ついに最終回を迎えた、イタリアピッツァ教室。第1回目は、ベーシックなピッツァ・マルゲリータで基本の生地を学び、第2回目では、アスパラのクリームや様々なチーズを使ったアレンジピッツァを教わりました。
最後のお楽しみ・・・といえば、もちろんデザート!第3回目は、デザートピッツァの講習です。猛暑の中で行われたイタリアピッツァ教室も、最終日は涼しく爽やかな天候に恵まれ、まさにデザート日和となりました。さて、本場イタリアのデザートピッツァとはどんなものなのでしょう?さっそく講習の様子をレポートします!



パオロ先生の指導の下、たくさんの生地に触れられるチャンスも今日が最後!ということで、今回はピッツァ作りで大切な成形作業の集中レッスンを行いました。
とにかく数をこなし、体で覚えることが大切と、広げては丸めを繰り返し何度も生地を伸ばす練習をしました。だんだん慣れてきて、伸ばすスピードも速くなってくると、勢い余ってうっかり生地を破いてしまうことも・・・。

「手は早く。でも、心はゆっくりね!大きく均一に伸ばすためには、真ん中よりも外側を延ばすように意識すること。コツを掴めば段々面白くなりますよ。でも一番大切なのは、ハート!頭の使いすぎは、いいものは出来ないよ!」


台の上でフレームを作り、持ち上げて両手で大きく伸ばしていきます

ピッツァを伸ばす大きさは30cmが目標。ピッツァ屋で見ると簡単そうですが、実際は・・・


第一回目では、恐る恐る生地を触っていた生徒さんも、パオロ先生に「ピッツァ屋になれるね!」と言われるほどの腕前に。粉まみれになりながらも、コツを掴んで上手に生地を伸ばせた瞬間は思わず笑みがこぼれます。さて、たっぷり成形の練習ができたところで、いよいよ今日の本題、デザートピッツァ作りです!

パオロ先生絶賛の一枚。光を通すと、厚みが均一になっているのが良くわかります



今日作るのは、オレンジとアップルを使ったシンプルなデザートピッツァ。イタリアでは、素材の味を活かすため、生の果実をそのままトッピングします。今回、チーズの代わりに、味付け役を果たす主役となるのは、グランマニエ。

「フルーツは代わりにレモンの薄切りや洋梨を使ってもおいしいですよ。グランマニエの代わりにリモンチェッロを使ってもいいですし、フルーツとの組み合わせだけでなく、エスプレッソの粉を振ってカルーアリキュールをかける食べ方もあります。デザートピッツァといっても、食後だけではなく、夕方のコーヒータイムにケーキ代わりに食べたり、朝ごはんに食べるグラノラとヨーグルトのピッツァなんていうものもあるぐらい、イタリアでは色々なシーンでピッツァを楽しみます。自由に自分の好きなトッピングの組み合わせを考えるのも楽しいですね。」

「じゃあ、リンゴに・・・カルバドス!」、「手作りジャムに、カッテージチーズ!」「キャラメルに塩バターってのは?」と、生徒さんからも、次々とおいしいアイディアが飛び出します。どうやら皆さん、イタリア人に負けないくらいの食いしん坊。きっと今日はおいしいデザートピッツァが出来ることでしょう!

「リンゴとオレンジは皮ごと薄くスライスします。包丁の刃を、果物の表面にしっかりとくっつけて切るのが、綺麗に薄く切るコツです。」

カゴいっぱいの果物も、全員で取り掛かればあっという間。手の器用な皆さんなので、スライスもお見事です


トッピングの準備が出来たところで、いよいよ本番用の生地成形に入ります。さて、練習の成果を出せるかどうか?!




「デザートピッツァは、いつものようにフレームを作らずにフラットに成形します。ポイントは、薄く均一に広げること。リキュールをたっぷり打つので、外にあふれ出ないように、エッジの部分に堤防を作ります」


全体を平らに仕上げてから、縁を指でつまむようにして堤防を作ります


グランマニエを生地に塗る回数は、なんと4回!!
焼く前に1回ハケでまんべんなく塗り、その後塗っては軽く焼いて・・・を2回繰り返します。火を通しながら、じんわりと生地にリキュールが染みていきます。周囲にはふんわりとグランマニエのいい香りが漂い、生徒さんの中には、香りだけで真っ赤になってしまった方も・・・。
パオロ先生は窯の前で、「うーん、いい香りだねえ!!」と上機嫌・・・さすがイタリア伊達男?

