2005年3月30日、武蔵野市吉祥寺の二葉製菓学校にて開催された「WPTC2006日本予選最終実技試験」に行ってきました。
WPTCはアメリカのラスベガスで2年に一度開催される製菓のワールドカップ。今年の7月に第3回目を迎えます。アメリカでの本選に先立ち日本の代表を選考するための予選が行われました。審査を行うのは、過去のWPTCの出場選手と関係者によって組織されるWPTCジャパンオフィスです。
まず飴細工ピエスとチョコレートピエスの二つの部門に分かれて作品を募集。応募者の中から、書類審査を通過した6名の選手が2次の最終実技試験に進むことに。そしてこの実技試験の結果、各部門から1名ずつ優秀者が選ばれて本選で戦うことになります。選手名は以下のとおりです。


● 飴細工ピエス部門
氷川会館 林 正明さん
グランドハイアット東京 藤本智美さん
名古屋東急ホテル 安里 哲也さん


● チョコレートピエス部門
サロン・ド・テ・スリジエ 和泉 光一さん
帝国ホテル 市川 幸雄さん
ヒルトン名古屋 渡辺 守さん

2次審査出場者




右:「サロン・ド・テ・スリジエ」和泉光一さん
左:「氷川会館」林正明さん
各種コンクールでの受賞経験をもつ実力派揃いです。そして各部門ごとに分かれて実技試験がスタート。午前9時から午後5時までの8時間にわたりピエスを製作、続いて午後6時半より表彰式が行われました。さて、気になる結果ですが、飴細工ピエス部門では林さん、チョコレートピエス部門では和泉さんが優勝!見事にラスベガス行きの切符を手に入れました。






氷川会館 林 正明さん

グランドハイアット東京
藤本 智美 さん

名古屋東急ホテル
安里 哲也 さん








サロン・ド・テ・スリジエ 和泉 光一さん

帝国ホテル 市川 幸雄さん
ヒルトン名古屋
渡辺 守さん




表彰式終了後、優勝者の和泉さんにお話を伺うことができました。
「テーマは「はばたき」です。蝶がはばたく様子を表現してみました。軽さを出したかったので、可能な限りチョコを薄く延ばして透け感を出したんですが、これがすごく難しかった。それから、チョコとチョコの接点を少なくして厚みを出さないようにつみあげたこともポイント。指で触れるとくずれてしまうほどもろいんですよ。」
優勝の秘訣は?の問いかけには「あきらめないこと」とひとこと。普段とは異なる環境のもと、高度なテクニックを駆使して作り上げていくためハプニングがおきることもしばしば。実は和泉さんも蝶の羽が片方折れてしまったのだとか。それでもあきらめず、残ったパーツを活用して臨機応変に対応できたことが勝利の秘訣だったようです。
すがすがしく、そして力強い笑顔からは、大きな仕事をやり遂げたという達成感がひしひしと伝わってきました。




優勝を決めた美しい蝶
7月開催予定のWPTC本選は3人一組。林さんは飴細工ピエス、和泉さんはチョコレートピエス、そしてもう1名は主に味覚部門を担当することになります。その残りの1名は、今回の優勝者とWPTCジャパンオフィスの推薦によって選ばれるそうです。どんな方が登場するのか楽しみですね。日本チームの大いなる活躍に期待しましょう!




ことの起こりは1999年アメリカで開催されたNPTC(ナショナルペストリーチームチャンピオンシップ)です。Pastry Art & Design誌の編集長、マイケル=シュナイダー氏と元リッツ・カールトン統括シェフ ノーマン・ラブ氏が中心となり始められました。出場選手はアメリカ国内のパティシエたち。当初は1チーム2名、全部で6チームの争いでした。
NPTCは会を重ねるごとに規模が大きくなっていき、ついに2002年には世界大会に発展、第1回WPTCが開かれるまでに至りました。
 2年に一度開催されるWPTCでは、世界12カ国の代表が3人一組のチームとなり技を競い合います。その内容は2日間計13時間以内に飴細工ピエス、チョコレート細工ピエス、アントルメ、プチフール、プチフールセック、チョコレートボンボン、アシエットデザート、アントルメグラッセを作成するというもの。世界中から名高いパティシエたちが集まり、ハイレベルな戦いを繰り広げています。

WPTCに関するサイトはこちら→http://www.pastrychampionship.com/