3月14日から4日間、千葉県 幕張メッセで開催されたアジア・環太平洋地域で最大の“食”の専門展示会FOODEX JAPAN。31回目を迎える今回は、世界79カ国・地域から2,475社の食・飲料のブースが出店し、新製品や選りすぐりの製品が展示、紹介されました。

「FOODEX JAPANなんて知らない!」

というあなた。
ご安心ください。これは、フードサービス、メーカー、小売店など“食”業界を対象にした、非常に専門性の高い展示会で、一般の食好きにはあまり縁のないイベント。そのため、業者間での内容の濃い交流や商談ができるというわけなのです。
それにしても、世界各国の食の最先端を体感できるなんて、ちょっとのぞいてみたいですよね?
と言うわけで、パナデリアがFOODEX JAPANで見つけたおいしい(珍しい?!)“食”をご紹介します。


なんとこの日の来場者数は、26,661人!
4日間の合計は95,772人にのぼったそうです


朝10時に会場に到着すると、すでに会場入り口にはたくさんの人だかりが!外国の方の姿も多く、世界規模の展示会であることが伺えます。 そして驚いたのは28,375uという会場の広さ。国内出店ゾーンと海外出店ゾーンの2つに大きく分かれ、海外出店ゾーンはさらにイタリア、フランス、アメリカ・・というように国別に分類されています。端から端までじっくり見て回ったら、4日間通っても足りないかもしれません。



<U.S.A>

全体的に、ハムやソーセージ、冷凍食品など肉の加工品のブースが目立ちます。 お菓子やパンに関係あるブースはないかな?と探していたら、クランベリーのブースを発見しました。ポリフェノールやビタミンCが豊富で、美容にも良いことから人気の高いクランベリー。皆さんは、チェリーやブドウのように樹になるフルーツだと思っていませんでしたか?
実は、クランベリーは沼や湿地帯に生えるツタに実るフルーツ。その特性をいかした収穫の方法がとてもユニークです。まず、水田のような畑に水を入れ、ツタから実が離れるように思い切りかき回して、水面に浮かんできたクランベリーをロープで集めて収穫するというもの。収穫期には、畑が見事な赤色に染まるのだそうです。


根とツタはこんなふうになっています


驚きの収穫方法!


その他、90日間日持ちがするという卵を見つけました。秘密は低温殺菌。冷蔵庫保管とはいえ、約3ヶ月もつなんて驚きです!


アメリカらしい発想に脱帽


お馴染み、ジェリービーンズのブースも発見



<KOREA>

韓国ブースでは、なんと、K1選手のチェ・ホンマンさんを発見!サイン会に、長蛇の列ができていました。FOODEXと格闘技の関連はなぞですが、今や韓国を代表する人気者ということなのでしょう。


遠くながら迫力満点のチェ・ホンマンさん!


その他、特産のお酒マッコリや、二日酔いに効く薬草ドリンクなどのブースが並んでいました。


二日酔いに効くドリンク。
朝鮮人参のような味わいです




<THAILAND>

ムード満点のタイエリア。
フルーツの缶詰類が豊富です



<SPAIN>

スペインエリアで目立ったのは、なんといっても生ハム。丸々と太った豚の足をそのまま熟成させた生ハムは、よく見るとかたい蹄の部分がそのまま残っていてリアル・・・。可哀そうに、と思いつつも、差し出される試食のハムには逆らえないパナデリアでした。特に、今話題の“イベリコ豚”や、スペインの生ハムで最高ランクを示す5Jの生ハムは最高のおいしさ!脂肪の部分がトロッと甘く、肉の旨みも濃厚でした。


厳しい表情でナイフを研ぐご主人。
イベリコハムのおいしさはさすが!



生ハムの誘惑の先に見つけたのは、スペインの銘菓「トゥロン」のブース。薄いウェハースの間に、アーモンドがぎっしり詰まったお菓子です。



中には香ばしいマルコナアーモンドがたっぷり



1880

この「1880」は、1725年創業という歴史あるブランド。素材にもしっかりとこだわりがあり、アーモンドはすべてマルコナ、ハチミツは自社製のオレンジの蜂蜜を使用しているとのこと。
ご好意に甘えて試食させていただくと、カリッと軽い食感の後に訪れるアーモンドの甘みとコクに感動!さすがはマルコナ、と思わず唸ってしまう味わいの良さ、そして程よいハチミツの甘さがなんとも上品です。



丸型のほか、長方形のウェハースタイプもあります



残念ながら、現在日本における取引先を探している段階で、まだどこで販売されるかは未定だそう。
FOODEXでは、このように販売先を探すために出展する企業も多いため、いくらおいしくても販売先が未定というケースも少なくないのです。
でも、こんなにおいしいんだから販売されないはずがありません!皆さん、「1880」の文字を見つけたら、ぜひご一報くださいね!




