共働学舎とは、身体的・精神的・境遇上の理由で、家庭生活や社会生活が困難な人たちが、共に生活をし、農業・建築・工芸などの作業を通じて、自信や生きる喜びを取り戻すことを目指している団体です。1973年、宮嶋真一郎氏によって長野県北安曇郡に設立されたこの団体は、現在は信州に2ヶ所、東京に1ヶ所、北海道に3ヶ所の計6ヶ所に開設されています。

宮嶋氏は30年間英語教師として自由学園に勤務されていましたが、目を悪くされたのがきっかけとなり、生きるすべを求めている人のために、学校教育ではなく、生きていくのに本当に必要な教育をしたいという思いで共働学舎を設立されました。


新得農場
チーズ工場のある建物


ここでは住居や建物を建て、農作物を育てるなど、衣食住のほとんどを極力自分達で作り出し、まかなっています。仲間と協力し、困難を乗り越えて何かを達成する経験をすることで、「自分は一人きりではないこと」を学びます。また、人間が生きていくためには動物や植物を殺さなければならないことを知り、「自分一人では生きていけないこと」や命の尊さも同時に学ぶのです。

新得農場のチーズ工場


このような活動が舎内の世界だけで完結しないよう、地域社会活動にも参加したり、自分たちで作った農産物や工芸品を販売するという経済活動も行って、自立を目指しています。例えば信州ではパンや味噌、東京ではクッキーやケーキ、北海道ではソーセージやチーズ、鶏卵などを製造・販売していますが、化学肥料や農薬に頼らない農法という、その品質も高く評価されています。

一見すると福祉施設のようですが、国の社会福祉事業に関する法・行政の枠・監督には依らず、経済的援助も受けていない団体です。またその運営費は、入舎するメンバーの家族が毎月払う6万円の会員費(任意)と父母会の会費月500円、そして共働学舎の趣旨に賛同する協力者からの一口1000円の任意の会員費で成り立っています。


参考:共働学舎ホームページhttp://www2.big.or.jp/~ono/kyokou1.html