去る9月27日、28日の2日間にわたり、フランスMOFパティシエ、G.J.ベルエ(ジェラール・ジョエル・ベルエ)氏の来日特別講習会が国際フード製菓専門学校で行われました。 Ecole Gastronomique Bellouet Conseil(エコール・ベルエ・コンセイユ)はプロの現役菓子職人を対象とした製菓学校。その校長を務めるベルエ氏をはじめ、講師陣にはMOFをたくさん抱えており、世界各国から職人たちがハイレベルな指導を求めてきています。 普段はアマチュア対象のクラスはないのですが、日本の多くのファンの要望に応えて毎年来日講習会と、フランスでの特別授業を行ってくださっています。 今回も高い講習料にも関わらない人気ぶりで、特に若い女性が生徒のほとんどを占めていたのには驚きました。 その講習会の様子、またベルエ氏へのインタビューをご紹介します。


講習会

1日7時間、2日間みっちり行われた今回の講習会に参加したのは全部で17名。講習内容はアントルメ2種、プティフール8種、大きい焼き菓子1種、ボンボン4種というヴァリエーション豊富なお菓子の数々です。
パナデリアが取材に訪れたときは、ちょうどボンボンのカバーリング(仕上げ)をしているところでした。
フランス菓子界の重鎮であるベルエ氏は、通常は大使館・店へのアドバイス、プロの中でもクープ・ドゥ・モンドなどの大会に出場する選手の技術指導をしていらっしゃるとのこと。助手もなしにアマチュアの若い生徒たちに指導してくれるのは本当に異例なことなのです。それでも写真で見たとおりの優しい朗らかな方で、毎回リピーターがほとんどという人気ぶりにも納得しました。
参加されている生徒さんたちもそれを十分承知しており、ベルエ氏の手元を見つめる目は真剣そのもの。中には、今回の講習会のために留学先のフランスから帰国してきたという方までいて、驚きました。

ボンボンが出来上がる頃には、それまでに作った他のケーキも試食の準備が進められ、最後にボンボンを飾る素敵なチョコレートのケースまで作ってくださいました。
授業の最後には、一人一人にディプロムが手渡され、みんなで記念撮影。「次はグラスのアントルメを習いたい」とか「また来ます!!」とみんな大満足の様子でした。
出来上がったケーキやボンボンをお相伴に預かったパナデリアですが、キャラメルとコワントローのボンボンやサクサクのクッキー、キャラメルとオレンジ味のアントルメなどなど、誰でも好きなこと間違いのなしのおいしさでした!!



インタビュー


<経歴>

1979年フランス最優秀技能者金メダル
1987年フランス料理グラン・コルドンドール
1992年カリナリ−トロフィー年度最優秀シェフパティシエ
1997年農事功労賞シュバリエ受勲
その他多くのコンクールにおいて受賞

フランス料理アカデミー会員
イッサンジョー高等製菓学校講師
エトワール技術再教育学校講師


パナ:いつもはプロの方相手に指導されていらっしゃいますが、高い授業料を払ってこんなにたくさんの若い女性がフランス菓子を学んでいることをどう思われますか?中には全くの趣味の方もいらっしゃると思うのですが。

ベルエ氏:もちろんいいことだと思いますよ。ヨーロッパ、特にフランスの食に関心をもってもらえることは嬉しいです。若い人が何にでも好奇心旺盛であるというのはとてもいいことです。

パナ:日本のパティスリーのお菓子はどう思われますか?

ベルエ氏:あまりたくさんまわって見たわけではありませんが、とても綺麗ですね。よく言われるようにデコレーションや仕上げの美しさは本当に素晴らしいと思います。ただ、時に見た目が先行してしまって、味が二の次になっていることもあるようですが。

パナ:最近はフランスではパティスリーの扱うお菓子の幅がせばまってきている傾向にあると聞きますが。

ベルエ氏:確かに昔に比べたらコンフィズリなどを置く店は減りましたね。でもこれも波のあるものだから、これからまた増えてくると思いますよ。パンも同様で、昔ながらの手作りのものが最近復活してきていますからね。

パナ:先日、クープ・ドゥ・モンドのフランス優勝チームの作品を食べましたが、中に甘さのとても少ないものがあって驚いたのですが。日本のほうがフランスより甘さは少ない傾向ですが、日本人である私が食べても「甘くない!!」とびっくりしたくらいです。全体的にそういう傾向にあるのですか?

ベルエ氏:そうでもないと思います。今日の私のお菓子は、甘さを抑えたギリギリのラインだと思っています。塩を使うというのもごく一部の流行であって、ほとんどのお菓子屋さんは昔ながらの味だし、私も極端に甘くないものは「お菓子」とはいえないのではないかと思います。

パナ:今日いただいたお菓子は甘すぎもせず、甘さ控えめとも感じないちょうどよい甘さでした。とてもおいしかったです。どうもありがとうございます。