今やスイーツファンには神様のような存在、ピエール・エルメ氏。今年もついに新作発表会の日がやって来ました!2005年秋冬コレクションをひっさげての氏の来日です。もちろん、パナデリアも気合充分で参加させていただきました。

春夏コレクションから続く年間テーマは「The Year of Desire(垂涎)」。“よだれを垂らすほど欲する”という意味。ホテルニューオータニの会場に到着すると、「desirs」と書かれた真っ赤な大きな看板がゲストを迎え入れます。


入るとまず、マカロン、コンフィチュールなどのお菓子とパッケージがおしゃれに配置された大きな棚が。そこには真っ赤なハートのケーキや今年のクリスマスケーキの姿も!


反対側のスクリーンには、まるでファッションショーのように映し出されるスイーツたち。メイン会場に移る前から、まさによだれが垂れそう!



メイン会場に案内されると、そこにはたくさんのゲストの姿が。会場はエルメ氏の新作への期待で、熱気あふれた雰囲気に包まれていました。 そして、エルメ氏のファンであり、お菓子好きの駐日フランス大使モンフェラン氏のあいさつでは、「フランスの才能を取り入れるに留まらず、開花する機会を与えてくれた。」とのニューオータニへの感謝の言葉も。



かたや、ニューオータニ清水氏は「エルメ氏の出店のお陰で“スイーツのニューオータニ”へと開花したことをエルメ氏に感謝する。」とあいさつ。話はエルメ氏との初めての出会いにまで及びました。
次にいよいよエルメ氏の登場。以前より40kgもの減量に成功したというその体は、一回りほど小さくなった印象。「今年3月のシラク大統領来日の際に同伴させていただいたことによって、エルメ・パティシエチームに敬意の念を付与してくれた。」との固いあいさつの後には、前回の時にショーを披露してくれたクレイジーホースのダンサーにまつわる冗談で場内を湧かせる一面も。




引き続き、エルメ氏自ら今回のコレクションのスイーツを一つ一つ説明。なんと!回転寿司のようにベルトコンベアーに乗って目の前を通過していくケーキたち。


初の2色マカロンや、氏がずっとやりたかったという「ミルフイユ・カラメル」もお目見えです。今やパリにもある回転寿司屋。日本ではファミリー向けのお手軽なイメージがありますが、こうやってピエール・エルメのスイーツが乗って回っていると、とても高級感が漂います。こんな“回転パティスリー”があったら、絶対に通ってしまう!この後の試食でも、美味しいからなのはもちろん、回っているケーキを取るのが楽しくてついつい伸びてしまう手…。“よだれを垂らすほど食べたい”スイーツのみならず、“お腹がいっぱいでも食べたい”スイーツ、それがピエール・エルメのお菓子であると再確認。
そして、入り口で渡されたパンフレットに付随していたのは、今回登場したお菓子の小さなシールたち。実は、食べたものから順にシールを貼っていき、全種類を制覇しようというもの。子供の頃の宝探しにも似たこのワクワク感。こんな風に、スイーツ以外のところでも遊び心がたっぷり感じられます。

  



「スイーツ界のピカソ」とも称される氏ですが、今後もスイーツ界に革命を巻き起こし続けてくれることに変わりはないようです。




今年の記念品はあのエルメの名作
「ラ・スリーズ・シュル・ガトー」のピンズ
(Arthus-Bertrand製)!
ラインストーンがなんともキュートです。








デューヌ \735
Dune

特筆すべきは、炒りトウモロコシのガリッとした硬い食感と香ばしさ。 ピスタチオとプラリネのナッティなコクが素晴らしい。濃厚な風味ながら、食感はあくまでふんわりとやわらか。その合間に、香ばしく、今までにないガリッと硬い食感が訪れます。この正体はなんと炒りトウモロコシを入れた薄層。官能的なコクの中に、ソフトとハードが共存したエルメらしい逸品。

タルト・モガドール \680
Tarte Mogador

なめらかで濃厚なチョコレート、それをパッションフルーツとローストしたパイナップルの酸味が華やかに演出。苦味と酸味が心地よく、フルーティな味わいが長い余韻となって残ります。カリカリっと歯応えの良いタルト生地との相性も抜群。

