3月26日、まだ寒い日と暖かい日が交互にやってくるこの季節。しかも場所が山中湖ということで、お天気が心配だったこの日、サレジオ山荘で行われた石窯パンパーティに参加してきました。この日、神様が選んだ天気は、“曇り”。ちょっと肌寒い中、石窯のまわりは、ポカポカとして、結局はちょうどいいお天気だったのかもしれません。




緑に囲まれた山中サレジオ山荘、
おいしい空気とおいしいパンが待っている



22日に運び込まれ、25日に周りのレンガが積まれ、
この日が初の活躍日!



こんなにたくさん、誰が食べるの!



さて、何故、パナデリアがサレジオ山荘まで行って、石窯パンパーティに参加したか。ことの起こりは、櫛澤電機製作所の澤畠氏が発起人のひとりとなって行っている「カンボジア パン プロジェクト」。
ご存知の方もいると思うけど、このパンプロジェクト、“カンボジアの子供たちがどうにか義務教育を終えることができたとしても、技術がないため働く場所がない”という現状を、自分たちの得意とするパンの世界で、少しでも役に立つことができれば・・・という気持ちから生まれたもの。
カンボジアはベトナムと同じようにフランスの占領下だったことがあるので、フランスパンなどの需要は高いそうです。そこで、パンの技術専門学校を作り、子供たちがパン作りの技術を学べば、その後パン屋さんの道で食べていくことができます。そしてもちろん、櫛澤といえば、石窯。そんなわけで、カンボジアでの石窯作りも目的のひとつです。募金活動だけではなく、実際にその場所でパンが焼けるようになるまで、きっちり面倒をみようという「責任あるボランティア」活動を行っているというわけなんです。
そして、今回のパン プロジェクトに欠かせない立役者のひとり(ひとつ?)が、教育と開発をめざす女子国際ボランティアの「VIDES(ビーデス)」というカトリックのシスターたちのボランティアグループ。今回のサレジオ山荘でのパンパーティも、「VIDES JAPAN」のシスターである猪川孝子さんの明るい声のもと、たくさんの参加者が集まりました。

この日、パン プロジェクトの仲間が揃ったのには、わけがあります。実はこの石窯、前日25日に、ひとつ2000円で販売されたレンガをみんなで石窯のまわりに積んで完成させたもの。そして、そのレンガに、自分の名前を彫ることができたんです。もちろんそのレンガの売り上げはすべてカンボジアのために使われます。パナデリアでも翌26日、レンガを買って自分たちの名前を書いてきました。いつか機会があったら、ぜひこのサレジオ山荘の庭にある石窯に「PANADERIA」の名前を探しに行ってみて下さい。


一文字、一文字丁寧に
PANADERIAと彫ってきました




さて、というわけで、ここサレジオ山荘の石窯は、できたてのほやほやのもの。翌日26日がテストベーキングといってもいいくらいの新人さん(石窯)を、慣れた手つきで操るのは、我らが加藤晃さん!
加藤さんといえば、4月から始まったパナデリアの「石窯パン教室」の講師でもあります。私たちが加藤さんを好きな理由はたくさんあるけれど、その中のひとつに、加藤さんはけちけちしていない・・・というのがあります(私の個人的な理由かもしれないけど)。そして、今回もやってくれました、加藤さん。本当に次から次へと、数え切れないほどのパンが焼きあがっていきます。
参加者は全部で40人ほどだったと思うんだけど、仕込んだパンはなんと!

食パン 9kg
菓子パン(あんぱん、クリームパン用) 6kg
レーズンバンズ 3kg
くるみパン 3kg
その他、子供たちと楽しく作るようにピザ用の生地が3kg



おいしそうなパンが窯の中に消えていきます。
出てくるのが楽しみ!




これでもか、これでもかと焼きあがるパンの数々。うれしい悲鳴です


焼きたてのパン・ド・ミをその場でちぎって、豪快に!


「パンステージ プロローグ」からは金田武士さんも来てくれました


途中、エプロンとバンダナに身を包んだかわいい子供たちが、ピザの生地の上に思い思いの具をトッピングしていきます。
そして迎えたランチタイム。山ほど積み上げられたパンに、チーズやジャム、そして温かい豚汁などが振舞われました。


子供たちも楽しそう。これも食育のひとつ?


加藤さん、作曲。子供たち、編曲という感じのピザ、いっちょ上がり!


豚汁の鍋もでかい!


このパンも食べる人! はぁーい!


とにかく、食べきれないほどのパンは、その言葉どおり食べきれなくて、これまた山ほど残ったのですが、もちろんそのパンもカンボジアのために販売。一袋500円(中身は、こんなにたくさん500円でいいの?・・・ってくらい入っていますが)のパンセットと、一袋300円の石窯焼きクッキー。同じアジアの一員として、こんな小さなことでも誰かの役にたてるとしたらうれしいこと、ありがたいこと。そう思ってか、みんな大事そうに買ったパンをもって帰る姿が印象的でした。


最後に子供たちの記念撮影。
シスター稲川もどこか子供のよう


今回のパンパーティ、そして大元の「パン プロジェクト」。どちらもカンボジアにパンを広めるためだけではありません。パン学校だけでなく、本当はその元となる教育の施設や環境を整えることを目的とし、そしていつかは“食育”ということができるようになることを夢見て行われているはず。今の私たちが使っている“食育”という言葉は、「小さい頃から本物を見分ける舌を持つために、食に対する教育を行うこと」という意味合いですが、別の意味からとらえると、実は食べること=生きること、うまくいえないけど、誰もが、食べることを通して、本当に“生きていること”を実感できるようになる日がくることをめざして、これからも頑張っていってほしいと思います。もちろん、パナデリアでもできることがあればお手伝いさせてください!



そして、最後に・・・ 頑張れ!カンボジアの子供たち!