クリスマスまで1ケ月を切った11月27日。ラ・シュエットの近藤冬子先生とアトリエ・ドゥ・テテの高崎亨先生の共宰による、第13回ラトリエ・ドゥ・グゥの講習会が催されました。今回のテーマは”クリスマスのお菓子”。教えていただいたのは定番のブッシュ・ド・ノエルをはじめ、本格的なアントルメ、ギフトにも最適な日持ちのする焼き菓子など、パーティーの多いこの季節に活躍しそうなお菓子が計5品。パティシエとして豊富な経験を持つ両先生の技術やレシピを学ぶ、充実した内容となりました。

会場となったのは、世田谷区池尻にある東京栄養食糧専門学校の製菓実習室。南蛮窯やショックフリーザーなどプロが使う器具が一通り揃っており、アマチュアにとってはこれらの器具を使うことだけでも貴重な経験です。


(プロも憧れるという南蛮窯。「いつもより焼きの加減がいいわ」と近藤先生)



9:30から始まった講習会。午前中は主に高崎先生が担当され、二品の実演の後に実習が行われました。チョコレートに人一倍こだわりのある高崎先生のメニューは、二品ともチョコレートを使ったもの。チョコレートを扱う際の細かな注意点など、丁寧な説明がありました。実習の際には先生とアシスタントの方々が各テーブルをまわり、個別の指導が行われます。参加者に対してスタッフの人数が多く、細かい指導が行われるのもこの講習会の特徴。自分で疑問に思ったことをどんどん質問できるのは、参加者にとってもうれしいものです。




そしてランチライムを挟み、午後は近藤先生の実演が始まりました。近藤先生の作業工程には参加者向けの細やかな配慮がなされ、家庭で少量作る際の工夫が随所に見られます。例えばパータボンブを作る時、軽量カップのような小さな小鍋でシロップを加熱すること。その鍋に温度計を固定するためにクリップを利用すること。こんな小さな工夫が作業性を良くし、おいしいお菓子作りにつながるんだと実感しました。近藤先生の実演は3品。「聖夜のモンブラン」と名付けられたロマンティックなモンブランに組み合わせた素材は、酸味のきいたカシス。フランスでは肉料理のソースとして栗とベリー類が使われることから思いついた組み合わせだそうです。他二品は、日持ちがよくギフトにも最適なフランスアルザス地方の焼き菓子。この地方の特産物であるキルシュに漬け込んだドライフルーツをふんだんに使い、見た目にも華やかで、手軽に作れることもうれしいもの。お菓子を作る機会が増える年末、これだけのバリエーションがあれば「何を作ろう?」と悩むことはなさそうです。




 そして最後は試食タイム。先生方の作ったお菓子を一口食べては、顔がほころぶ参加者の皆さん。出来たてのお菓子のおいしさは、格別です。では、写真とともに、ご紹介しましょう。


*高崎先生*

ビッシュ・ド・ノエル・ポム (実習品)

キャラメル入りのミルクチョコレートクリームをふんだんに使ったビッシュ・ド・ノエル。クリームはムースのように軽く、チョコレートというよりもキャラメルのミルキーな風味が際立った広く好まれる味わい。食感を残すよう軽めに火を通したりんごのソテーが巻き込まれ、爽やかな酸味と食感が全体のアクセントになっています。上にのせた姫リンゴが可愛らしい。

ロートンヌ

ミルクチョコレートムースに、イチジク入りメープル風味のクレームブリュレの組み合わせ。口の中ですっと溶けるような滑らかさで、メープルの華やかな香りとコクが印象的です。秋の新作として、アトリエ・ドゥ・テテでも販売中です。


*近藤先生*

聖夜のモンブラン

山をイメージし、ピラミッド型で仕込んだモンブラン。マロンクリームの内側は、ジェノワーズの生地の中にカシスのムースと生クリームがたっぷりと詰まっています。カシスの酸味と生クリームのまろやかさで、ともすれば重たい印象のモンブランが軽やかに変身。ご馳走が並ぶクリスマスの食卓、デザートの前にお腹がいっぱいでも、これならペロリと食べられそうです。

パン・オー・フリュイ

キルシュに漬け込んだドライフルーツとナッツを、少量の小麦粉でつないだもの。ドライフルーツの濃厚な旨みと、ナッツの食感や香ばしさが十分に味わえます。アルザス地方でクリスマスの時期に食べられるベラベッカに似たもので、お酒や白カビ系のチーズとの相性もぴったり。

マンディアン

こちらもドライフルーツをキルシュに漬け込んだものを使用したお菓子。一見普通のフルーツケーキですが、実は漬け込んだプルーンとレーズンをペースト状にし、生地に練りこんであります。このペーストが、しっとりとした食感と深い味わいの源。キルシュのフルーティーな香りも良く、とても上品な印象です。



今回は高崎先生のご好意で、「ビッシュ・ド・ノエル・ポム」のレシピをパナデリア会員向けに公開させていただきました。レシピはこちらからどうぞ。



次回の開催は、来年2005年の1月29日(土)。テーマは「チョコレート」です。ベルギーやフランスなどチョコレートの本場で修業された両先生の技を習得すべく、参加してみてはいかがでしょうか? 詳しくは、近藤先生の主宰されるお菓子教室「ラ・シュエット」までお問い合わせください。
Tel /Fax 03-3461-6551 (平日 9:00〜18:00)