「ラクタリス」という会社名を知らずとも、「President」ブランドのパッケージには見覚えがある方は多いのではないでしょうか?「President」はラクタリス社のブランドのひとつであり、同社はチーズに限らず、牛乳、クリーム、バターなどを多岐にわたる乳製品を展開するフランスの総合乳業メーカーです。現在日本でも製品は輸入販売されていますが、このたびラクタリス社と日本の商社が代理店契約を締結。本格的に日本市場に進出することになり、その記者発表会と記念パーティーが開かれました。



記者会見の模様

ラクタリス社は、1933年にチーズメーカーとしてフランスで創業。その後、ミルク、バター、クリームなどの乳製品全体に事業を広げ、現在ではフランス全土をはじめ世界148カ国以上に事業を展開。欧州トップ、世界第二位の巨大乳業メーカーです。チーズの年間生産量は50万トンにものぼり、それは日本のチーズ生産量の約2倍。海外進出に関しては、アメリカ、アフリカ、中近東など「チーズの食文化」のある地域を中心に展開してきたそうですが、昨今ナチュラルチーズ消費量が急増していることから日本進出を決定。日本の代表を務めるジェローム・ブエ氏は、今後の展望を次のように語ります。

「チーズの良さを知ってもらうには、まず食べていただくことから。積極的にテイスティングを行い、有名料理学校と提携したレシピ提案も計画しています。また、日本ではナチュラルチーズよりも、プロセスチーズやお菓子などの食品に加工して食べることが多いため、日本に合う商品の企画も必要だと思っています」

現在日本に輸入されている乳製品はオセアニア諸国からのものが多く、価格も欧州からの輸入品に比べて価格は1/3以下だそう。しかし、日本の消費者は”高品質”や”ブランド”を好む傾向があるため、この点に関しては強い自信を持っているようです。

チーズブース会場中央の風景
山盛りのパン


記者発表の後は、お待ちかねのパーティー。チーズのソムリエといわれる「シュバリエ」の称号を持つ江上栄子氏の発声により、ノルマンディー地方の特産物であるシードルとカマンベールチーズでまずは乾杯。自慢のチーズとビュッフェスタイルの料理が振舞われました。スタイリッシュなフラワーアレンジメントが目を引く会場中央には、アラン・デュカスが絶賛したといわれる「レストランFeu」の下村シェフによる小皿料理がずらり。料理自体はベーシックなフランス料理に軽さを求めたスタイルですが、遊びゴコロのある盛り付けは近代的なイメージ。最初に前菜が並べられ、次々に新しい料理を持ったギャルソンが回ってきます。会場一角に大々的に設けられたチーズのブースが気になりつつも、なかなか料理から離れられません。

冷たいビシソワーズフォアグラは、焼きリゾットと共に
子羊のローストガスパチョと海老のビスクを組み合わせた前菜


お料理が一段落し、デザートまでの時間を狙ってチーズブースへ。カマンベールやブリーをはじめとした白カビチーズや、オッソ・イラティーや珍しいプティ・バスクといった羊のチーズ、青カビのロックフォールなどが並びます。また隣にはチーズに合うパンが用意され、そこにはビゴの藤森さんが”パン職人”ならぬ”パン切り職人”として大活躍。お手伝いしないと申し訳ないような気持ちを抱えつつ、チーズに合うパンをセレクトもしていただきました。チーズはどれも状態が良く、「まさに今日が食べ頃!」と思われるもの。おまけに、通常レストランで出てくるのとは違う超厚切りカット。あぁ、何という幸せなんでしょう。

ブリック(奥)とプチバスクロックフォール(奥)と羊のセミハードタイプのもの
トロトロのブリー藤森シェフ


極上の料理とチーズを堪能し、気持ちもお腹も満たされたところで、お待ちかねのデザート!季節のいちごをはじめとした色鮮やかなフルーツをふんだんに使い、光の加減でグラスが光り、とにかく華やか!ビュッフェのデザートにしては量が多目ですが、どれもスッキリとした味わいでペロリといただいてしまいます。特に素材の組み合わせやスパイスの使い方が絶妙で、そこには下村シェフの感性がキラリと輝いているようでした。


デザートその1:
季節のいちごに八角などの中華系スパイスをアクセントにしたグラスデザート。左はチコリコーヒーの軽いムース
デザートその2:
バジルシードと南国フルーツのソースを合わせたブランマンジェ
デザートその3:
ハイビスカスのジュレに様々なフレッシュフルーツを合わせたもの
デザートその4:
これで終わりかと思ったところに登場したのが、このスプーンを使った一口デザートのタワー!スプーンの上に、プラリネクリーム、いちご、キャラメル、バラのアイスクリームを重ねてのせたもの。その可愛らしさといい、食べた時の美味しさといい、会場全体が笑顔に溢れていました。



デザートその5:
今度こそ本当に終わりかと思っていた所に、最後に登場したのがこちら。米のポン菓子をキャラメルで板状につなげたものと、ブラックオリーブをバニラシロップでコンポートにして中央に生のスペアミントを詰めたもの。特にブラックオリーブはミントの衝撃が強烈で、まるでハーブティーを飲んだ後のように口の中がさっぱり。最後にゆっくりお茶を飲むことが出来ないビュッフェスタイルならではの工夫でした。



最後に料理を作り終えた下村シェフとスタッフの皆さんが出てくると、自然と会場から拍手が沸き起こり、ラクタリス社のメンバーと共に記念撮影。その表情は、パーティーを成功させた達成感に溢れていました。




チーズを楽しむ際にはワインと合わせるイメージが先行していますが、忘れてならないチーズのお供がパン。「パンのおいしい食べ方を知って欲しい」と、チーズを販売するパン屋さんも増えてきています。ラクリタスの日本上陸は、日本のチーズ市場の活性化につながるはず。美味しいチーズは、私達の食生活に少しづつ浸透しています。消費者である私達もチーズについて知識をつけ、より美味しい食生活が送れるようになりたいものですね。