オープンして2年あまり、すっかりその人気を不動のものとした吉祥寺「アテスウェイ」

その川村英樹シェフによる講習会が、おなじみ表参道のアトリエ・ドゥマールで行われました!



今回シェフが伝授してくださったのは、お店でも出している「フロランタン」
これに松の実を入れ、「フレキシパンハート15個型」(※)でかわいらしくつくったバージョンです。




一般的にフロランタンはサブレの上にヌガーをのせて焼くのですが、今回は形(ムール)をはっきり出すために、先にサブレを焼いておき、別に型に流し込んで焼いたヌガーの上にのせて仕上げていくという方法を教えていただきました!
フレキシパンは形が美しくできること、はずしやすいことから、焼き菓子だけでなく生菓子にも使っている、というシェフ。
また、サブレ(パートシュクレ)を焼き上げる「シルパット」(※)について、使いやすくてすばらしい、とのこと。
生地の空気がすべて下に抜けるのでピケする必要もないし、なによりフラットに焼きあがるので重宝するそうです。

講習のあいまに、川村シェフの本のご紹介も。「ブルターニュに学んだ菓子―フランス菓子のしくみ再発見」(旭屋出版MOOK―スーパー・パティシェ・ブック)(※)です。今日の講習生には特別にシェフのサイン入り!


「今後吉祥寺以外にさらに店舗を展開されていく予定はないのですか?」という、ファンの願望?のような質問も飛び出しました。
実際、デパートなどからの引き合いもとても多いそうです。
これはとてもありがたいことではあるんだけど、と前置きした上でシェフは、
「その日つくったものをその日に売りたい」「自分の目の届く範囲できちんとしたものをお届けしていきたい」
という理由から、店舗拡大の予定は今のところない、と説明してくださいました。

口数はけっして多くないのですが、しっかりした意志と想いに裏打ちされた言葉が印象的な川村シェフ。


ブルターニュ時代の思い出をきかれて、「まずなによりバターがおいしかった!」とのこと。 アテスウェイでは、発酵・無塩・海塩の3種類のバターを使い分けているそうです。 フランスの海塩バターは香りが強すぎずにコクがあってとてもいいそうなのですが、なにせ原価が高いので、キャラメルのクリームのみに使っているということでした。(以下の写真がその海塩バターです!写真でははっきり判りませんが、塩の結晶がきらきら光ってとても綺麗なバターでした)



フランスの有塩バターは塩分濃度が2.2%程度なのですが、海塩バターは2.8〜3.0%とやや高め。そのかわり、海の香りがしっかりと残っているそうです。
精製されていない、体にいい塩は、辛さはあまりなく逆に後から甘味がくるから好きだということ。

最後に、「一番好きなケーキ(味)は?」ときかれて、
「キャラメルとショコラ!」と即答したシェフ。
お店で一番おすすめしたいのも、"シブースト・ショコラ"だそうです。
「ただ、ちょっと重いので万人受けはしないのかもしれないんだけど・・実際、お店ではショートケーキやモンブランが人気なんだよね」とのことですが・・。(でもショートケーキにも、原価無視でいちごをたっぷり使っているそうです)




残りの時間でも、ブルターニュのこぼればなし(山羊乳のアイスクリームや海草のパンのことなど・・)や、お菓子屋さんだったお父さんの思い出など、アテスウェイのおいしさのヒントになるようなお話が次々に伺えました。
時間が終わったあとにも個人的に質問をする講習生が続出。なごやかながらとても濃密な2時間の講習でした!


本文中の(※)マークの商品は、アトリエ・ドゥマールでお取り扱いがあります。

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