◆生クリームへのこだわり


「素材のことを研究しているんですね。僕が興味あることもいろいろとあるなぁ」

パナデリアの会報に興味を示してくれた杉山さん。会報vol.20の生クリームのページで手を止め、「生クリームのブレンドには、苦労した経験があるんです」と過去の経験を話してくれた。

「雪印、タカナシ、オームを比べてみたのですが、”生クリームそのものの味の良さ”と”安定性の良さ”は順番が全く逆。『だったら合わせたら良いものが出来るんじゃないか』と思いました」

当時はまだ高脂肪の生クリームが人気で、35%の生クリームが出だした頃。今と比べると、製品アイテムは少なかったそうだ。

「例えばショートケーキ用のクリームの場合、脂肪球が不安定な方がいいんです。脂肪球が揃っていると口溶けが良すぎて、存在感がなくなってしまう。ショートケーキの場合は生地、クリーム、いちごのバランスが大切ですから」

そしてこんな話も伺った。

「脂肪球が不安定だと、ホイップマシーンにかけると詰まってしまうんですよ。業者さんを呼んで、何度も調整してもらいました。ちょうどホイップマシーンが出まわり始めた頃だったんで、業者さんと一緒に試行錯誤でした」

現在はタカナシのクリームを使っているそうだが、ブレンドの割合はオープン当初から2回変えているそうだ。

「生クリームだけでなく、ルセット自体も変わっています。お客さんの嗜好に合わせていきたいし、変えていかないと飽きられてしまいますからね」

やはり最後はお客さま第一の杉山さん。こんなに想われている王子に住む方が羨ましい!