月の現地取材でお世話になった際、「プラリュ」のフランソワ・プラリュ氏から今回の話を聞いて、心待ちにしていたこのイベント。プラリュ氏のほか、遥かリヨンの地からは、バレンタイン時のパレ・ドール即完売はもはや伝説となっている「ベルナシオン」のフィリップ・ベルナシオン氏など有名シェフ達も来日し、錚々たる顔ぶれが揃いました。
受け継がれる"伝統"と、食への情熱あふれる職人達の新たなる味わいの"創造"。食通が熱い視線を向けるリヨン。世界の食を牽引する街の現在形とは・・・
伊勢丹新宿店「フランス展」の様子をレポートします!



ショコラトリーとして知られる「プラリュ」。今回のイベントで、プラリュが特別に販売するのは、アーモンドにカラメルコーティングを施したピンク色のプラリネを生地に練りこんだ、目にも鮮やかなブリオッシュ。ピンク色のプラリネはリヨンの銘菓で、これを使った焼き菓子やパンは、街ではポピュラーな存在です。焼きたてのブリオッシュからは、バターとプラリネの甘〜い香りがあたりに立ち込めていました。
「来年、サロン・ド・ショコラで来日する時は、ショコラも用意しますので楽しみにしていてください」
と、プラリュ氏。いまから待ち遠しい!

見た目はヴィヴィッドですが、食べてみるとふんわり優しい甘みが口いっぱいに。プラリュさんの温かい人柄が表れた、どこか懐かしい味わいのブリオッシュ





5月の伊勢丹新宿店のフードフロアリフレッシュオープンと共に、日本初出店を果たした「セバスチャン・ブイエ」。"リヨンの若き天才"といわれるセバスチャン・ブイエ氏も来日し、イートインスペースでは、「マカロンフォンデュ」や、野菜などを使った料理とマカロンのマリアージュ「サレ・シュクレ デ・セールセット」などマカロンの新しい楽しみ方を提案する、ブイエならではのスペシャルメニューが紹介されました

フランス展限定でオリーブやパスティス、エピスを使ったギモーヴを販売

ブイエのデセールが体験できるとあって、盛況のイートインスペース





ミシュラン3ツ星レストランをはじめ、リヨン市内の50軒ものレストランに食事パンをデリバリーしている名店。以前、リヨンの本店で食べて魅了された、ピンクのプラリネが入った大きいパンに再会できるかも!と、内心期待して行きましたが、こちらは残念ながら再会は果たせず・・・。
さて、来日していたジョクトー氏はじめ、厨房のスタッフはノリノリ!活気のある雰囲気の中、オーブンからはパンが次々に焼きあがっていました。
スペシャリテのバゲット「バネット」や、「パンオノア」などジョクトー氏本人による焼きたてのパンが食べられるまたとないチャンス。焼き上がりの時間を見計らって、「パンドミ」を購入しました。

ジョクトー氏(右から2番目)と厨房のスタッフのみなさんは和気藹々とした雰囲気

「パンドミ」(¥1,050)キメが細かくしっとりリッチな味わい。耳の部分までくちどけが良く、ミルキーなおいしさ





昨年のバレンタインの盛況ぶりは、もはや伝説といっても過言ではない「ベルナシオン」。リヨン市内でさえ支店を出さないといわれている名店が、なんと今回のフランス展では本店のサロン・ド・テでしか味わえない門外不出のイートインメニューを紹介。数量限定で販売されたパレ・ドールやタブレットは、もちろん即完売。イートインのケーキも午前中でほぼ全てが売り切れになってしまったとか。プライスカードだけが並ぶ、空っぽになったショウケースが恨めしい・・・。

日本人スタッフの中島さん、姉のカンディス・ベルナシオンさんも来日

狙いのショコラも見事に完売・・・(翌日、パナデリアスタッフは開店前から並んでゲット。転んでもただではおきません!)


伊勢丹Iカード会員限定の"Salon France"では、フィリップ・ベルナシオン氏によるショコラ・ショーのデモンストレーションが行われました。

フィリップ・ベルナシオン氏


「ベルナシオンは、祖父のモーリスがリヨンの地に設立して50年、ずっと同じ場所で家族経営してきました。カカオ豆の選別からクーベルチュール、チョコレート製品はもちろんのこと、副材料のマジパン、プラリネ、オレンジコンフィなどもすべて自家製です。タブレットの厚みが異なっていたり、パレドールの表面の金箔がまばらだったりするのも手作りの証しです」

本店スタッフの中島さんと、フィリップ氏の解説でショコラショーを実演


ショコラショーは、牛乳にバニラビーンズを入れ、砂糖と塩を入れて沸騰させ、カカオパウダー、さらに自家製のガナッシュを加えて作ります。ガナッシュにはカカオバターを加えずに作ったクーベルチュールを使用しているため、カカオの風味が活かされています。

出来立てのショコラショーと共に、フランス展でのサロンドテでは1時間で販売だった「エヴァンタイユ」が振舞われました


ケーキの「エヴァンタイユ」は、リヨンの本店でも売られているもの。しっとりとしたダックワーズ生地の間に、なめらかなガナッシュクリームがサンドされています。シンプルな構成ながら、ガナッシュのクーベルチュールのおいしさが際立ちます。力強い香りと、苦みと酸味がどこまでも膨らむ余韻に感嘆。

 デモンストレーション終了後、ギャラリーからの「今後新製品などの予定は?」の質問に対し、
「ベルナシオンでは、伝統的なものを出していくので、新製品を出すことに関心はないですね。家族で話し合い、相談しながら、いまあるものをさらに良いものに改良していく、そういったことはあると思います」
と、フィリップ氏。伝統を守り、革新を続けるリヨンの街。その文化の中心である"食"を支える職人の姿を垣間見た印象的なひとことでした。


カラフルな色彩が魅力の「ソワジック」のハンドペイントの食器や、手書きのルセットがプリントされた「ジアン」の食器・・・どれも素敵!


パティスリーやパンだけでなく、ワインやチーズ、料理、そして食卓を彩るキッチンインテリアなどリヨンの魅力はまだまだたくさん。遠きフランス、リヨンの地と日本をつなぐ今回のイベント。伊勢丹でプチフランス旅行気分を味わえました。次回は、サロン・ド・ショコラにて。今年もリヨン旋風が巻き起こるのか・・・いまから楽しみです!(2007.12)