“今度は何を見せてくれるんだろう?!”新作発表のたびに話題をさらっていくピエール・エルメ氏。今年は「フェティッシュ(“好きでたまらない!”の意)」という年間テーマのもとに、魅惑的なスイーツを展開しています。これまでにも、3月の“イスパハン・フェスティバル”、4月の“キャレマン・ショコラ”“マカロン・フェスティバル”、5月の“グラス・エ・ソルベ”などの期間限定テーマに沿ったスイーツが続々登場。エルメ氏ならではの素材の組み合わせや食感の妙から生まれるスイーツを毎回楽しみにしているファンも多いとか。でも、ちょっと待って。このフェティッシュをより愉しむために、期間限定のフェティッシュ・パーティーが開催されていることは案外知られていないのでは?実はこのパーティーがすごいらしいんです。いったい何がすごいのか???早速、6月16日の夜に開催されたパーティーにパナデリアが参加してきたので、その様子をお伝えします!



会場はピエール・エルメ・パリ 青山店。1階のブティックを眺めつつ2階のバー・ショコラに向かうと、そこはもう別世界!一面鏡張りの壁に豪奢なシャンデリア・・・照明を落としたシックな佇まいの中にラグジュアリーな空間が広がります。思わず、ここがパティスリーだということを忘れてしまうほど。

リシャール・ルデュ氏(左)とクリストフ・ドラピエ氏(右)、
プレスの森本 愛さん(中央)



メニューにずらりと並ぶスイーツやドリンクたち。ブッフェ形式で好きなだけいただけます!


でも、ちょっと意外だったのは想像以上にスペースが小さいこと。今までは何百人も招いて盛大なイベントを企画するイメージが強かったエルメ氏ですが、今回のパーティーは少人数制。WEB上で希望を募り、抽選後当選した30名だけが参加できるという限定パーティーなのです。実は、これが狙いだったとか。フェティッシュを愉しむポイントについて、エルメ氏の片腕として活躍するリシャール・ルデュ氏が次のように語ってくれました。

「ピエール・エルメのファンの皆様との距離をもっと縮めたい、関係を密なものにしていきたい、そんな想いでこのパーティーを企画しました。今回のフェティッシュを通して新たな発見が生まれ、もっともっとピエール・エルメを知ってもらえたらと思っています。今夜は一緒に楽しみましょう!」

そしてクリストフ・ドラピエ氏からは、

「今回のフェティッシュのテーマである“モザイク”は、ピスタチオとグリオットの組み合わせ。今夜だけのスペシャルメニューも用意していますのでお楽しみに!」

とのこと。

そう、フェティッシュ・パーティーとは、あるテーマに沿ったスイーツを、1度に何種類も思う存分味わってもらおうという企画なのです。今回は “モザイク”味のスイーツで会場が埋め尽くされました。例えばミルフィーユ・モザイク、タルト・モザイク、マカロン・モザイクなどなど、その数、なんと13種類!中にはパーティーのためだけに考案されたというレアなスイーツも登場し、会場を沸かせます。

ワイン・ミュスカ・デュ・キャップ・コルスにハイビスカスティー。飲みものも充実しています 深紅色が美しいスムージーはカシスとフランボワーズとイチゴをブレンドしたもの


それにしても、ピスタチオとグリオットというシンプルな組み合わせから、こんなにもたくさんのスイーツが生まれるなんて。そしてそのどれもが個性的。味も食感も全部違うんです。だから飽きるどころか、“もう1回食べたい!”“次はどんな手で攻めてくるんだろう?”とついつい手が伸びてしまい、そうして気づいた時には間違いなくピエール・エルメの虜になっている・・・というわけなのです。

「例えばピスタチオひとつとっても、生クリームと合わせるのかバターと合わせるのかクリームチーズと合わせるのかなどによって味わいは変わってきます。だから可能性は無限にあります」

とドラピエシェフ。

グリオットのソテーのデモンストレーション中。おいしそうなバターの香りに包まれて・・・

こんな風に、気軽にシェフとの会話が楽しむことができるのも、少人数だからこそ。今回で3回目を迎えたフェティッシュ・パーティーですが、中には全てのパーティーに参加しているという女性の姿も。“シェフを身近に感じることができるのが何よりも嬉しい”“一度にこんなにたくさんのピエール・エルメを味わえるなんて”というのが、彼女たちを惹きつけている理由のようです。

フォトスタンドにミニケークという素敵なお土産も!

