2005年6月、スイーツファンには衝撃的だった「オーブン・ミトン」一時休業のお知らせ。一部の焼菓子は限られたデパートやネット販売で購入できたものの、オーブン・ミトンのお菓子の全てを堪能することはできませんでした。あれから約1年3ヵ月…2006年10月3日、ついに「オーブン・ミトン カフェ」と生まれ変わって、小嶋シェフのお菓子を楽しめる日が戻ってきました!ここではオーブン・ミトンのお菓子とともに、新しく加わったデザートや料理房カロティカのお料理もいただけるとのこと。そこで、小嶋シェフからのご招待を受けて、パナデリアもオープニングのレセプションにお邪魔してきました。

JR武蔵小金井駅から商店街を通り抜け、さらに坂を下ると左側に続く「はけの道」。途中、果樹園があったり、どこか東京とは思えないようなのどかな風景が続きます。この小道を散策しながらしばらく進むと辿り着くのが「はけの森美術館」。東京にもまだこんな自然が残っているということが嬉しくなってしまう、まるでトトロが住んでいそうな森。そしてそのすぐ隣に立つ看板に案内されて細い小道を進むと、うっそうと茂る木々の間から姿を現した一軒家、それが「オーブン・ミトン カフェ」です。

中村研一記念小金井市立はけの森美術館

オーブン・ミトン カフェへと続く小道に門構え、期待はふくらみます

緑に囲まれて建つカフェは、紅葉の時期に来るのも素敵!



ここは、近代洋画家・中村研一氏のアトリエだった場所。敷地内には水が湧き出で雑木林が広がり、そして何よりもこの澄み切った空気に身を包まれていると、まるで京都の寺院を訪れた時のような厳粛ささえ感じられます。そんなピンと背筋が伸びる思いでカフェの扉を開けると、緊張感が一瞬にしてほぐれるような温かい空気が流れていました。少し洋風の日本家屋の入り口は「玄関」と呼ぶにふさわしく、「ただいま〜!」という言葉が口をついて出てきそう。そう、田舎のおばあちゃんの家に遊びに行ったような感覚。そして目の前のショーケースや焼き菓子たちが温かく迎え入れてくれます。

靴を脱いでスリッパに履き替えれば、あとはゆっくりケーキを選びましょう

マフィンやスコーンはイートイン、焼き菓子はお土産用に



お祝いのお花で飾られたシックな色合いの店内では、小嶋シェフがゲストの一人一人に挨拶をされていました。疲れを感じさせない明るい笑顔とスリムな体から湧き出るパワーは健在。お祝いに駆けつけた中には「ビゴの店」藤森シェフや「サロン・ド・テ・スリジェ」和泉シェフの姿も。

「やっぱりお祝いにはこれでしょ!どのデザインにしようか1週間悩みましたよ〜」

と藤森シェフの手には10枚のオーブンミトンがラッピングされた袋が!このプレゼントには小嶋シェフだけでなくゲストのみなさんからも笑顔がこぼれました。

藤森シェフからの温かいプレゼント



以前から小嶋シェフの希望は、お客様に作りたてのお菓子を最高の状態で食べてもらうことだったそう。テイクアウトでは難しいそんな願いを実現できるのがこのカフェなのです。そのため新しく加わったメニューには、ヌガーグラッセやクレーメダンジュにコーヒーのブラマンジェ、焼きたてのスコーン、マフィンなどが並びます。もちろん以前の「オーブン・ミトン」時代のお菓子もいただけるのでご心配なく。ミトンズシュークリームのミルキーな味わいに改めて感動し、この季節ならではのモンブランのほっくりした味わいに心が和みます。

焼きたてのスコーンには生クリームや季節のコンフィチュールなどを添えて



そしてそれらと一緒にいただけるのが吉祥寺にある「ティーブレイク」の紅茶。なんとこの日に限り、「ティーブレイク」水野さんが自ら紅茶を入れてくださっていたのです!小嶋シェフのお菓子を食べながら紅茶のプロが入れてくれた紅茶を飲む至福のひと時、都会の喧騒とはかけ離れたこの落ち着いた空間で、その幸せは何倍にも大きく感じられます。

「ティーブレイク」水野学氏



そして、この日は特別にオカリナとギターのミニコンサートが行われました。みなさんは「となりのトトロ」でトトロがオカリナを吹くシーンを知っていますか?トトロがいそうな森の中でオカリナの演奏とはぴったり。何種類ものオカリナを使い分けながら演奏された曲は、「もののけ姫」、「アマポーラ」、ジャズにカーペンターズとバラエティー豊か。

「BGMとして聴いてください」

と始まった演奏ですが、心が澄み渡るような音色にみんな一言もしゃべらず聴き入っていました。そして、この後に本当のサプライズが!なんと小嶋シェフがオカリナを演奏。20日前から始めたというオカリナは、忙しくなかなか練習が出来なかったそうですが、小嶋シェフの「涙そうそう」の調べは心に染み入るようでした。

オカリナ奏者・茨木智博さんのウェブサイトはこちら



「おいしいものを食べる時、そこに漂う空気までもがご馳走となりえる。そんな環境の中でゆっくりと私たちの料理やお菓子を食べてくつろいでもらいたい…」

そんな小嶋シェフの想いが詰まったこのカフェは、特別おしゃれをして楽しむと言うよりも、日常の一部として捉えたいもの。でも、おいしいお菓子や料理に紅茶、そして空気…これだけ揃っていれば十分贅沢なんですけどね。



この日お土産にいただいた「ルバーブジャム」



オーブン・ミトン カフェ 〜はけの森〜
住所 東京都小金井市中町1-11-3 はけの森美術館横
TEL&FAX042-385-7410
営業時間10:00〜16:00
定休日月曜・第3日曜
アクセス武蔵小金井駅より徒歩15分