何度も塗っては焼いて・・・を繰り返す、手間隙のかかる工程ですが、ハケを使って丁寧に作業します


同じように、成形しているつもりでも、焼いている途中で、生地の中から大きな気泡が出来てぷっくり膨らんでしまうものも、この現象は、どうして起きるのでしょうか?

「“バブル”が出来てしまうのは、生地が均一に伸びていない証拠。店で食べるものでも、上手に作れているかどうかをチェックする決め手になりますよ。他に、黒い斑点が表面に出ているピッツァを見かけることもありますが、これはきちんと熟成されていない証拠。熟し方のバランスが悪く、生地中の糖分が偏っているため、焼き色にムラが出来てしまうのです。」

フムフム・・・おいしいピッツァの見分け方まで教えて頂きました。今度から、お店にいったら、チェックチェック!! さてさて、手間隙かかったデザートピッツァ。窯の前につきっきりの作業でみんな汗だくです。25枚ほど焼いて、大きなグランマニエの瓶は一本空っぽに。なんとも豪快で贅沢なピッツァ!まさに、大人のデザートです。

グランマニエを4回塗り終えたもの。生地全体に満遍なく染みているのが、見た目にも良くわかります



3回目のリキュール塗りを終え、軽く焼いたら、もう一度取り出して4回目の塗りをかけます。その上に、薄切りにしたオレンジまたはリンゴを並べ、最後の焼成へ。程なくして、窯からはフルーツの甘い香りが!!
生地の部分に黄金色の焼き色が付き、フルーツの表面が乾く程度に火を通したら出来上がりです。
焼きたてのオレンジのピッツァをさっそく頂きました!!


粉糖をかけて、8枚にカット。「おいしい!!」シンプルな作りだけに、感動のおいしさです



焼きたては、フルーツの濃厚な香りがたち、食感も柔らかくジューシー!!火を通しながらグランマニエを加えたので、アルコール分はほとんど飛んでいますが、香りと風味はしっかり残っています。ほんのり塩気のある生地と、フルーツの酸味、粉糖の甘味が絶妙のおいしさ。うっかり何枚でも食べたくなってしまうのは、洋酒の甘い罠でしょうか・・・。





成形の練習用に使った大量のピッツァ生地。伸ばしては、丸め・・・を繰り返して生地を痛めてしまったので、ピッツァにはできませんでしたが、もちろん無駄にはしません。長く伸ばして、ねじったり、そのままバゲットのようにし、220℃で焼成。グリッシーニ風のパンにしました。
ピッツァ生地なので、もっちりした食感と、大豆の芳ばしい風味。塩気が効いて、まさしくビールのお供によさそう。ねじったものと、細く焼いたものでは食感の違いも出てバラエティー豊かなパンが出来上がりました。





数時間に及ぶ生地の成形の練習、窯の前でつきっきりのピッツァの焼成・・・。最後の講習とあって、皆さん本当にがんばりました。気がつけばお腹もペコペコです。
試食は本日の課題であるデザートピッツァ「オレンジ」と「アップル」の2種類。そして、余り生地で作った、グリッシーニ風パン。おいしいピッツァとパンのお供には、パナデリアスタッフお手製のミネストローネやポテトサラダが振舞われました。おいしい料理を前に、ワインも会話も弾みます。






全3回の講習で、すっかり一致団結して“竹馬の友”ならぬ“石窯の友”となった皆さん。自分で焼いたピッツァと、パオロ先生が焼いたものを食べ比べて違いを確認したり、質問したり・・・と、最後の最後まで、さすが勉強熱心です。それにしても、作業した後に食べるピッツァのおいしいこと!テーブルの上にたくさん載っていたパンやピッツァはみるみる無くなっていきました。お腹と頭の中に、しっかり知識と味の記憶を詰めこんで、これからもピッツァ道を究めていくのでしょう。
最後はみんなで窯の前で写真撮影をして、かくして全3回の石窯ピッツァ教室は終了しました。本場イタリアの業と、パオロ先生の熱い職人魂・・・。生徒さんたちにしっかり伝わったようです。
未来の有望なピッツァ職人達に、パナデリアも心からエールを送ります。フレー!フレー!



【今回焼いたピッツァ】

オレンジのデザートピッツァ

リンゴのデザートピッツァ