吉祥寺、二子玉川に続いて、3店舗目となるダージリン専門店「リーフルダージリンハウス」が銀座の街にオープンしました。高級感のあるグリーンを基調とした店内は、気品のあるアンティークの家具が設えられており、社長の山田栄氏が毎シーズンダージリンの農園に直接赴き、ディスカッションやテイスティングを重ねて選び抜いた極上のダージリンティーが並べられています。
ダージリンは、ヒマラヤ山脈を背にした山岳地帯に位置するダージリン地方の約80の農園で、昔からの製法で作られているもの。春・夏・秋と茶葉を摘む季節によって年3回の“クオリティーシーズン”があり、それぞれの季節に旬の味わい深さがあります。

さて、ダージリンティーのクオリティーシーズン。春・夏・秋には以下のような特徴があるそうです。

■春/ファーストフラッシュ(3月〜4月)…その年最初に摘まれた、繊細で緑茶の多い茶葉
■夏/セカンドフラッシュ(6月〜7月)…1年の内で味・コク・香りとも充実した最良品
■秋/オータムナル(10月〜11月)…1年の最後に摘み採られる、ごくわずかな良質の茶葉


今回は、銀座店にて春摘み(ファーストフラッシュ)、そして夏摘み(セカンドフラッシュ)のダージリンティーを味わうテイスティングの会「ダージリンとの一期一会の集い」が行われました。
テーブルにはズラリと並べられたテイスティングカップと、一見全て同じように見える茶葉。うーん、違いがわかるかしら…と、ちょっと緊張。


テイスティングする紅茶は全部で10種類


山田社長自ら、紅茶の製法やダージリンティーの特徴をわかりやすく紹介していただきました。
「ダージリンの魅力はワインによく似ていて、農園ごとの個性や収穫時期によって味わいが異なり楽しみがあります。ベリーやピーチ、アーモンドやスパイス、花など様々な香りを秘めていますので、ワインを愉しむように、ぜひ味わってみてください」
いよいよ、カップにお湯がそそがれ、テイスティング開始です。




テイスティングには専用のカップが使われ、茶葉を直接入れたカップにお湯を注ぎ、蒸らした後、逆さまにして茶を抽出します。淹れた後の茶葉もフタの上に乗せ、香りや色や葉の状態などをチェックします。驚いてしまったのは、テイスティングの方法。

「ちょっと初めての方には難しいかもしれませんが…ズズズッ!!!」

山田社長のお手本によると、スプーンに少量の紅茶を取り、口先に寄せたら、口の中全体に紅茶をスプレー状に噴出させるように音を立てて一気に吸い上げるのです。これは、舌の表、裏、先、奥を満遍なく使って紅茶を味わう為だそうです。吸い上げた後、体の中で香気を循環させ、鼻から抜くようにして、香りを感じます。なかなか一度で体得するには難しい技術ですが、見よう見まねでズズッ!ズズッ!とすすり、ファーストフラッシュからセカンドフラッシュと、順番に紅茶を味わっていきました。


春摘み(ファーストフラッシュ)のダージリンティー

夏摘み(セカンドフラッシュ)のダージリンティー



まず、一見してわかるのは水色の違い。一般的な紅茶色といえる、やや濃い目の飴色のセカンドフラッシュに比べ、ファーストフラッシュは中国茶や緑茶に近いような薄い水色。見た目だけでなく風味も異なり、ファーストフラッシュは、繊細で爽やかな香りと、すっきりとした喉越しが特徴。セカンドフラッシュは、熟成された深みのある香りと、タンニンが増して心地よい渋みが感じられます。同じシーズンでも、ひとつひとつ丁寧に味わっていくと、農園によって微妙に味わいが異なり、各々の個性があります。また、同じ農園内でも、摘み取る日時や気候、日照条件などにより微妙に風味が異なるそうです。


テイスティングの途中で、食パンが配られました。これはお茶請け?いえいえ、違います



様々な紅茶を一度に試飲するときは、微妙な味の違いを把握するために、口の中に残った茶の味やタンニンをクリアにしなければなりません。そのときに活躍するのが「食パン」。パンを食べることによって、舌の上が掃除されて、また新たな紅茶の味わいを受け入れる体制を作ります。パンにそんな効果があったとは!と、いうことは知らず知らずのうちに食べていた、朝ごはんの食パンと紅茶の組み合わせ。実は、紅茶を味わう最高のコンディションだったのでは…!?なんて、食パンにバターやジャムをたっぷりつけていては意味がありませんね(笑)食パン以外には、絹糸を使って、舌の上を掃除する方法もあるそうです。


こんどこそ、お茶請けの登場。まさに、ワインのつまみのようなチョイスですが、これがびっくりするほど紅茶に合うのです!



さて、気になるのは、やっぱり紅茶と食べ物の組み合わせ。ダージリンティーにはどのような食べ物が合うのでしょう?
「ダージリンティーを始め、紅茶にはタンニンが含まれていますので、食べ物の組み合わせもワインと非常に似ています。レーズンやイチジクのようなドライフルーツ、チーズ、お菓子ですとバターを使ったクッキーが合いますね」
テイスティングの仕方や分類だけではなく、食べ物の組み合わせまでワインに似ているとは、目からウロコ。さらに、ファーストフラッシュは和菓子にも合うのだとか。それは、すっきりとした味わいが、強い甘みを切る効果があるため。飲んだ時の印象が日本茶に近い味わいを感じたというのも納得です。参加者の方からは、タンニンの量の違いからセカンドフラッシュが赤ワイン、ファーストフラッシュが白ワインのようだという意見も。そう考えれば、肉料理や魚料理など食事との組み合わせも出来て、紅茶の愉しみ方がますます広がりそうです。


最後の一杯は、オカイティ農園「シルバームーン」。美しい水色が魅力です



最後のテイスティングは、アーリーオータムナルといわれる、9月に収穫される、秋季早摘みのダージリンティー。オカイティ農園の「シルバームーン」が美しいカップに入って提供されました。こちらは、茶葉に一番栄養が行き渡るといわれる満月の夜の、日の出前に摘み取られる貴重な紅茶。微発酵の紅茶で、凍頂烏龍茶を思わせるようなジェントルな味わいです。30gで1,575円と、お値段も一級品!

このシルバームーンのように、宇宙のリズムを基本に植物本来が持つ力を引き出す栽培方法があるのも、ダージリンティーが神秘的なお茶として人々を魅了してやまない理由のひとつかもしれません。今回は、様々な角度から、深遠なるダージリンティーの世界を堪能することができました。まさに、ダージリンティーは“一期一会”。色々な知識を得ることも、味わいのひとつではありますが、紅茶はやはり飲んで愉しむもの。数多いダージリンティーの中から、自分の嗜好に合った一杯に出会うため、皆様も「リーフルダージリンハウス」にお出かけになってみてはいかがでしょうか?


お土産には、ハロウィンにちなんだかぼちゃのクッキーと、マーガレッツホープ農園の「マスカテルディライト」を頂きました




リーフルダージリンハウス銀座店
住所 東京都中央区銀座5-9-17 あづまビル1F
TEL/FAX03-6423-1851
URLhttp://www.leafull.co.jp/