「ブノワトン」高橋幸夫シェフの新店、『足柄麦神麦師』に行ってきました。2008年2月にオープンしたばかりのこちらのお店は、箱根というロケーションにぴったりの瓦屋根の日本家屋。風にたなびく薄紫色の暖簾をくぐり、店に入ると、そこはまさしく和の世界。カウンターにはひじきやわさび、自家製のつくねなど和素材を使った惣菜パンや、季節の野菜を使ったおやき。“和田精糖の亜麻黒糖”や“浜名湖産青海苔”といった、素材にもこだわりが光ります。
全てのパンには、自身の製粉会社「ミルパワージャパン」で石臼挽きした神奈川県産小麦を使用。数年にわたって高橋さんが取り組んでいる「湘南小麦プロジェクト」。神奈川生まれの粉に、和素材を組み合わせた、まさに“地産地消”を形にしたパン屋なのです。
やはり注目したいのはハード系のパン。竹篭に生けられたバゲットは、ピンッと尖ったクープが天を向き、その佇まいの美しさには、高橋さんの小麦に駆ける想いが溢れているよう。そしてその味わいは、いうまでもなく・・・
温泉旅行や避暑のついで・・・ではもったいない!“麦師”が愛情込めて焼きあげた“和”パンを食べるために、箱根に足を運んでみてはいかがでしょうか? (2008.07)



対面式のカウンターでの、丁寧なパンの説明に作り手の愛情を感じます

イカワタや青海苔、明太子などを使ったオリジナリティあふれるラスクも人気

作務衣に身を包んだ、高橋幸夫シェフ



酒種麦神バゲット
\320

地元「合田酒造店」の純米大吟醸“火牛”の酒種を使用。
明るい焼き目でクラッカーのような香ばしさのあるクラスト。中までしっかりと火が入り、クラムはしっとりと、軽い口どけ。じわじわと広がる粉の香りが心地よく、塩気のバランスが絶妙。どこか醤油っぽさを感じさせる懐かい旨みは、ひじきやきんぴらなど和惣菜とも合いそう。
本ワサビ入りゴーダワサビのチーズクッペ
\300

ワサビ入りのゴーダチーズ(その名も“ゴーダワサビ”)と、刻んだ本ワサビがダブルで入ったオリジナリティあふれるパン。独特の辛みはほとんど無く、後からフワッと訪れるワサビの薫りが清々しい。チーズの甘み、ワサビの清涼感、あっさりとした味わいの生地の組み合わせはやみつきになりそう。
箱根クリーム
\200

自家製のカスタードクリームには、店内でも販売している、南箱根の低温殺菌「丹那牛乳」を使用。優しいミルクの薫りに思わずにっこり。口の中に入れた途端、シュルシュル・・・と無くなってしまうほど、口どけの良いパン生地。トップのアンズジャムが、甘酸っぱいアクセントになっています。
うぐいす練乳のパン
\300

甘く炊いたうぐいす豆は、豆の薫りもしっかり残しつつ、しっとりとやわらかな食感。うぐいす豆を包み込むパン生地は、練乳が入ってほんのり甘く、ほのかなミルクの薫りがします。やはり感じるのは、生地の口どけの良さ。口の中ですーっと軽く消えていくのに、粉の薫りとフィリングの素材感をしっかり感じさせるのが、なんとも心憎い。
えびとアボカドのオープンサンド
\240

和田精糖の黒糖“亜麻”を使った食パンをくりぬき、タルト風に仕立てこんがりとトースト。歯ごたえが良く、黒糖の自然な甘みが香ばしく引き立ちます。たっぷりの小えびとアボガドが嬉しいボリューム。生のアボガドとエビはコリコリッとした食感で、スパイスを効かせ、味を引き締めています。




足柄麦神麦師
住所 神奈川県足柄下郡箱根町湯本71-5
Tel&Fax0460-83-9600
営業時間10:00〜19:00
定休日 毎週木曜・不定休
アクセス 小田急電鉄「箱根湯本駅」よりバス(小田原方面行き)山崎下車 または、箱根登山鉄道入生田駅より徒歩5分
地図

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