京浜急行「鶴見」駅へと続く庶民的な商店街。その1画に、今年の4月リニューアルオープンを果たしたエスプランを訪れた。 オーナーシェフは塩田一善さん。社員4名、パート・アルバイト9名、計13名の従業員をかかえ、地元に根ざしたパン作りを志す。






塩田家は、江戸時代から代々この土地で商売を営んできた。洋菓子屋のこともあれば、種を売る店だったこともあるという。塩田さんが生まれた頃の店名は「シヲダベーカリー」。パン屋をやりたかった塩田さん、そしてパン屋を継ぎたいという息子の想いが、大規模なリニューアルのきっかけとなり、新生エスプランが誕生した。


「効率を良くするためのリニューアルということでもあったんですよ。でも、今のところまだ結果が出るというところまではいっていません。スタッフがまだ新しい機械や動線に慣れていないからでしょうね。段々と良くなっていくんじゃないかと思います」



店内は入り口を入ると、正面にゆったりとしたパンの販売スペースが広がる。厨房はその先のレジの裏側から右手にL字型に広がり、お客さまからパンを作る様子が見えるような設計になっている。 高い棚ではなく広い台を活用してパンを並べることで、商品が選びやすく、また開放感が演出できているのが特徴だ。ちなみに間仕切りされた左側部分はカフェコーナーになっている。




「これからはもっと生産性を上げていきたいと思っています。でも、単価を上げることはしたくない。例えば、パンに餡を包むなどといった基本的な作業のスピードをあげるなど、スタッフひとりひとりが技術力を身につけ、生産性をアップすることがこれからの目標です」


生産量が上がれば、より短時間でたくさんのパンが作れるようになる。誰にでもわかる非常に効率的な数式だ。だが、若い頃に仲間とパンを作る楽しみを知ったという塩田シェフ、スタッフに教えたいのはスピードや技術力だけではないという。






「今まで1分間に3個作れていたものが6個できるようになれば、時間が半分余る。その時間でお店やお客さんの様子を見る余裕ができますよね。『あのパンは人気があるな』とか『こうしたらお客さんは買いやすい』と、周りを見て何かを感じる余裕が生まれる。そうすれば、自然に店への意識が高まると思うんですよ。売上げ、売上げといつもキリキリするのではなく、その結果として自然に生産性が上がり、売上げも上がるのが理想ですね」


自分はあくまで2世オーナー、売上げ第一でなく、そういった社員の育成や社会人としての基本やマナーを教えることにも力をいれたい、それが自分の役目だ、と話す塩田さんの声に力が入る。
パン職人というよりは、熱血教師のような趣さえ感じる塩田さん。新生エスプランに精鋭が揃う日が楽しみだ。







エスプラン
住所神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4−1−7
TEL045-501-2147
営業時間7:00〜19:00
定休日
アクセス京急鶴見駅より徒歩1分、
JR鶴見駅より徒歩5分