text&photo/八木あすか



先日もこちらでお伝えした、カンロ飴50周年キャンペーン。その一環として、期間限定(11/1(火)〜12/11(日))の「カンロカフェ」が誕生しました!
カンロ飴の持つ独特のやさしさ・懐かしいあたたかさ。 確かな“よさ”でありながら、言葉やモノだけでは説明しがたい、とらえがたいその感覚。 これをまるごと体感できる空間をつくってしまったのですから、なんとも素敵なプロジェクトです。 しかも店内演出はSalviaのセキユリヲさん、そしてカフェの場所はなんとあの高円寺「HERE WE ARE marble」! もとより、セキさん、そしてアート、書籍、音楽とジャンルを軽やかに超えていくマーブル・テイストの大ファンだった私、強烈に反応してしまいました。
これらエッジのきいたクリエイターさんたちと、老舗ナショナルブランドの質実剛健なイメージとのギャップも小粋です。 様々に想像をかき立てられながら、「オープニング発表会」におじゃましてきました。






カフェ2階のサロンで行われたプレス向けの発表会。 50年の歴代のパッケージが壁際にずらりと時系列に並べられています。
さまざまな変遷はあれど、キーカラーと愉しげに踊るアルファベット、というふたつのラインは共通しています。 バター、フルーツ、ニッキ・・とバリエーション展開していた時期があったのも興味深い!



パッケージの歴史絵巻のトリを飾っているのが、今回のキャンペーン専用のパッケージやプレゼント賞品たち。
目にした瞬間、はっと惹かれる新鮮な可愛らしさと、どこか懐かしい雰囲気とが共存した、幸せを感じるあたらしさです。







さて、まずはカンロの企画担当の方から、キャンペーンの概要のご説明がありました。
キャンディーというのは、一年間で約1,000品が新規に発売され、翌年まで残るのはその一割にも満たないほどだとか。発売50周年、というその響きにぐっと重みが加わります。
あの独特の味わいは”特別なお醤油”に由来することや、日本でキャンディの初めてひねり包装を始めた会社であることなど、老舗ならではの貴重なエピソードが次々に披露されました。

「懐かしい飴」ではなく、「今必要とされる飴」にしたい、とのこと。機能デザイン面もよりユニバーサルな方向にリニューアルされ、袋の開封性が改善されています。



続いて、カンロ株式会社開発本部の内山さんと、今回のキャンペーンのデザインサイドの立役者・セキユリヲさんによるトークセッション。 最初は広告のみの展開の予定だったという今回のキャンペーンが、いかにしてこうした大きな広がりに至ったかを語ってくださいました。
はじまりは、内山さんが、雑貨店で見かけたセキさんのポストカードにぴんとくるものを感じ、購入して帰ってカードの上にカンロ飴を転がしてみたところからだとか。 
その”ぴんとくる”感じ、理屈ではなく直感的にしっくりくる相性のよさ。 わかるわかる、とうなずく気配がプレス席に漂います。 
実際、社名にもなっている大切な商品のパッケージデザインに手を加えることに対し、社内で抵抗をおぼえる層もあったそうなのですが、セキさんのデザインとともに提案がなされると、デザインそのものに対しての異論は全くなかったそうです。
そのものが本来持っているよさと、今後向かうべき方向と。過去と未来をやさしく内包したデザインであるからなのでしょう。

昔からの技術で今のよさをつくっていくブランド、Salviaを主宰されているセキユリヲさん。 歴代のパッケージが継いできた”よさ”をどう現代に表現するかがテーマだったとのことです。

壁には貴重なプレゼンボードが展示されていました。
初期のイメージコラージュ。「甘露」の意味と響きから、天から”しずく”のイメージが降ってきたというセキさん。
”選ぶ楽しさ”を考えて、多色展開の提案も。
色指定指示書です。フォギーなあたたかみのある色ばかり。
個装フィルムの原稿と現物。耳の部分の、ピンクと黄色の縞の密度がグラデーションになっていて、切断部分によって”黄色っぽい包み””ピンクっぽい包み”といろいろなパターンが生み出せる、感動的なアイデアです!
色校正と完成品。切り絵っぽい表現、グラシン紙の透け感をいかした窓、部分的に裏白をひかずにわざと発色をおさえるセンス・・ さすがです!


海外のお菓子のパッケージの、なんともいえない可愛らしさを研究して、エッセンスを取り入れた部分もあるとか。
封部分のプレスの幅、ぎざぎざの密度、穴のかたち(日本製のものは丸が殆どなのですが、これは三角なのです!海外のスーパーなどのフックの形を思い出すと合点がいきます)、端の裁ち切り方・・ 随所にみえるこだわりが、あの”ぴんとくる感じ”につながっているのでしょう。
内山さんも、「最初はセキさんのこだわりと着眼点に驚かされましたが・・・ ファッションに置き換えてみれば、材質や縫い方など、じっくり見て買いますものね」と。 ほんとうに。 ものづくりの想いは細部に宿り、乗算されて受け手の心に、静かにしかし確実に届きます。 

「売れるだけでなく、このカンロ飴の持つメッセージに共感をしてもらえたら」(内山さん)
「単に古いだけでなく、”古くていいから、いい。”んです」(セキさん) 




最後に、「カンロカフェ」で提供される、”カンロ飴を使ったメニュー”3品を試食させていただきました!
“カンロ飴風味”に味を調節しているわけではなく、なんと”カンロ飴そのもの”を溶かして使っているそう。
ということはあの、”特別なお醤油”が使用されたメニューというわけなのです。


ハヤシライス
牛肉と玉ねぎでシンプルに構成されたハヤシライス。
あっさりとしながらもコクのある風味。香ばしい甘みとトマトの甘酸っぱさが好相性です。


さつまいものタルト
カンロ飴で煮たさつまいもをたっぷり盛りつけたタルト。ホール一台で40粒ものカンロ飴を使用しているそうです。
さつまいもの下にはフレッシュなコクのあるクレームダマンド、漉し餡、さくさくのタルトが。


クレームブリュレ
生地にカンロ飴を加え、表面のキャラメリゼもカンロ飴で、という一品。まろやかでミルキーな味わいです。 シンプルな和洋折衷のかたち。緑茶に合いそうです。



・・・五感でカンロ飴の世界を味わることのできる、実に贅沢な空間でした。

いただいたプレスリリースのフォルダはなんと布張り!”大切にとっておいて、リユースしたくなる”これもきっと、カンロ飴のメッセージのひとつなのでしょう



さまざまな人の想いが込められたカンロ飴。そのころんとした衒いの無い形と美しく澄んだ色にすべてが結実していることに、静かな感動をおぼえました。






カンロカフェ

実施期間: 11/1(火)〜12/11(日)
所在地: 東京都杉並区高円寺南2-14-2
TEL:03-5934-8200
営業時間:12:00―24:00
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は営業、翌火曜日が休み)
客席数:29席
アクセス東京メトロ丸ノ内線「新高円寺駅」徒歩2分
JR中央・総武線「高円寺駅」徒歩10分
☆他キャンペーンに関する詳細は公式サイトにて