パナデリア初の試み、石窯パン教室が開講。4月から7月までの毎月1回、3クラス全4回のコースです。4月1日の第1土曜日、櫛澤電機製作所で第1回目のクラスが始まりました。1クラスの生徒は8名。初心者もいれば家庭でも頻繁にパン作りをしている生徒もいて、人それぞれです。共通するのは、みんな「パンが好き」ということ。そして、全コース終了すればパン屋を開くのだって夢じゃありません。
9時になると、パナデリア主宰・三宅、講師・加藤晃氏のあいさつがあり、さっそくパン作りがスタート。今月の内容は、シンプルな味わいのリーンタイプのテーブルロールと、牛乳、卵、バターが多いリッチタイプのテーブルロール、そしてブリオッシュです。小麦粉はコースを通して日本製粉の「ジャパネスク」を使用。パン教室で国産小麦が使えるとは!この日は初日ということもあり、途中、日本製粉の宮長氏によって「ジャパネスク」の説明もしていただきました。


講師の加藤晃氏。これからお世話になります! 


日粉・宮長氏の説明に熱心に聞き入る受講生たち


まずは生地を仕込みます。材料を量るのもみんなで手分けしながらの作業。業務用ミキサーを使うため、小麦粉はなんと5kg分も仕込みます。家庭では一度にこんなにたくさんの生地を仕込むことなんて無いはず。けっこうな重労働です。また、パン職人はそれぞれの材料をグラムで考えるのではなく、小麦粉を100%と考えてそれに対するパーセンテージで考えるのだそう。加える水の温度の算出式も教えていただきました。パン作りの授業なのに、数字とも格闘しなければなりません。生地の一次発酵をとっている間を利用して、パンに包むフィリングも作ります。この日は、ブリオッシュ生地でクリームパンを作るためにカスタードを作りました。その量も半端ではありません。2回に分けて牛乳2リットル、卵16個を使います。


パン教室では受講生たちのチームワークも大事!



パン教室で一番楽しいのは、やっぱり実際に生地に触れられるということ。大きく膨らんだ生地はふんわりとしていて赤ちゃんの肌のよう。手粉がいらないほどの扱いやすい生地に新鮮な驚きがありました。バンジュウから出して分割、そして丸めます。手の腹を使って生地を傷めないように…ただお団子のように丸めるわけではありません。まるで、卵を包んでいるように優しく力を入れずに丸めるのです。


一次発酵後の生地の状態の見方も教わります


簡単そうに見えるけど、なかなか難しいんです


少し生地を休ませた後はいよいよ成形。麺棒で薄く延ばしてくるくる巻いていけばかわいらしいロールパンに、細く延ばした生地を2本ねじらせればツイストパンに。最初はみんな上手く出来ずに何度もやり直していましたが、徐々にコツをつかんできた様子。「出来た〜!」という嬉しそうな声があちこちから聞こえてきます。ホイロに入れた後、表面に塗りたまごをしたら窯入れです。


こんなに沢山のパンが窯入りを待っています



続けて作業をしていると、どんどん焼き上がってくるパンたち。こんがりと焼き色のついたつやつやのパンは、見るからにおいしそう!「焼きたてを試食してみましょう」加藤先生の声に、手でちぎってみるとふわ〜と立ち上がる湯気。さっくり、ふんわりのパンはいくらでも食べられそうです。パン教室に通う中で、これが一番幸せな瞬間なのかもしれません。


焼きたてパンのいい香りがこちらにも漂ってきそう



13時半、少し遅めの昼食では、加藤先生が石窯で焼いてくれたばかりのピザをみんなで囲みました。せっかくだから石窯を使って出来る昼食を…とのこと。そして、その料理に合うようにパナデリアスタッフが用意した「そら豆の冷たいスープ」と「バーニャカウダ」も一緒に。毎月の昼食もパン教室の楽しみになってしまうのがパナデリアならでは。


昼食用にはこんなに大きなピザが4枚も!


昼食には受講生同士の親睦も図れたようです



こうやって休憩している間もパンは待ってはくれません。約1時間の昼食の後、一足先に向かった加藤先生の後を追って作業場へ。午後はブリオッシュを中心に進みました。食べる分にはおいしいブリオッシュですが、実際に作ってみてバターの量の多さに驚愕。小麦粉5kgに対してバターの量はなんと2.5kg!目の前に積まれたバターの固まりに圧倒されながらも、こんなにリッチな生地ならおいしいはず、とわくわくします。ブリオッシュ生地にはカスタードやクリームチーズを包んだり、三つ編みにしたり。また、オレンジピールを生地に混ぜ込み、さらに表面にダッチをかぶせたものまで。そして、ブリオッシュといえば「ブリオッシュ・ア・テット」。丸めた生地の真ん中に穴を開け、そこに小さく丸めた生地を差し込みます。そしてセルクルの中へ。さて、うまく焼き上がるのでしょうか?
……焼き上がってきた「ブリオッシュ・ア・テット」、帽子のようにぽっこりと上手く焼けているものもあれば、だらりと生地が流れてしまったものも。そう簡単にはいかないのもパン作りの面白いところです。


一度にこんな大量のバターを見るのも初めて


この焼き上がりなら今すぐにでも売れそう!?





次から次へと焼き上がるパンは、涼しい場所へ運ばれ、冷めたら袋詰め。最後のパンが窯に入ったらみんなで片付け開始です。3種類の生地から全部で15種類ほどのパンが出来上がり、予定よりも時間を押してしまった第1回目。しかし、用意してきた持ち帰り用の大きな袋でも入りきらないパンの量に、みんな驚きつつも満面の笑顔でパンを手にしていました。だって“重たいほどのパンの量”なんて普段あまり経験できないですから。
後日、受講者数名から「家族でおいしく食べたのはもちろん、実家や友人にもパンを配りました」とのメールが届きました。楽しく勉強できる、これって一番大事なことかもしれません。まだまだ始まったばかりの「パナデリア石窯パン教室」、受講生の毎月の成長にも注目です。もしかしたら、将来この中からパン職人が生まれるかもしれませんね!?