東京都洋菓子協会 定期講習会
2000.9.7


去る9月7日、東京世田谷区の洋菓子会館で定期講習会が行われました。講師が、8月4日に「ル パティシエ タカギ」をオープンしたばかりの高木康政シェフと聞いて、早速講習会に参加させていただきました。高木シェフといえば数々のコンクールで受賞し、その独創的なお菓子のファンも多く、またTVや雑誌などでも活躍されています。

「きっと混むだろう」・・と早めに行ったにもかかわらず、やはりさらにうわてが!!受付け開始時間前だというのにもうすでに20人程の人が入っていて、前の席は見事にうまっていました。高木シェフの人気はさすが!と感心しながら、開始まで待つこと約1時間。次から次へと人が集まり、始まる頃には、空いているところにもイスを出して座るほどいっぱいになっていました。

さて、今回教えていただいたお菓子は、栗の美味しい季節にぴったりのムース「マロニエ」とバナナとくるみの相性がよい焼き菓子「バナノア」の2種類です。まず、アントルメの「マロニエ」から仕込みが始まりました。材料を入れたボールをビーターにかけて混ぜているあいだに、新しくオープンしたお店の紹介を少し。高木シェフの原点とも言える「マドレーヌ」をロゴマークにしたこのお店では特に粉にこだわり、なかでもやはりマドレーヌには一際力を入れているようです。研究を重ねて完成した、という話を聞いて、早くも食べてみたいと思ったのは私だけではないはず。お話を聞いているうちに泡立てが終わり、粉を手早く混ぜていきます。自分でやる時は、同じようにしても、粉を混ぜる作業、特にココアが入る生地はなかなか難しく、ダマになったり生地がしまってしまったり…と泣かされることがしばしば。でも高木さんはさすが!やはり手早さが大事なんだなぁ…と納得してしまいました。そして、この生地を後で試食しましたが、柔かくココアの風味もしっかりとした、口溶けの良いとても美味しい生地でした。

間に楽しいヨーロッパでのエピソードなどを交えたお話を伺いながら、次々と作業が進みます。途中参加者からの質問にも、にこやかに且つ丁寧に答えてくださり、ここでも高木シェフの人柄がうかがえます。焼き菓子は、バナナをソテーすることを除けば材料を順に合わせていくだけのシンプルなものでしたが、型に生地を入れる時に丁寧に生地やバナナの量を量りながら行う、そのきっちりとした仕事ぶりはさすがです。

とにかく手際が良く、合間の話も楽しいのであっという間に2品完成し、いよいよ試食です。人数が多くてまわってくるか心配しましたが、ちゃんと頂くことができました。まず「マロニエ」は、甘さ控えめでお酒のきいた大人の味。でもきつい味ではないので、お酒が苦手な人でも大丈夫。ビスキュイのココアがしっかりといきていて栗とよく合っていました。中の栗の粒が大きめでその食感も楽しめます。「バナノア」はとてもきめの細かいしっとりとした生地でやさしい味わい。バナナの香りが良く、口の中に広がります。どちらも風味と食感を大切にしたお菓子でした。

最後にもう一つ朗報があります。10月1日に高木シェフの2冊目の本が出ました。お店に並んでいるお菓子のレシピも載っているそうなので、これは必見ですね。ぜひチェックしてみて。その前に、ぜひお店の方にも行ってみてくださいね。高木さんの華麗なお菓子が楽しめます。

「高木康政 四季の菓子」
PARCO出版
1600円(税別)

ル パティシエ タカギ
東京都世田谷区深沢5−5−21
Phone 03−5758−3393



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