3月20日にグランドオープンを控えた、赤坂再開発エリア「akasaka Sakas(赤坂サカス)」。同エリア内の、赤坂bizタワー横の独立棟に、「マキシム・ド・パリ」が展開する新業態のビストロ、カフェ&ワインバー、ブーランジェリーの複合店が3月6日にオープンしました。高級ビストロ"ヴィエイユヴィーニュ マキシム・ド・パリ"に、国内最多種のグラスワインを楽しめるというカフェ&ワインバー"コート・ド・ルージュ"。ランチに、ディナーにと、赤坂エリアのビジネスマンやOLの話題のグルメスポットになりそうです。中でも注目なのは、 "ル ブーランジェリー ドミニク・サブロン"。パリで5本の指に入るというブーランジェ、ドミニク・サブロン氏の日本初進出とあって、期待が高まります。オープン前の3月3日、一足早くプレオープンに伺ってきました。


カーブを描いたガラス張りの外観がとってもオシャレです


ドミニク・サブロン氏は、フランスの有名レストランでシェフパティシエ・ブーランジェを務めた後、パリ14区に「ブーランジェ・パティスリー ドミニク・サブロン」をオープン。その後、「カルフール」の最高技術責任者を経て、1999年「ル ブーランジェ・ド・モンジュ ドミニク・サブロン」を設立。厳選された素材を使い、長時間発酵で焼きあげた高品質のパンは、三ツ星レストランにも使われており、多くの美食ガイドや雑誌に紹介されています。


ドミニク・サブロン氏


日本初となるドミニク・サブロン氏のブーランジェは、天井の高さを有効に利用した開放的な空間。アールデコ調のドーム状の天蓋や、壁面に稼動式の棚を設置して売り場面積を有効活用するなど、デザイン性と機能性を兼ねた内装がとても斬新です。カーブを描いた壁一面にパンが並べられた様子は、単にパンを売る・・・というよりは、まるで来た人をパンで"囲む"といったほうがふさわしいかもしれません。


(←)ビビッドな色と装飾が美しい、
ドーム型の天蓋がヨーロピアンな
雰囲気をかもし出します
(→)壁面のパン棚は可動式に
なっており、空間を有効活用
しています



スペシャリテは、「ブール・ビオ・オ・ルヴァン」。石臼挽きのビオの小麦粉をフランスから空輸し、また酵母もフランスからの直輸入。まさに本場そのままの味わいを再現しています。
そして、この天然酵母が非常に特徴的。ビオの粉から起こしたルヴァン種にハチミツ、シナモン、アニスを加えたもので、「パン・ド・エピス」をイメージして作られた特製の酵母だそう。しっとりと目のつまった灰色の断面からは、すっきりさわやかな酸味のある香りが広がり、かみ締めると、酸味の奥から旨みがジワジワと押し寄せます。その余韻は、柔らかな粉の甘み、続いて海草のようなミネラルのある旨み、そして最後にどこかスパイシーさが舌に残る・・・と、実に奥行きのある味わい。12時間の低温長時間発酵により、じっくり引き出された粉の旨みを堪能できるパンです。


スペシャリテの「ブール・ビオ・オ・ルヴァン」(¥840)


店内のパンを見渡して、特徴を感じるのが「クープ」の入れ方。「クープ」は、サブロン氏にとって"自分のパンだ"といういわば「サイン」のようなもので、また"芸術性"と"食感"の2つの演出も兼ねているのだそうです。4種の穀物をふんだんに使用した「パン・オ・セレアル」は麦の穂をイメージ、また栗の粉を使ったパンには栗の"イガ"をイメージして見た目も食感もチクチク、カリカリ・・・と、遊び心たっぷりです。


(←)写真右端「パン・オ・セレアル」(¥567)
ケシの実、アマニ、ゴマ、サンフラワーシード
がたっぷり

(→)まさに、栗そのまま!
もちろん見た目だけではなく、
食感も計算したクープ使いに注目


ビオ・オ・ルヴァン以外のパンは、主に日本製粉の「クラシック」を使用しているそうです。「クラシック」特有の旨みの強さと芳醇な薫りには、サブロン氏本人も非常に満足しているとのこと。その他、クロワッサンにはレスキュールAOCバターを、フーガスにはオーガニックのオリーブオイルを・・・と材料のひとつひとつにも妥協せず、最高品質のものを使用しています。


写真上「クロワッサン」(¥231)はパリッと厚めの
皮が香ばしく、バターのコクを感じるおいしさ。
写真下の「エスカルゴ」は、パティシエールを
練りこんだソフトな食感のデニッシュ


「ル ブーランジェ ドミニク・サブロン」のシェフ・ブーランジェを務めるのは日本人シェフ榎本哲さん。実は、今回はオーガナイザーとして志賀勝栄シェフが関わっており、榎本さんは「フォートナム&メイソン」にて、立ち上げ以来志賀シェフの元でパンの製造を学んでいました。その後東京、名古屋、横浜の各フォートナム&メイソンのベーカリーで3年半働いた後、志賀シェフの紹介により今回のプロジェクトに参加。パリへ修業に赴き、サブロン氏の元で本場の技術を学びました。


シェフ・ブーランジェを務める、榎本哲さん(写真左)



プレオープンに立ち会っていた志賀シェフと共に、厨房を見せていただきました。外から燦燦と光が振り込み、明るく開放的。真新しいBONGARDのオーブンでは、ハードブレッドが焼きあがりを待っていました。ミキサーなど、厨房設備は全て、フォートナム&メイソンで使っていたものと同じなので、使い易いとおっしゃっていました。


ハード系のパンの焼成に優れたBONGARDのオーブン
オーガニックの石臼粉は、ほんのり
灰色がかった色味が特徴的。
虫がわきやすいので、管理が大変
とのこと


厨房からは焼きたてのパンが、どんどんカウンターに並べられます。パチパチと音を立て、香ばしく薫るバゲット・・・音と薫りの臨場感がこちらの食欲を掻き立てます。同じ棟内にあるマキシム・ド・パリのビストロ、カフェ&ワインバーでも、おいしいお料理やお酒と共に「ル ブーランジェ ドミニク・サブロン」のパンを味わえるそう。これはもう、パン好きにはたまりません!
店内には約35種類ものパンが揃い、カスクルートなどサンドイッチや惣菜パンも並べられるそう。平日は朝の8:00から夜の21:00まで、というビジネスマンには嬉しい営業時間。モーニングに焼きたてのクロワッサンを・・・なんて、まさにパリのような朝のひとときが、この赤坂で実現するなんて嬉しいですね。



店名:ル ブーランジェ ドミニク・サブロン
住所:東京都港区赤坂5-3-1赤坂Bizタワーマキシム・ド・パリ 1F
Tel:03-5545-4515
営業時間:8:00〜21:00(月〜金)、11:00〜20:00(土・日・祝)
アクセス:千代田線赤坂駅よりすぐ