第1回
基本の生地作り
(2008年5月)


さて、いよいよ始まりました。「パナデリア石窯パン教室」火曜日コース。
第1回目は、「基本の生地作り」を学びます。作るのは、パンドミー、内麦粉食パン、リッチな食パン、バターロールの4種。プロの仕事を実体験するため、計量からすべて自分達の手で行うというのが、加藤先生流。各パンの仕込み量はなんと10kg近く。トータルで8名の参加なので、どのパンもひとりあたり1kg以上の生地に触れるという、プロのベーカリーさながらの作業となります。また、決められた時間内に4種のパンを完成させなければいけないので、全ての工程が同時並行で進められます。これは、頑張らなくては!
しかも、第1回の講習が行われた5月20日当日は、あいにく大雨と強風の影響により交通機関が大幅に遅れるというアクシデントが。雨にも負けず、嵐にも負けず、どうにか足並みを揃え、30分遅れで教室はスタートしました。波乱の幕開け・・・さてさて、どんなパンが焼きあるのでしょうか?ドキドキの第1回、スタート!


火曜日の講師を務めるのは、ベーカリー技術アドバイザーの加藤晃先生。アシスタントとして、ラ・テールより高橋さんが駆けつけくれました。よろしくお願いします!


配合表を見ながら、みんなで計量。家庭よりは数倍も大きなロットに戸惑いつつも、ここで間違えてはおいしいパンはできません。慎重に、慎重に・・・!


大型ミキサーで混ぜ合わせた粉類と水を捏ね上げ水和させていきます。捏ね上げに大切なのは、給水する際の水分量と温度管理。粉の温度、水温、室温、ミキサーの摩擦などのデータを取り、数式に当てはめて計算します。手を動かしながら、頭もフル回転・・・大変、大変。


こちらは、一次発酵を終えた食パン生地。ふかふかと羽毛布団のような弾力と、つややかな表面。指で生地に穴を作り、戻らなければ発酵終了のサイン。みんなで“指差し確認”しました。


一次発酵した生地を分割します。使い慣れない秤を前に、躊躇・・・している暇はありません!みんなで、手分けし、大量の生地から分割と丸めを行います。


気がついたら、時計は12時を回っていました。作業に夢中で、おなかの虫も出番を失っていた模様・・・。分割した生地をホイロに入れたスキを狙って、ランチタイム!メニューは加藤先生お手製の“クロックムッシュ”に、パン、サラダ、かぼちゃスープ。しっかり食べて、午後の作業のパワーを充電しなくちゃ。


いよいよ成形。仕込み量が多いので、成形の練習がたくさん出来るチャンス!バターロールパン生地では、ロール、みつあみ、ねじりなどさまざまな成形を学びました。中でも、四苦八苦したのが、片手で転がすようにツイストさせていくねじりパン。見るは易し、行うは難し・・・!


同じく、ロールパンの生地で、レーズンロールとシナモンロールも作りました。生地を拡げ、惜しげもなくレーズンをどっさり!・・・あまりの量に、ほとんど生地が見えません。「ええっ!先生そんなに入れるんですか〜!」何でも、たっぷりが加藤先生流です(笑)


ホイロをとったら、一気に仕上げして焼成へ。それにしても、すごい量のパン。どうみても、パン教室・・・ではなくどこかのベーカリーの工房状態です。ホイロでは、発酵を終えたパン達が焼成を待っているので、のんびりしてはいられません。仕上げの作業にみんな真剣そのもの。ああ、忙しい。パン屋さんって大変だ〜!!


さあ、溶岩窯はフル回転。芳ばしい薫りとパチパチと音を立てて、パンがどんどん焼きあがっていきます。あまりの回転の速さと、仕込み量に、パンの型が足りなくなってしまったほどです。焼き立ての食パンを割ると、透明感のあるふんわりとした生地が顔を出しました。う〜ん、おいしそう!この顔を見ると疲れが飛んでしまいます。





【今回作ったパン】


目の回るような忙しさでしたが、はじめから最後まで基礎的なパン作りを実践することができました。そして、この出来上がったパンの量のすごいこと!みなさん、嬉しい悲鳴を上げながら、サンタクロースのようにパンの山を抱えて家路についたもようです。かなりの量を同時並行で作るので、生地によっては過発酵になってしまったり、成形がうまくいかず窯のびしなかったり・・・といったこともありましたが、失敗は成功の母なり。自分の手で汗水流して作ったパンを味わいながら、さらなるパンへの愛情と闘志(!?)を燃やしたことでしょう・・・。

今回作ったパンは、以下の通りです。


パン・ド・ミー
湯捏ね生地を使い、中種法で仕上げました。湯ごねによるもっちり、しっとりとした食感が特徴。モルトによりきれいな焼き色がつき、とてもおいしそうに焼きあがりました。


内麦粉食パン
はるゆたかブレンドを使った食パン。こちらはストレート法で、卵・牛乳は使わずリーンに仕上げました。粉の甘みが生きたシンプルな味わい。見た目も凛として、まさに日本の正しい朝食パン。


リッチな食パン
全卵・牛乳を加え、キメが細かく風味の良いパンに。また、バターが入っていることにより、コクのある味わいになります。


バターロール3種


(バターロール生地で)レーズンロール・シナモンロール


ロール、三つ編み、ねじりなどの成形のテクニックを学びました。レーズンロール・シナモンロールは、大きく広げた生地にたっぷりのフィリングをのせて、くるくると丸めてカット。同じように作っているつもりが、なかなか個性のあるパンが出来上がりました。カタチの整った“売り物”のパンを作るのは、本当に難しい。まだまだ修業が必要ということですね・・・!