<ITALY>

会場内で一番広い面積を有していた国、それはイタリアでした。ワイン、オイル、チーズとおいしそうなブースがずらり!どの試食に手を出しても、まちがいなくおいしいのがイタリアです。



こんなチーズも試食できちゃいます


ただ、残念なのはドルチェ類が少ないこと。そんな中、ちょっと珍しいチョコレートを見つけました。



ctcm

チョコレートのフリーズドライ?と思うような、ザラっとした食感がユニーク。断面には、グラニュー糖のキラキラとした結晶が見え、口の中でジャリっとした食感とともに溶けていくのがわかります。これは、温度の下がったチョコレートにグラニュー糖を混ぜ、溶けない状態で固めるという独特の製法によるもの。なんと、シシリー島の南にあるモディカ地方にだけ許された特別なチョコレートなのだそうです。


乾いたチョコレートに、砂糖の結晶がはっきりと目に見えます


最初は違和感を覚えますが、だんだんとクセになる不思議な食感。特に、ペペロンチーノは、チョコレートと砂糖が広がったあとに、ピリッと辛さがやってくるイタリアらしい一品です。



病み付きになりそうなおいしさ



Cavazza

コンフィチュールのブースで、ちょっと面白いものを見つけました。それは、フルーツのコンフィチュールをベースにマスタードで風味をつけたもの。これが意外にも相性が良いのです!
洋ナシをベースにしたものを試食させて頂きましたが、サラッとした自然の甘みにマスタードの香りが広がり、非常に上品な味わい。お肉やチーズに合わせるのがおすすめだそうです。


約20種類のフレーバーがあります

さらに、“とっておき”と言って出してくれたのがイチゴにバルサミコ酢を加えたコンフィチュール。ギュッと濃いイチゴの甘みに、バルサミコ酢特有のコクのある酸みが広がって、深みのある味になっています。アイスクリームに添えたらおいしそう!ぜひ、日本でも販売して欲しいものです。
ちなみに、Cavazzaは1898年、イタリアのボローニャで創業を開始した由緒正しいフルーツ加工メーカー。コンフィチュール以外にも、ハチミツやバルサミコ酢、ジュースなどを扱っています。


バルサミコのフルーティな酸味がおいしい



<JETRO(日本貿易振興機構)>

ジェトロのコーナーでは、ウガンダ産のバニラや、生食用のサボテンの葉、それからちょっと珍しい胡椒の佃煮なども紹介されていました。


ウガンダ産のバニラは太くて艶やか。
さやで細工したパイナップルがかわいらしい



日本では珍しい丸々としたバナナと、青い胡椒の実



<UK>

Rocombe


イギリスエリアでパッと目を引いたのが、カラフルなアイスクリームのパッケージを並べたブース。ワイルドな皮ジャン姿の女性はコーヒー味、マンゴー味はオレンジのドレスをまとった女性と、遊び心に溢れたデザインになっています。


ショーケースを鮮やかに彩ってくれそうなパッケージ

ちなみに、このアイスクリームはすべてにオーガニック素材を使用。原材料のミルクにはオーガニック環境で育てられたジャージー種のものを使用するほか、バニラビーンズに至るまで全てオーガニックを貫くという徹底ぶり。
さっそく試食させていただきましたが、ふんわりやわらかい口どけで嫌味のないミルクの味わいが楽しめるバニラ、そして、ねっとりと濃厚なマンゴーの味わいが最高でした。
意外とアイスクリームの選択肢が少ない、日本。今年の夏は、イギリスのお洒落なパッケージがショーケースを飾ってくれるかもしれませんね。


これは、ホテルマンでしょうか?



<FRANCE>

いよいよ、お菓子とパンの国、フランス!
と思っていたのですが、ワインのブースがほとんどで、お菓子関係はあまり来ていないようでした。
“食”の大国だけに、おいしいものは既に日本に紹介されているのかもしれません。


Imbert

ケーキに欠かせない素材のひとつ、栗。最近は、和栗やフランス産栗など、産地による味わいの違いにこだわるパティシエも増えてきました。このImbertは、フランス・アルデーシュ産の栗を使ったマロンペーストやマロングラッセなどを製造する会社。設立も1920年と古く、現在は年間約350トン以上もの栗を加工しているそうです。
マロンペーストの味わいは、栗の風味がとても自然で、甘みもすっきり。国産とは違う、力強さを持ちながらクセの少ないその味は、ケーキやパンにもよく合いそうです。
ちなみに、Imbert社のパンフレットには、2005年のクープ・ド・モンドでフランスを優勝に導いた、プラザ・アテネのクリストフ・ミシャラク氏によるレシピが載っていました。世界の一流パティシエが使うマロンペーストなんですね。


このまま食べたいほどのナチュラルなおいしさ



<国内ブース>

両腕にずっしりとパンフレットを抱え、足早にブースを巡るパナデリア一行。ランチをとるのも忘れ、すでに足は棒のよう・・・。
やっとのことで海外出店ゾーンを見終え、国内出店ゾーンに向かいます。
国内出店ゾーンでは、趣向をこらした大手メーカーや商社のブースがずらりと立ち並んでいました。


お馴染み日本製粉のブース。
国産小麦ジャパネスクの姿も



お菓子のメーカーギンビス。
“アスパラガス”ビスケットに
チョコレートをつけたものをいただきました



Ca form(株式会社グローバル)

Ca form社からは、珍しいイタリアのバターが届いていました。株式会社グローバルは、ワインやチーズを取り扱う商社です。
イタリアのバターは、驚くほど色が白く、あっさりと上品な味わい。特に、Ca form社は、自然な風味をそのままいかしたおいしさを追求するというコンセプトの元、乳製品作りを行っているそうで、発酵の風味はなく、乳そのものの味わいが楽しめます。


中は驚くほどの白さ。
サラッとした口どけと味わいが楽しめます



ShoEiのブースにはナッツがずらり!圧巻です




気が付けば、あっという間に5時。終了を告げる音楽が会場内に響き渡ります。まだまだ未練が残りますが、終わってみると、アメリカ、アジアにフランスと今日一日で世界中を食べ歩いたような充実感に満たされていました。
今や世界各国の“食”が楽しめる日本。その背景には、こんな展示会も一役買っているのです。
普段、口にしている食べ物。その先にある人や風土に目を向けてみるのも、面白いのではないでしょうか?