日東製粉の粉を使ったベーキングセミナーが、昨年同様、西葛西にある日本パン技術研究所で11月20日(月)に開催されました。昨年は日東製粉の粉を使っての洋菓子講習会(オーストリア菓子のマイスター取得者:「フレダーマウス」の八木淳司シェフ)でしたが、今年はオーストリアのパン・ケーキのマイスター取得者であるウェルネル・エベナウア氏を迎えてのベーキングセミナーとなりました。エベナウア氏はオーストリアでベーカリー経営13年間、日本にてベーカリーコンサルタント7年間、日本リーバ勤務15年間、他ドイツ、オランダ、スイスに滞在合計37年間のベーカリー経験があります。

「自然派志向の欧風パン・菓子」をテーマに、エベナウア氏が教えてくれたのは、「ブルゲンレンダーブロート」「ピルガーブロート」「ブレッツェル」「シュバービッシャルツィーベルクーヘン」「マンデルツォップ・ヌスツォップ」「メイチベイ」の6品でした。あまり聞いたことのない名前のものが多かったのですが、それぞれパンの作り方だけでなく、そのパンや菓子がその国・地域でどのように食べられているかなどの話も交えながらの講習会は興味深いものでした。

また、この講習会のエベナウア氏のレシピを見たときに、普通パンは強力粉だけで作るものが主なのに、すべてのレシピに強力粉と薄力粉がブレンドされて紹介されていた事にも、はて?と疑問が生まれました。

これは何故かというと、オーストリアなどのヨーロッパでは、日本にあるような良質なグルテンの多い粉は実際には使われていないそうです。ヨーロッパで生産されている粉はグルテンも少なく中力粉に近い粉なので、今回の講習会で日本の粉を使うと、グルテンの量が多すぎる・・ということで、薄力粉を加えグルテンの量をおさえたそうです。ちなみに日東製粉をはじめ多くの日本の製粉会社が輸入しているのはアメリカやカナダ産小麦粉。アメリカ、カナダの粉はグルテンの豊富な良質な小麦粉が取れるそうです。

そして今回の講習会で紹介された「ブレッツェル」は、あらためて、凄いパン!であることを再認識。ブレッツェルといえば、南ドイツ、スイス、オーストリアでよく食べられていたものですが、最近では冷凍生地が発達して、北ドイツでも食べられるようになったそうです。ビアホールなどに置いてあり、ビールと共に…という我々のイメージそのもののように食べられているのはもちろんですが、ブレッツェルを2枚にスライスしてレタスやトマトなどをサンドして食べられてもいるようです。そして、パン好きの皆さんならご存知の通り、オーストリアやドイツのパン屋さんのシンボルマークにもなっています。

そして、何が凄いパン!かといえば、ブレッツェルといえばあのポリポリとした食感ですが、皆さんは、どのようにしてこの食感が生まれるか、ご存知ですか?これは、水酸化ナトリウム溶液にブレッツェルを浸し、焼き上げることで生まれるものなんです。水酸化ナトリウムと言えば、大変危険なもの。もちろんそれを取り扱うのにも慎重になり、見ているだけの我々にも張り詰めた緊張が伝わってきます。

ブレッツェルの生地を溶液に浸すときにはゴム手袋をはめて、そして天板にはオーブンシートを敷いて…オーブンシートを敷かないと、なんと恐ろしいことに天板に穴があいてしまうそうです。しかし、これに熱が加わると無害な食塩となり、あの塩気の有る、ポリポリとした食感になるのです。不思議ですよね。

その他、今回の講習会は、日東製粉の中央技術研究所のスタッフの方もパームフルーツオイル、セサミなどを使った自然派思考のパン2品と、ミックス粉を使った商品を11品紹介してくれました。
この講習会を参考にして、受講者の皆さんが、今後どのような商品を生み出していくのか、とても楽しみです。


講習会で紹介されたパン

マンテルツォップ・ヌスツォップ

ブルゲンレンダーブロート

メイチベイ

ブレッツェル

シュバービッシャルツィーベルクーヘン

ピルガフロート