先日、ヴァローナ主催で行われた「2003年クープ・ド・モンド優勝チームによる講習会」に先立ち、見事優勝に輝いたフランスチームの代表3人にお話を伺ってきました。






「今大会ではチームのリーダーを務めさせてもらい、貴重な経験ができたのを感謝しています。フィリップ・コンティシーニ氏は準備段階でも常にそばにいて200%の力で私達を支えてくれ、チームの団結を深める役割も果たしてくれました。彼にはフルール・ド・セルを使うことと、食感にコントラストを出すこと、使い慣れない食材の扱い方、そして味のバランスについてアドバイスをもらいました。彼のアドバイスで心に残っているのは「いつも味わう時は感情を大切にしなさい。感動を得られるものこそが大事なのです。」という言葉です。

準備は01年11月の予選が終わったときから始まりました。全く知らない3人がひとつのチームとしてまとまるまでが大変でした。特に3人がばらばらの地域に住んでいたという物理的な事情が大きかったのです。はじめは月に一度のペースで集まっていましたが、大会が近づくにつれ徐々にその回数を増やし、最後のほうはユウリは家に泊まり込んでいたくらいです。

当日は1000人もの見物人の前でゼロから作品を作るというもの。応援も凄く、開始直後はすごく難しい環境だと思いました。オーブンが止まってしまい、また初めから作り直すというトラブルも発生したのですが、そんな困難な状況だったからこそ意地でも勝ってやるという気持ちが湧いてきたんだと思います。もの凄い集中力でしたし、終わった時の充実感も大きかったです。
また、他のチームもとてもレベルが高く、参加者同士の交流が素晴らしかったと思います。

大会を終えて満足感や充実感を感じましたし、夢の実現できたことをとても嬉しく思っています。自分の中で一番ベストのものを出したいという気持ちが、いい作品を作らせてくれるのではないでしょうか。また、大会を通じてたくさんの方と知り合うチャンスをもらえたことにも感謝しています。その後大きな大会がないのでフランス国内での影響というのはまだはっきりとはわかりませんが、今後次第に出てくるでしょう。」




「今まで国内の大きな大会に出場したことがなかったので、自分のレベルがどれくらいのものなのか知りたくて予選に出場しました。だからフランス代表に選ばれた時は本当にびっくりしました。でも、喜んだのも束の間、それからが大変でした。他の二人よりも遅れをとっていると感じたので、技術を高めようと大会までの毎日が必死でした。

こうやってチームとして優勝を勝ち取ったわけですが、浮かれずに地に足をつけて精進したいと思っています。今回こうやって日本という素晴らしい国に来れたことも貴重な経験です。ヴァローナには本当に感謝しています。」




「今回優勝できたのは何よりも先輩方のアドバイスや周りの関係者の協力があったからです。特に私は氷菓と氷彫刻の担当でしたので、エマニュエル・リオン氏(MOFの氷菓職人)にはたくさんのアドバイスをもらいました。また、とりわけこの大会の発起人であるガブリエル・パイアソン氏には言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいです。

自分達自身のことについて言えば、3人のチームワークがよかったのがいい結果を導いたのだと思います。他のチームもどこも素晴らしく、特に日本チームは100点で換算すれば0.3点差という僅差でした。野島さんにはたくさんのアドバイスももらいました。精神的に大変強いチームだったと思います。

私が住んでいるフランス南西部はダイナミックな若手の店が多い地域です。大会後地元へ戻ったときはとても歓迎してくれました。ただ、優勝したのは本当にいい経験でしたが、そこにあぐらをかいていてはいけないですね。気持ちを入れ替えてさらに頑張って行きたいと思っています。

この大会が素晴らしいのは、戦いである以前に同業者の交流の場であるということです。自分が知っていることを与え、わからないことは教えてもらいにいく、そういう部分をとても大切にしている大会だと思いました。」


三人とも、他のチームの素晴らしさやその交流についてとても高く評価していました。 その後のパーティーでは、実際に優勝作品を全て試食させていただきました。驚いたのが、デセールの甘さの少ないこと!甘さ控えめが時代の流れとはいえ、「お菓子?料理?」というほどの抑えた甘さにはびっくりしました。 クープ・ド・モンドは「味」を重視した大会であるだけに、評価も難しいもの。日本チームが僅差だっただけに悔しい気持ちもしますが、三人の努力と夢を達成した晴れやかな顔には素直に拍手を送りたいと思いました。 でも、次回こそは・・・がんばれ、ニッポン!!