街中がヴァレンタインムードに包まれていた2月上旬。ショコラ研究家のおぐらみかさんがヴァレクストラのためにプロデュースしたショコラ・パーティーに行ってきました。

ヴァレクストラは、1973年に創業されたイタリアの高級皮革ブランド。ワニやダチョウなどを使ったバッグや小物など、シンプルで上質な革製品は世界中で愛されています。日本には昨年銀座に初上陸したばかり。そのヴァレクストラとショコラ、そしておぐらさん・・・いったいどんなつながりがあるのでしょう?


(おぐらみか さん。
十数年のパリ暮らしでショコラの魅力に目覚めたそう)


パーティー当日、ヴァレクストラ銀座店にうかがうと、そこにはロングドレスに身を包んだおぐらさんの姿がありました。

「実はヴァレクストラの日本のジェネラルマネージャーが20年来の友人なのです。ヴァレンタインに先駆けてショコラをテーマにしたイベントをしたいという相談を受けて、今まで誰も経験した事がないようなショコラ・パーティーをプロデュースすることになったんです」

おぐらさんがヴァレクストラのために考えたというオリジナルショコラ。そのテーマは“イタリアの香りと産地別チョコレートとのマリアージュ”というもの。ヴェネズエラ、エクアドル、マダガスカルなどのカカオから作られた原料チョコレートに、イタリアの香りを吹き込んでみたら・・・?そんなアイデアから、おぐらさんの材料探しの旅が始まりました。

「素材選びは想像以上に大変なものでした。まず、原料となる産地別のチョコレート。日本には輸入されていないものもあるので、とにかく端から端までたくさんの試食をしました。それから、フレーバーに関しても。アマレットやレモンチェロなど、最後には飲みすぎでへろへろになってしまったほどです(笑)」


(入念にショコラの最終チェックをしていた土屋公二シェフ)


そして、おぐらさんのオリジナルショコラにかける想いを形にしたのが、ミュゼ・ドゥ ショコラ テオブロマの土屋公二シェフ。

「実は、テーマや材料を与えてもらって作るというのは初めての試みだったんですよ。これが大変だった!最初は、原料チョコレートの個性が強すぎてフレーバーがうまく活かせなかったり、逆にフレーバーが強すぎたりして、なかなか思うようにならないんです。例えば、バルサミコ酢とチョコレートなんて、難しいに決まっているじゃないですか(笑)。でもね、随分いい勉強になりました。そして何より、面白かった!」

おぐらさんと土屋シェフが思慮に思慮を重ね、刺激し合うことで完成したオリジナルショコラ。その喜びや充実感は、何よりも2人の笑顔が物語っていました。


(ショコラに合わせて厳選された6種類のワインとリキュール)


更に、おぐらさんは“ショコラとワインのマリアージュ”というもうひとつのサプライズを用意していました!

「素材選びから考えたオリジナルショコラに、イタリアのワインを合わせてみたいと思いまして。エノテカ・ピンキオーリのシェフ・ソムリエ、黒田敬介さんにワイン選びをお願いしたんです」

産地別チョコレートとイタリアのフレーバーというマリアージュで完成されたショコラ、そこにイタリアワインを組み合わせる。もちろん、かなり難しい課題だったことは間違いありません。もしかしたら新たな可能性が発見できるかも?! ますます期待が高まります。



会場となったのはヴァレクストラ銀座店の2階フロア。鞄や靴、小物など普段は売り場として使われているその場所が、綺麗にテーブルセッティングされています。純白のテーブルクロスの上にはおぐらさんのデザインによる手描きのランチョンマットが敷かれ、その上に規則正しく並べられたボンボン・ショコラとワイン・・・。優雅で落ち着きのある雰囲気は、まるで大人だけに許されたサロンのよう。


(左から土屋シェフ、おぐらさん、黒田シェフソムリエ)


「今日のパーティーは、マルセル・プルーストの小説に登場する文化的なサロンのように、選ばれた人だけが参加できる会にしたいと思いました。ヴァレクストラの顧客の皆様を始めとする、ごく限られた方だけにお越しいただいているんです」

そう、このパーティーの参加者はわずか30名。しかもそのメンバーはといえば・・・。
楠田枝里子さん、川島なお美さん、日比野克彦さん……など。ショコラやワイン好きで知られる芸能人や、写真家、アーティストなど、“クリエーター”として活躍されている方々。そんな特別の方たちが顔を揃えたパーティーに、パナデリアも特別に参加させていただいたのでした。



おぐらさんの進行のもとにショコラとワインのマリアージュを楽しむ参加者たち。初めて口にするショコラ、そしてワインとのマリアージュは彼らの舌を充分満足させるほどに刺激的だったようです。パーティーの間中、途切れることなくショコラ談義に花を咲かせていたんですから・・・。



(お土産に頂いたショコラボックス。
350個限定という貴重なもの)



さて、気になるボンボン・ショコラの味わいについて。詳しくは次回の会報24号でお伝えする予定です。どうぞお楽しみに!(2006.03)