色、形、香り、食感、味わい・・・五感の全てを呼び覚ますエルメ氏のスイーツ。ひとたび口にすれば、誰もが“好き”を通り越して一気に“恋”へと発展してしまうに違いありません。そんな恋の虜に、あなたもなってみませんか?





ミルフィユ・モザイク
絶妙な焼加減が見事なフィユタージュは、サクサクと繊細な層が心地よい食感を生み出しています。間にはまったりとコクのあるピスタチオ風味のマスカルポーネクリームが。グリオットジュレの凝縮された酸味やフィユタージュのキリッと効かせた塩気の効果で、全く重さを感じさせません!



マカロン・モザイク
口にした瞬間に広がるのは、カルダモンとシナモンの香り!同じ素材を使っていても、スパイスをプラスすることで印象はがらりと変わります。グリオットのお酒も効いた大人の味わいは夜のパーティーにもぴったり。



タルト・モザイク
パナデリアスタッフランキング堂々の1位を獲得したのがこちらのタルト。クランブル生地のホロホロ感、パート・ブリゼのサクサク感、そして濃厚なバターの香りが秀逸。ふわりと空気を含んだピスタチオアーモンドクリームとジューシーなグリオットが抜群の相性。



エモーション・モザイク
スプーンを下まで一気に入れて、ホワイトチョコレートの薄片、ピスタチオムース、ピスタチオジュレ、マカロン生地、グリオットのコンポートを一度にいただくと・・・まったり、ふるふる、サクサクと、異なる食感や味わいが次々と訪れます。リズミカルな味と食感の変化を楽しみたい一品。 



サンサシオン・モザイク
上のピスタチオのジュレは、形を保つギリギリの柔らかさ。まるで杏仁豆腐のような味わいでとてもさっぱりとしたもの。対して下のグリオットのジュレはなめらかな口当りで濃厚な酸味。共にいただくとメリハリのあるおいしさが生まれます。



ケーク・モザイク
モスグリーン色のケーク生地をカットすると、鮮やかなボルドー色のジュレが顔を出すというサプライズが!驚くほどしっとりとした生地からは、バターとピスタチオの旨みがじんわり。ミルキーで優しい風味に、グリオットのジュレがフルーティーな酸味をプラス。



ミス・グラグラ モザイク
極薄のマカロン生地に、ピスタチオとグリオットからなるマーブル模様のアイスクリームをサンド。クリーミーなアイスのまったり感と、カリンカリンとしたマカロン生地のリズミカルな食感の対比がポイント。



パート・ド・フリュイ モザイク
ピスタチオとグリオット、2層のパート・ド・フリュイは、厚めで弾力があるタイプ。ナッツとフルーツ、ストレートな素材の風味が楽しめます。



クープ・モザイク
グラスにひと口サイズのピスタチオのアイスクリーム、グリオットのソルベ、生クリーム、マカロンを盛った小さなパフェ。



ピスタチオ入りマスカルポーネクレームのクレープ、グリオットのコンポート添え
ふんわりやわらかいクレープ生地にコクのあるクリームがよく馴染みます。優しい印象のクレープですが、濃厚なグリオットのコンポートと共にいただくとメリハリのあるおいしさに。



ピスタチオのアイスクリーム、グリオットのソテー添え
ピスタチオ以上にピスタチオの風味とコクを感じるアイスに感激!まったりとクリーミーなのに喉越しはとても爽やか。このアイスに、バターと砂糖でキャラメリゼしたグリオットのソテーを添えるとますます味わい深いものに。



ピスタチオ風味のクレームブリュレとグリオットのコンポート添え
ピスタチオのブリュレはまったりなめらかな口当りと喉越しが良さが魅力。上にはたっぷりグリオットのジュレがかけられています。濃厚な酸味がキレのある仕上がりに。



ピスタチオとグリオットのサンドイッチ
なんと、サンドイッチ版のモザイクも登場!甘くないクリームチーズとピスタチオが不思議と好相性。ちょっと気分転換したい時にこれをひと口。すると、またスイーツを食べたくなるのです?!








ピエール・エルメ・パリ 青山
住所 東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山1・2F
TEL&FAX03-5485-7766
営業時間平日11:00〜21:00(バーショコラL.O20:00) 週末・祝日11:00〜20:00(バーショコラL.O19:30)
定休日不定休
URL http://www.pierreherme.co.jp/