去る8月29日に高田馬場にある東京製菓学校でユニコロイド且蜊テの講習会が行われ、案内を頂いたパナデリアも早速伺って来ました。「黒小麦?」「ポーラスター?」聞き慣れない言葉でなんだろうと思う方も多いはず。実はこれ、新しく開発された粉なんです。一体どんな粉なんだろう?と期待しながら参加させていただきました。

まず黒小麦(商品名:黒貴妃)は「太古から人為的な品質改良が加えられていない、野生の小麦」。ミネラルを豊富に含んでおり、またタンパク質の量も14〜17%と多く、小麦の香りを楽しめるというのが特徴とのこと。一方ポーラスターの方は、北海道産小麦粉100%の粉。グルテン形成を促す酵素を配合するという新技術により、低蛋白の小麦粉でもボリュームのあるパンが容易に作れるそうです。

粉の説明が終わると、さっそく実演講習が始まりました。今回教えてくださったのは、代官山「パティスリー・マディ」のブーランジェリー・シェフ、松原裕吉氏。3時間という短い時間で、3種類の生地、計9アイテムのパンを作ってくれました。

3時間でパンを作るのは至難の技。一体どうするのかと思っていると,あらかじめ中種や生地が作ってあり、差し替えながら講習が行われました。今回の講習会参加者は一般の人たちというよりパンに携わっている方が多かったらしく、専門用語も飛び交っています。「作っておいた中種を加えます」という松原氏の説明。中種って材料を合わせて捏ねるんだっけ?どのくらい発酵させるの?状態は?なんて考えているうちにどんどん先に進んでいき、一つの生地を捏ね終わると前に仕込んでおいた別の生地が出てきて分割に入ったり、それが終わると別の生地がでてきてパンチを入れたり…と講習の進み具合も速い、速い。松原氏は、手を動かしながら説明し、質問にも丁寧に答えてくれます。でも、パナデリアときたら、これはどのパン生地??と思いながらついていくのがやっと。あれだけの種類のパンを平行して作るなんて!パンチの回数とか、何が発酵中なのかとか、ベンチをしているのはどれだとか…、良く覚えているなぁ、とそんな所に妙に感心してしまいました。

もちろん動作だけでなく、技術面でも松原氏の手際の良さには惚れ惚れするほど。とても柔らかく、ぷるんとしたリュスティックの生地。さわるだけでべたついてしまいそうな生地を、さっさっと折ってパンチを入れます。私がやったら手についてどうしようもなくなりそう、と思いながら見入ってしまいました。

時間もあっという間に過ぎて、次々とパンが焼き上がり、香ばしい香りが部屋中に広がってきました。最後に再度全体を通しての細かな説明があり、パート・ア・クロワッサンの仕上げでは小さくカットしたピスタチオ飾りをのせるまで、見た目の美しさにも気を配るなど、随所にシェフのこだわりと人柄がうかがえました。

今回教えていただいたパンのうち、いくつか試食もしました。どれも香りが良く、噛むほどに旨味が広がります。国産小麦特有のもちもちとした食感。そのわりには重くなく、食べやすいものでした。そして目もおなかもいっぱいになって満足して会場をあとにしました。







◆◇ 教えていただいたパンを紹介します!◇◆

パート・ア・クロワッサン

クロワッサン

ショソンマロン

ハニーローストピーカンナッツ

ポワールピスターシュ


ショソンナポリタン


リュスティック

左:リュスティック 
右:リュスティックノア



ブリオッシュ オウ ブール ノワゼット

ラ・ムーナ

ガレット ペルージェンヌ

ブリオッシュ アテート