REPORT BY イワサキ チエ




今や日本を代表するTopパティシエ、辻口博啓氏の第一回スイーツコレクションに行ってきました! モンサンクレールを立ち上げて早7年。その後自由が丘ロール屋、ル ショコラ ドゥ アッシュ、和楽紅屋といった時代の最先端を突っ走って来た辻口氏。彼の歩みの集大成を見ることができる、そして来年早々コレクション会場でもある深沢ハウスにOPENするパン屋(マリアージュ・ドゥ・ファリーヌ)、ジャム屋(コンフィチュール・アッシュ)も含めた、今後の展望が聞けるとあって興味津々、胸はドキドキ。今まで彼に、このようなコレクションがなかったのが不思議なくらいと言えますね。





まずは辻口氏の挨拶から。 「2004年、辻口の今、を見てもらいたかった」 という辻口氏。

「これからも、ひとつ ひとつのジャンルを掘り下げるパティシエでありたい。

というコンセプトのもと、

「各店舗は共存せず、それぞれの店がONLY ONE TASTE。 辻口の一番のライバルは、自分が持つ各店にほかならない」

との言葉から、各店舗のパティシエたちが一人一人挨拶をします。皆若いながらも、きちんと自分の言葉で、しっかり意見を述べる姿に好感度大。現代の若者には珍しい??逞しい彼らの姿を見ていると、

「この中から将来必ず世界一のパティシエが育つ」

と言う辻口さんの言葉に大きくうなずいてしまいました。そう、辻口さんは人を育てることにも並々ならぬ情熱を注いでいる人なのです。


(各店舗のロゴマークを説明する辻口さん)
(パティシエたちがそれぞれ挨拶を)



さて、待望の試食Timeは和楽紅屋、モンサンクレールとロール屋、そしてショコラと、3つの部屋に分かれて始まりました。






まずはあっさり味のものから、ということで和楽紅屋から。
部屋に入ってびっくり、お座敷まで用意されているではありませんか。ここで新作(1月発売予定)の「かつお山椒」「メープル」をいただきます。





(なんとお座敷が)



食べた後からふわ〜んと鰹節のイイ香りが立ち昇る「かつお山椒」は、昆布茶と合わせるとおいしいかも。 「メープル」はメープルシュガーと胡桃、アーモンドパウダーとバターをクランブルしたシュトロイゼルがたっぷりのっていて、実に香ばしく美味。和楽紅谷のラスクは、ボコボコとパン生地に穴が開いた他店のラスクに比べ、生地の粒子が細かく、その表面にしっかりと味がなじむため、一枚でも充分に満足感を得られる、ボリュームのある仕上がりになっているように思えます。ちょっと高いのもうなずけるかな〜。




次はモンサンクレール自由が丘ロール屋の部屋へ。
新作「かぼちゃのロール」(1月発売予定)は58センチ四方のロール生地に、大きなかぼちゃを丸1個半使用しているそう。クレームパティシエールにもかぼちゃを入れ、かぼちゃを丸ごと食べているかのような自然の風味と、滑らかで優しい甘みが特徴です。大きくカットされたロールをペロリと食べてしまいました。そのくらいあっさりナチュラル。





モンサンクレールの新作は、それとはまったく対照的な迫力満点、ガッツリ味の 「プラリン」(12月発売予定)その名のとおりプラリネをふんだんに使い、さくさくとしたメレンゲの食感に、プラリネの贅沢な味わいと濃厚なクリームが楽しめるもの。 久しぶりに「しっかり甘くておいしい!これぞまさにフランス菓子」と呼びたくなる嬉しい一品でした。 








さて締めはショコラ ドゥ アッシュ
この部屋には浦安ブライトンホテルのソムリエを招いての、BARカウンターを設けるという素敵な演出がありました。 新作のボンボンショコラに合わせるのは、カリフォルニア産のシラー。シラー独特の強めのタンニンが、ショコラの余韻を引き伸ばし、かつ舌に残る甘みをスキッと流してくれるのは、さすがソムリエさんのチョイス。いくつでもショコラを食べられそうです。新作は4種類。シナモン風味のガナッシュとコーヒーを合わせた「カプチーノ」、苦味のあるカカオをふんだんに使用したプレインガナッシュの「アリバ」、へーゼルナッツのプラリネとジャンドゥージャを合わせた風味豊かな「シルバン」、そして熟成したバナナをショコラの中にぎゅっと閉じ込めた「バナニエ」




特にバナニエは、南国のむせ返るような完熟バナナの風味を押し出した、完全に大人のチョコバナナ。皆さんも是非食べてみてください。
そしてこの日のもうひとつの楽しみ!10月からアッシュでサーブしているという冬の名物Vin Chaud(ホットワイン)です。甘めのワインに、さやごと贅沢に扱いたバニラ、アニス、シナモン、黒胡椒を合わせたオリジナルブレンド。あまりのおいしさにおかわりを何杯も・・・・この日風邪気味だったという辻口シェフも薬代わり?にちょこちょこ飲みに来ていました。






試食はありませんでしたが、この日のもう一つの興味は、来年OPENするパン屋さんとジャム屋のプレヴューです。 ここでドコよりも早くその内容を少しだけお知らせしましょう。
マリアージュ・ドゥ・ファリーヌは一口サイズのプチパンに力を入れ、一人で様々なパンを体験できるお店になるそう。パン屋ならではのケーキというのもお楽しみに!ということです。
  ジャム屋のコンフィチュール・アッシュは、時代とともにジャムの形状もテイストも変化すべき、というコンセプトのもと、「ジャムの定義を覆す店」 になるそうですよ。基本に忠実でありながら、辻口シェフならではの和のテイストをふんだんに盛り込んだ「餡との遭遇」がた〜っぷり味わえるそうです。そう、よく考えたら日本のアンコは世界に胸を張って紹介できる「日本のジャム」とも言えますよね。 





ということで、ポカポカと温まった体に胃袋も満たされ、ほろ酔い気分でこのまま帰りそうになりましたが、最後にしっかり、絶えず新しい素材を追求する辻口氏に「今一番興味のある素材は?」と質問。 その答えはなんと「京番茶」。京番茶の持つSMOKYな風味を、ショコラの中に生かしてみたいそうです。和の心を持って世界を制する、という辻口氏ならではの発想ですね。


(ロートンヌの神田さんもお祝いに)



次は何を仕掛けてくれるのか、いつもドキドキさせてくれる辻口氏ですが、今後は世界のトップ・アーティストや、ハリウッドの俳優さんとのコラボだって何でもあり! と言っていた彼。 来年ははたしてどんなコレクションを見せてくれるのか、楽しみは続きます。 





おまけ・・・(この日のお土産)
和楽とアッシュとモンサンクレールとロール屋の4店の製品が
一箱にぎっしり詰まった「超レアもの」 
来年はこれにジャムもパンも加わるのでしょうか。
(ウレシすぎ)