シュープリーズ・ユ \525
Surprise Yu

どんなおいしさが閉じ込められているのか、毎回楽しみなのがこのシュープリーズシリーズ。サクッと軽いメレンゲの中から現われるのは、キュッと酸味の効いた生リンゴと焼きリンゴの2種。リンゴの酸味を爽やかなユズがまとめ、何とも清々しい味わい。間に忍ばせたユズ入りクレームムースリーヌのまったり感が全体をまとめています。

ミルフイユ・カラメル \630
Millefeuille Caramel

目にも美しい、艶やかなフィユタージュ。サクサクっとした食感はもちろん、噛むほどにギュッとしみ出てくるバターのジューシーさが絶品!マスカルポーネを使用したキャラメルクリームはフワーっと軽い食感。苦味やしつこさが全くなく、キャラメルの良さだけをいかした味わいが非常に上品!

エモーション・マホガニー \840
Émotion Mahogany

可愛らしいマシュマロの下は、軽さのあるキャラメル入りのマスカルポーネクリーム。さらにスプーンを進めると、ねっとり濃厚なマンゴーの層、ココナッツ入りのダクワーズ、そしてライチのコンポートが登場します。キャラメルクリームは、苦味を抑え軽く上品に仕上げたもの!その味わいが、フルーティさとみずみずしさを引き立て、新しい味わいに昇華しています。

マカロン・プレニチュード \210
Macaron Plénitude

初登場の2色マカロン!キャラメルがぐっと効いたガナッシュは非常に濃厚。その心地よい甘さに浸る間もなく、フルールドセル入りのチョコレートが味覚を刺激します。サクッ、ネチッというマカロン生地のおいしさは言うまでもなし。シンプルながら、力強い味わいです。







アンスタン 価格未定
Instant

トローリ、フンワリ、しっとり・・。口の中で重なり合う食感と、チョコレートの濃厚な味わいはチョコ好きにはたまらないおいしさ。ゼリーやガナッシュに忍ばせたアールグレイが、なぜか柑橘系のような爽やかさを生み出し、切れよく軽い仕上がりになっています。チョコレートのあらゆる魅力が詰まった、抗い難い魅惑のケーキです!

エモーション・オリエンタル ¥735(写真手前)
Émotion Orientale

しゃきっと目の覚めるようなレモンゼリーが清々しい。ジンジャーブレッドを入れたスパイシーなクレームブリュレのまったりした味わいとのコントラストが見事!間のフルーツにもしっかり存在感があり、各パーツの力強さが調和した、深く印象に残る逸品。


(写真右からミルクチョコレートと抹茶のトリュフ、トリュフ・プラリネ、マカロン・プレニチュード、野バラの花とマロンのマカロン、ガランス、トリュフナチュール)

野バラの花とマロンのマカロン \210
Macaron églantine & marron

エルメの作品ではお馴染みの野バラの花を使ったマカロン。ガナッシュとは違うマロンクリームのゆるやかな口溶けに、野バラの花の酸味が広がり何とも美しい味わい。クリームに散りばめられたマロンポワレ片の食感がアクセントに。

ミルクチョコレートと抹茶のトリュフ \263
Truffe Chocolat au Lait et Thé vert Macha

抹茶のいかし方はあくまで香り。ミルクチョコレートのまろやかさが苦味を抑えているので、濃厚ながら受ける印象はソフト。日本人とはひと味違った抹茶の使い方が興味深い一品です。周りのピスタチオが香ばしく薫ります。

トリュフ・プラリネ \210
Truffe Praliné

かじった途端に、トローッとなめらかに広がるプラリネガナッシュは、まるでソースが閉じ込められているかのような贅沢な食感。やや厚めのカバーとの食感も対照的で、目を閉じて五感で楽しみたいトリュフです。

トリュフ・ナチュール \210
Truffe Nature

個性的で存在感のあるココアパウダーに包みこまれたガナッシュは、ベロアのような上質な口溶け。シンプルながら、苦味と酸味のバランスが良く、いくつでも食べられてしまう危険な味わいです。



ピエール・エルメ パリ
(ホテルニューオータニ ザ・メイン ロビィ階)
Tel:03-3221-7252(直通)