神戸の海岸通りに佇む、青い看板のパティスリー。そこに標されているのは、“monter au plus haut du ciel”――フランス語で、『空高く舞い上がる』――。シェフが昔から好きだった、5月のパリの爽やかな青空をイメージさせる「フレンチ・ブルー」と、フランスの広大な大地の「茶色」。この2色が、モンプリュのイメージカラー。そこから、この美しい店名が生まれたそうです。
ホテルのロビーのようにピカピカに磨かれた床が心地よい店内。製菓材料販売店「パティス」とのコラボレーションで、菓子道具や材料も並べられており、店では月一回で技術講習会も行われています。開放的なショウケースでお客様を迎えるのは、季節感あふれるフレンチサイズのケーキ達。まるで私たちを挑発するかのようにキラキラと輝くケーキは、作り手の愛情を強く感じさせます。



シェフの林周平さんは、フランスの「ジャン・ミエ」で修業後、ホテルや「御影高杉」のシェフを経て、2005年に、神戸に「パティスリーモンプリュ」をオープン。いまや、休日ともなると行列必須の人気店ですが、菓子作りへの情熱はブレることはありません。「常に高いクオリティを保って、菓子を提供していきたい」と語る林シェフは、毎日朝の5時半から店に常駐し、妥協の無い菓子作りに力を注ぎます。その姿勢は、クリスマスの時期でも、デコレーションケーキは限定数と決めて、あとはレギュラー商品のフルラインナップを置くというこだわりぶりからも伺えます。
フランスの味わいを追及するモンプリュのケーキは、驚くほど食べやすく、同時に記憶に刻み込まれるような“攻撃性”さえ感じます。

「“フランス菓子=甘すぎる、くどい”というイメージが固定概念になっていますが、本当のフランス菓子はとても食べやすいもの。砂糖の量を単純に加減するのではなく、洋酒ひとつの使い方や技術次第で、膨らみやキレ、余韻・・・と甘さの表現方法で味の印象は変わります」

フランスの空から、高く高く舞い降りてきたような、エスプリあふれるケーキ達。わざわざ遠くからでも足を運びたくなるようなパティスリーです。


ヴァランシア
\470

林シェフがジャン・ミエ時代に作っていた思い出深い一品。口に入れた途端シュワシュワ〜ッと儚く溶ける純白のメレンゲ。中にはジューシーなフレッシュオレンジと、アーモンドを練りこんだオレンジのムースが。ムースには、グランマニエを煮詰めたものと、そのままのものを2段階で加え、奥行きのある力強いオレンジの風味と、キレのある甘さが印象的。

シュー・ア・ラ・クレーム
¥320

カリカリッと一口ごとに弾けるナッツが香ばしく、存在感のある硬めの皮は、しっかりと火を通したパリジャンタイプ。中には脂肪分高めの濃厚な生クリームと、ミルキーな喉越しのパティシエールを軽く合わせたものがたっぷり。ザックリと仕上げたシューと、交互に絡み合うまろやかなクリームとパティシエールが、絶妙なバランスで口の中で溶け合います。

ミルフィーユポンム
\480

季節限定の、リンゴのミルフィーユ。キャソナードでカラメリゼし、カルバドスでフランベしたリンゴは、深い甘さと酸味、そして爽やかな香りの全てが閉じ込められ、やわらかな食感がパティシエールととてもよく合います。粉の旨みと力をたっぷりと引き出したフィユタージュは、北海道産の小麦粉を使い、しっかりと火を入れて力強く黄金色に焼き上げられ、バターの心地よい香りが鼻腔をくすぐります。

サンマルク
\420

天面を強めにキャラメリゼし、底面にもしっかりと焦げ目をつけているビスキュイにこだわりが光ります。バリンッと硬く仕上げた飴はしっかりと苦く、挑戦的!飴の印象に負けていないのが、中心の2層のムース。カカオの味わいがガツンと効いたクレーム・オ・ショコラと濃厚なクレーム・バニーユは、見た目以上にしっかりとした食感。いままでのサンマルクの印象が変わるほど、記憶に残る味わいです。





パティスリーモンプリュ 
住所神戸市中央区海岸通3-1-17
Tel078-321-1048
営業時間10:00〜19:00(L.O.18:30)
定休日火曜
アクセスJR元町駅より徒歩8分
URLhttp://www.montplus.com/