新宿・伊勢丹本館地下一階の食料品売り場が、2006年12月2日(土)、リフレッシュオープンを果たした。4日(月)、そのお披露目のパーティーがあり、伺うことにした。
というのも、このオープンにあわせて、ジャン=ポール・エヴァン氏、ピエール・エルメ氏、アラン・デュカス氏が来日し、会場にいるというのだ。そう、新しくなった売り場には、おなじみのショコラティエ「ジャン=ポール・エヴァン」、スイーツの「ピエール・エルメ パリ」、そして初上陸となる、アラン・デュカス氏の惣菜やパンを楽しめるブーランジェピシエ「ビー」が揃っているのだ。ス、スゴイじゃないかっ。

相変わらず優しい笑顔のエヴァン氏


パーティーは、伊勢丹の閉店時間後に行われたのだが、張り切りのあまり、思わず一番乗りしてしまった。脇の階段から、会場である地下に降りたところで、宴の始まりを待つ。いよいよ開始。案内されるままに受付を済ませ、荷物を預ける。配られるシャンパンを手にしたら、あとは自由に会場を歩き回りながら新しい店を見てまわるといった趣向だ。

紅茶やジャムなど食材も充実、中にはこだわりのお水も


次々人がやってきては、みな思い思いに店内を歩き回る。途中、お偉い方のご挨拶や、来日中の3氏からマイクを握った一言があるかと思いきや、そういったものは一切ないパーティーだった。実は、「3氏を一緒に写真撮影してはいけない」なんていう噂を事前に聞いていたのだけれど、皆それぞれ自分の店にいて、少なくともわたしが目を光らせている限り、撮ろうにも揃って並ぶことはなかったのである。

昨年より少しふくよかになった印象のエルメ氏。

「ピエール・エルメ」のコーナーでは、こんなにかわいらしいケーキの数々が


さて、新しくなった売り場は、「デパ地下」というやや庶民的な響きのある言葉を使うのをためらうほど、スタイリッシュに「編集」されていた。紅茶売り場には数社の紅茶が、それぞれかなりの種類ずらりと並ぶし、格別力を入れたように思える広いワインコーナーは、一見しては分からない秘密の(?)扉があって、その奥のセラーには、なんと1900年から毎年のワインがほとんどあいた年なく揃っている。ここでだったら、おじいちゃん、おばあちゃんの生まれ年のワインだって見つけられることだろう。お酒といえば、シングルモルトコーナーも充実していた。珍しいものまでリーズナブルに試飲できるカウンターも設えてあって人気を呼んでいた。

日本最高の品揃えと理想的環境が整えられたワインセラーも誕生


3氏のコーナーに足を向けると。
「ジャン=ポール・エヴァン」は、少々場所が縮小されていたが、やはり賑わっている。新作のオレンジ風味のシンプルなタブレットをいただいたら、とても風味がよかった。華美さはなけれど、さりげなく、品のいいおいしさ。わたしのイメージするところのエヴァン氏のタブレットの味だ。もちろん、以前より変わらず、ショコラショーなども楽しめる。
「ピエール・エルメ パリ」ではマカロンのほか、幻のケーキとも言われる、三角柱の「ラ スリーズ」がショーケースの中に並んでいるではないか。スイーツ好き、あるいはエルメファンなら一度は食べてみたいケーキだろう。売り場は大きくはないけれど、エルメスイーツが溢れて華やかだ。

プレジールシュクレと同じ構成だというラ・スリーズ。一度は食べてみたい名品だ

デュカス氏がプロデュースするブラーンジェピシエ「ビー」は、日本初上陸の注目店。ブーランジェピシエとはブーランジェリー(パン屋)とエピスリー(食材店)を組み合わせたもの


そして目玉の「ビー」へ。試食に出ていたキッシュをつまんだら、これが美味だった。サンドイッチなども大いに期待できそうだ。スイーツ系も並んでいる。パンの中では、「セーグル オーベルニャ」というのが印象的で、みんなの目を引いていた。形は食パンのようだが、どっしりと重そう。中は茶色、まわりは焦げたように真っ黒だ。いかにも日持ちしそうで、きっと噛みしめると深くて濃い味がするに違いない。おなかにたまりそうだが、つい食べ過ぎてしまいそうな気がする。なんて思っていたら、このパン、帰りにいただいたお土産の袋に入っているではないか。そしてああ、想像通り。やっぱり食べ過ぎてしまった。しかもバターを「ぬる」のではなく「のせ」ていただくとたまらないのである。そして腹持ちのいいことといったらない。明らかにカロリーオーバーではある。が、それを差し置いても、訪れた際には購入をお勧めしたい。「フランス全土でも、このパンをちゃんと作れる人は数人とか…」と、パンフレットに記載されている。ナチュラルなものとオレンジピール入りがあって、どちらも魅力的だ。

2002年パリに登場した「ビー」。現在はパリ市内に2店舗を展開中

最後に忘れず、エヴァン氏との2ショット!