Panaderiaが行く

洋菓子協会定期講習会 2001.3.15

「リリエンベルグ」横溝春雄シェフ

去る3月15日に行われた洋菓子協会定期講習会に行ってきました。今回の講師は、パナデリアも大変お世話になっている「リリエンベルグ」の横溝春雄シェフです。リニューアルされたリリエンベルグには、すでにお出かけになった方も多いと思いますが、いつ行ってもお客様でいっぱいです。特に休日などは「すごい!」の一言。そんな横溝シェフの講習会です。受講者の多さは皆さんにもご想像いただけるのでは…。一番前の席を絶対に確保するぞ!と意気込んで講習会場へ向かったパナデリアですが、やはりあえなく玉砕。しかしどうにか真中あたりの席を確保。講習会が始まる前にすでに、横溝シェフにいろいろと質問をする方もいらっしゃり、皆さんやる気マンマン。当然のことながら、講習会が始まるころには、会場はいっぱいになっていました。

今回はオレンジのパウンドケーキ、ショコラーデンクグロフ、キルシュ・シュニッテンの三品を教えていただきました。オレンジのパウンドケーキはリリエンベルグのオープン当初からの商品で、お店には、オレンジの他にも2種類のパウンドケーキがあり、どれも人気の商品だそうです。ココア生地のショコラーデンクグロフは、最近横溝シェフが考えた新しいお菓子とのこと。キルシュ・シュニッテンは、スフレタイプのケーキにサワーチェリーを敷き詰めたもの。今回教えていただいた三品は、すべてお店でも購入できるそうですので、自分で作ってみるのはもちろん、お店の味もぜひ試してみてほしいと思います。

さて、肝心の講習ですが、まずはオレンジのパウンドケーキから始まりました。オレンジピールの扱い方について説明してくださったのですが、使用する前には必ずお湯洗いをして余分なシロップを取ること。それをしないとせっかくのパウンドケーキが、オレンジのシロップの甘さも一緒になって、とても甘いケーキになってしまうそうです。またパウンドなどのバターケーキには、バターの他に1割程度のマーガリンを入れて空気を抱きこみやすくすると軽く仕上がるということでした。使用するマーガリンを選ぶ時に気をつけることとして、やはりバターの風味をジャマしないもの、あまり強い特徴のないものを選ぶようにする事だそうです。

砂糖の選び方でも、お菓子の種類によってはもちろんのこと、小さい型で作る時と大きい型で作る時でも違うそうです。良く溶かす事が大切な時は、砂糖は粒子の細かいものを選ぶこと。そうなると粉糖は適していると思いますが、それは小さい型で作る時の方が良いということでした。やはり大きめの型で焼くときなどは、微粒のグラニュー糖を使用した方が生地の伸びがより良くなるとのこと。そんなふうに細かいことまでも説明していただき、本当に勉強になる事ばかり。受講者の皆さんもどんなことも聞き逃したくない!と必死でノートを取るといった感じで講習は進んでいきます。

キルシュ・シュニッテンの型は、当初は木の板などで型を作り研究を重ね、最近になってやっと特注の型ができたということで、下に敷き詰めるジェノワーズがピッタリと型に隙間なく収まるのです。そして講習会とはいえ、良く冷やして食べると美味しいケーキということで、そこは気を抜くことなく私たちの前には冷たいキルシュ・シュニッテンが出されました。形はいたってシンプルですが、チェリーの酸味が程よくとても上品な味のケーキでした。

ショコラーデンクグロフはココア生地の中に栗の渋皮煮が入っている焼き菓子で、生クリームがたっぷりと入ったリッチな味わい。ココアを生クリームに合わせるのは本当に難しくダマになることもしばしばですが、少しずつきちんとココアを練ることが大切と教えていただきました。ココアの風味が栗ととても合っていて、焼き上がりにいただいたせいもあり、まだ生地が温かく栗がホクホクといった感じでした。この日に教えていただいたどのお菓子も、それぞれの素材の良さが十分に引き出された美味しいお菓子ばかり。さすが、素材にこだわる横溝シェフ…と、あらためて深くうなずいてしまうパナデリアでした。

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