星天会総会

2001.8.24
  

 ホシノ天然酵母を使ったパン屋さんなどで構成される『星天会』の2001年夏季総会が、8月24日新宿にある日本製粉(株)で行われた。

 星天会の新会長となった星野益男氏の挨拶から会はスタート。その中で印象的だったのは、パン業界にも価格破壊の波が訪れているというお話で、価格を下げていく大手メーカーに対し、「中小のベーカリーは大資本にはかなわない」という言葉を述べた後、地元にある、同じ食べ物を扱う大手飲食店2店のお話を取り上げた。「お昼になると、そのどんぶりが、290円から280円になったからこっちの店が人気に、今度はあっちの店が安くなったからそこに流れて、という人の動きがある。でも、それとは別に、1000円以上とっている店でも、美味しいところはいつでも行列ができています。不況といわれている今の時代だって、本当に美味しいならそれを求める購買力は人々にあるのです」、そしてさらに続けて、「一個50円のパン、40円のパンと安い価格を追いかけるより、120円でも本当に美味しいパンを作ればお客さんは必ず来てくれます。そのために美味しい酵母を作ることが私の役目です」

星野益男氏


 今年は新しく『丹沢酵母』というものが誕生した。
 従来の酵母より発酵力が強く、上品な味と香りが特徴だという。従来の酵母との扱いの違いも今回の総会の中で行われた講習会のポイントとなったが、その講師として参加した『ピッコリーノ』の伊藤幹雄氏も、「今までのホシノ酵母を使って作った生地は、生地が余ったとき冷蔵庫で5℃で保存すると2,3日後には味が変化してしまい使えなかった。それが丹沢酵母でやってみると、3日前の味と変わらず焼きあがる」と、質の向上を明言。それを聞く参加者のパン屋経営者たちの目も真剣だった。

 前会長中村謙介氏、日本製粉の村上嘉章氏の挨拶や、伊藤氏他2名の講師の講習会、決算報告などを経て総会は終了。
 その後、場所をかえての懇親会はパン屋、製粉会社、機械メーカーなどの貴重な交友の場となった。
 新しい丹沢酵母が、中小パン屋が個性を出しながら価格破壊に負けない味を作るのに一役買うのは間違いないだろう。この酵母の誕生とともに、星天会もまた一歩、新たな前進をしたようである。



『ピッコリーノ』伊藤幹雄氏


『丹沢酵母』